新車導入4年目のビックマイナーチェンジ
走り始めて3秒で分かる「走りの違い」
低重心を強調する、ダイナミックでワイド感のあるフロントバンパー。LEDを埋め込んだ前後ライト。新デザインの17インチアルミホイール。
2012年の登場から4年目、ビックマイナーチェンジした、スバル「BRZ」。目玉は、2016年8月1日発売の「S」と、ブレンボブレーキとSACHS社のサスペンションを装着した今秋発売予定のプロトタイプ。
その走りを、静岡県の富士スピードウェイ・ショートコースで思う存分に味わった。
1速でピットロードを加速しただけで、「おっ、こりゃ随分変わったな」と“違い”を実感。
水平対向4気筒DOHC・2.0リッターでは、最高出力で7馬力、そして最大トルクで7Nmほどの微増ながら、ファイナルギア比が4.1から4.3に変更されたことで、出足の良さが確実に良くなったのだ。
また、エキゾーストマニホールド(排気系パイプ)の改良によって、エンジンの吹き抜け感が増したことが、ドライビングシートに直接伝わってくる。
コースに入ると、短い直線路で時速80キロでスラローム走行したり、きつい上りのコーナーで故意にオーバーアクションなステアリング操作をしたりして、「違い」を浮き彫りにするような走りを続けた。
すると、事前に配布された広報資料にあるように、ステアリングとペダル操作に対するクルマの応答性が、明らかに良くなっている。しかも、乗り心地とのバランスが良い。これは、ダンパー(ショックアブソーバー)とコイルスプリングのセッティングを変更し、リアのスタビライザーを太くし、さらに車体各部の補強を追加した効果だ。
また、スバル関係者が「是非試してください」と言う、『トラックモード』の効果もはっきりと分かる。これまでのモデルでは、横滑り防止装置のVDCが介入するタイミングが早いため、サーキットなどのスポーツ走行では、ドライバーが“戦意喪失”してしまうことが多かった。今回は、VDCをオフにした場合よりも、さらにアグレッシブな走りを楽しむために『トラックモード』を設定したのだ。
これをオンにして走行すると、急旋回時にリアの滑り出しが起こり、FR(フロントエンジン・リアドライブ)車らしい挙動が出る。
うぅ~ん、こうしていると確かに愉しい。
「クルマを意のままに走らせること」は人間にとって「愉しさのひとつのかたち」なのだと、改めて思う。
ただし、こうした「愉しみ方」をする人々の絶対数はいま、伸び悩んでいる。