水平対向エンジンで長年培った知見は、電気自動車になろうとも活かせる余地はあるということですか。
はい。繰り返しになりますが、将来、多くの車が電気自動車などに変わったとしても、スバル車が提供している走り味や安全性などの顧客価値を実現すればよいわけです。
むしろ私が最も懸念しているのは、電気自動車などが普及する中で、誰もが当たり前のように思っていた自動車の概念をがらりと変える競争相手が登場してくることです。
たとえば、携帯電話が普及していたところに突然スマホが登場し、あっという間に市場を席巻した。こういうことが自動車でも、すでに起き始めている気がしています。
従って、従来の連続性の中で改善の努力をしているだけではダメだと思います。もちろん、日々の改善は欠かせませんが、勝負を決めるのはまったく別の概念を生み出す革新でしょう。そういう新しい動きに乗り遅れず、みずから創出していかなければならないと思っています。
従来の競争には与せず
独自のブランド価値を創出する
最後に、来年の100周年を機に社名を「富士重工業」から「SUBARU」に変更しますが、その狙いはどこにあるのですか。
まず誤解されたくないのは、社名変更の目的は、会社のブランドを格好よく見せるためではまったくないということです。会社のイメージを格好よく見せるための社名変更であれば反対したでしょう。
2014年5月に「際立とう2020」という中期経営ビジョンを発表しました。その中では「スバルブランドを磨く」「強い事業構造を創る」と大きく2つの取り組みを打ち出しました。
規模の競争では勝ち目のない当社が生き残るためには、顧客に付加価値を認めてもらえる差別化が必要です。そのためには製品面も含めたスバルブランドを磨き上げ、魅力的になるべきだと考えました。具体的に言えば、「他社の車より数万円高くてもスバル車なら買うよ」と顧客に思われる会社になりたい。
このようにスバルブランドの価値を高めていくためにはすべての力を結集しなければならない。そうすると社名すら例外ではないだろうと、個人的には思っていました。そして昨秋頃、販売台数で初の100万台突破も見えてきたことで、ブランド価値を上げるための社名変更の議論ができる素地が整ったと思いました。そこで、今年3月末に経営企画部門に社名変更案を検討してもらいました。




