ラオス映画発展のきっかけとなるか

 ラオスの映画産業はまだまだ黎明期だ。ラオスは映画作りの体制を作っていかなければならない。厳しい言い方になるが、今の段階で、ラオス人によるラオス映画を世界へ、というのは非現実的な話だろう。

 制作する人々、それをサポートする企業、作品を上映できる映画館が増えていかなければならない。その健全な循環を作っていかなければならない。社会主義の中での表現の自由度も社会として少しずつ広げていかなければならない。

 もし、外国の映画会社がラオスで撮影をしたいとなった場合、スタッフとして参加できる人材が現状ラオス人には少ない。ラオスに一流の機材がないということは、その機材の知識を持つ人間もいない。機材のメンテナンスもできない。技師だけに限らずアシスタントもいないことになる。

 ロケーションにおいてはデータベースがないので探すのに時間が掛かってしまう。また映画撮影用の料金体系もないので予算管理が難しい。村との交渉は、ビジネス感覚がないから気分で料金が上がっていく。

 今回の作品でラオスの作り手たちも、ラオスの問題点が明確に見えたのではないだろうか。これから何をするべきか。映画だけを作るのではなく、産業を興すということは、環境を作り循環させていかなければならない。

 今の段階では、外国の映画会社によるラオスでの映画制作(撮影)がその環境作りを進めていく最善の策ではないかと思う。このようなプロジェクトに参加するラオス人が増えていき、経験を積み、収益から機材などに投資をし、産業として発展させていくべきだろう。今回の映画は、そのような企画の第一弾として、きっかけとなって欲しい。

 産業のないところにゼロから作品を生み出す。これは思った以上に大きな挑戦だった。そして、本映画は現在、日本でポスプロ(編集、音入れなど)作業を進めている。

 ゼロから始まったプロジェクトだが、支援の輪を広げながら、初めての日ラオス合作映画として、多くの方に劇場で観てもらいたい。公開はラオス先行で2016年5月を予定している。日本公開は2017年初めの予定。

日本ラオス主演の二人(©サーイ・ナームライ製作事務局)

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(文/森卓)

筆者紹介:森卓(もり・たく)
1977年大阪生まれ、富山育ち。元調理師。約8カ月のバックパッカー旅行の後、2002年よりラオス在住。旅行会社勤務を経て、日本語フリーペーパー 『テイスト・オブ・ラオス』発行。TVや雑誌などメディアコーディネートのかたわら、現在、日ラオス外交関係樹立60周年記念映画を制作中。

 

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