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ロシアがウクライナとの国境に13万の兵力を集結し、
いつ攻撃をしかけてもおかしくない一触即発の状況に!
2月11日にホワイトハウスが「ロシアがいつウクライナを攻撃してもおかしくない。ウクライナにいる米国人は、すぐ国外に退去せよ」という勧告を出しました。すでにロシアはウクライナとの国境に13万人に上る兵力を集結させており、いつでも攻撃できる状態にあるそうです。
ロシアが「ウクライナに攻め込むぞ」と同国を脅している理由は、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟したがっているからです。
NATOは、第二次世界大戦の後にできた欧州西側諸国の集団防衛条約です。第二次世界大戦の直後、欧州はインフラストラクチャが破壊され、経済的に極度に困窮していました。その状態を放置すると社会主義が資本主義を駆逐してしまうと考えた米国は、まず「マーシャル・プラン」という金銭的な復興支援に乗り出しました。
同時に、ドイツが再び戦争を始めないよう独自の軍隊を持つことを許さず、代わりにNATOという共同防衛体制をつくって西側各国が兵隊を供出し、共同の軍隊をつくる方法を提案しました。
さらに、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)という石炭、鉄鋼などの限られた資源を生産調整しつつ分かち合う仕組みをつくりました。このECSCは、後に欧州連合(EU)へと発展していきます。
このように「NATO+マーシャル・プラン+欧州連合」を3点セットにすることで、ソ連の封じ込めを狙ったわけです。
1989年にベルリンの壁が崩壊すると、中欧や東欧の諸国が次々にNATOとEUに参加したことで、ロシアにとってウクライナは残された数少ない友好国になりました。
そのウクライナが、NATOと共同で軍事演習を行うなどして将来のメンバーシップ獲得に向けて動き出したため、ロシアは「勝手な真似はさせないぞ!」という意思表示をする意味でウクライナ国境へ兵力を集結させているわけです。
ロシアがウクライナに進攻した場合、西側諸国による
天然ガスや石油、アルミ、穀物などの不買運動が予測される
ロシアがウクライナに攻め込んだ場合、圧倒的な兵力の差がありますので、恐らくロシアはウクライナのかなりの部分を制圧し、支配下に置く、ないしは傀儡政権を樹立することになります。
その場合、NATOは直接ロシア軍と戦うことはできません。なぜなら、ウクライナはいまだNATO加盟国ではないので「同盟国が攻撃された!」という反撃理由は認められないからです。
西側諸国にできることは、集団でロシアに対して経済制裁を加えることです。具体的には、ロシアが生産している天然ガスや石油、アルミニウム、穀物などに対して不買運動することが予想されます。それに加えて、国際資金決済システムからロシアを締め出すなどの方法により、ロシアの銀行システムを麻痺させる方策に出る可能性があります。
それらのシナリオの中でもっともインパクトが大きいのは、ロシアの天然ガスをドイツやイタリアをはじめとする西側諸国がボイコットすることです。
ドイツは、ロシアからパイプラインによってもたらされている天然ガスに依存しており、これをボイコットするということになると、日本がカタールなどの外国から輸入している量の1.5倍もの液化天然ガス(LNG)を他の国から購入しなければならなくなります。
折から、今年の欧州における天然ガスの在庫は例年より低い水準にあり、サプライ・ショックに弱い状態なので、ロシアに経済制裁を実施するとなるとドイツ国民は日常生活で大きな不自由を強いられます。
天然ガスを燃料としている発電やその他のインフラストラクチャーの一部は、天然ガス以外の燃料へシフトすることを余儀なくされるでしょう。原油価格がこのところ強含んでいるのは、そのような理由によります。
原油(WTI原油先物)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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シェルやアルコア、シェニエール・エナジーなど、
ロシアへの経済制裁により値上がりが期待できる銘柄に注目
こうした状況は、株式市場にも影響を与えます。具体的な銘柄としては、シェル(ティッカーシンボル:SHEL)やシェニエール・エナジー(ティッカーシンボル:LNG)などが注目される可能性があります。
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シェル(SHEL)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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シェニエール・エナジー(LNG)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます拡大画像表示
また、経済制裁が実施されるとロシアはアルミニウムも輸出できなくなるため、アルコア(ティッカーシンボル:AA)が恩恵を受けると予想されます。
アルコア(AA)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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穀物に関しては、小麦や大豆、トウモロコシなどの穀物から成るETF(上場型投信)、インベスコDBアグリカルチャーETF(ティッカーシンボル:DBA)が注目されると思います。
⇒インベスコDBアグリカルチャーETF(DBA)の最新株価・チャートはこちら!
インベスコDBアグリカルチャーETF(DBA)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます拡大画像表示
【今週のまとめ】
天然ガスや石油、アルミニウム、穀物などの価格高騰によって
恩恵を受ける銘柄を事前にチェックして有事に備えよう!
ウクライナ情勢を巡り、緊張が高まっています。ロシアによるウクライナ攻撃はあるかもしれませんし、ないかもしれません。今週、来週が山場となるでしょう。
有事となった場合、西側諸国は経済制裁で対抗すると考えられます。ロシアの天然ガスや石油、アルミニウム、穀物などの不買運動です。それらの商品の価格が高騰すると予想されるので、それにより恩恵を受ける銘柄に注目しておきましょう。
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