おりしも翌9月7日に尖閣列島で、中国漁船の船長が逮捕された。共同通信社の中国語サイトで第1報を載せた数分後に、『環球時報』の環球サイトに関連のニュースも掲載された。その日からほぼ本記事を作成する9月23日まで、サイトのトップは、ずっと漁船衝突、船長逮捕関連のものだった。ほかのサイトもほぼ同様の編集方針で、インターネットが普及してから、中国でこれほど長期間にわたって、同じ話題がずっとトップを独占することはなかったと思われる。
9月9日に船長の勾留期間が延長され、9月10日に『防衛白書』の公表、さらにそのあとに西南諸島への防衛力の増強計画など、偶然とはいえ、立て続けに日本側から中国に対抗する動きが多く出た。中国ではどうしても、これは中国船船長の逮捕をダシにして、アメリカの軍事基地を確保、民主党党内選挙の目玉づくりをし、同時に中国脅威論を作り出して日本西南の軍事力を増強していこうとする、日本の「謀略」かのように映る。
中国側は速やかに外交ルートで不快を表した。それは次官から大臣へ、さらに外交を担当する国務委員まで、時間が推移するにつれエスカレートしていく。日本政府からは何の反応もなく、マスコミは中国の抗議に反発し、とくに日本の大手新聞は国務委員の抗議に対して「非常に無礼」と報道した。
日本のマスコミは総動員体制で中国を批判しているかのように見え、中国のインターネット上では、中国を罠に陥れ、顔に泥を塗ったと映っている。またその記事は格好の材料にもなった。日本では国内向けに書いた記事でも、取材で話した言葉は刻一刻中国でも翻訳される。しかも記事全文ではなく、もっとも過激な部分がまず翻訳されていく。その影響もあって、もう中国も本格的に行動を取らないと、訳もなく虐げられていくとも思われた。
19日午前に前原誠司外相がNHKで、中国船船長が逮捕された事件について「今回は私は偶発的な事故だと思っている」と発言して火消しに動き出し、それは中国にもすぐ伝わったが、すでに時は遅すぎた。



