津田沼イオンの構成が斬新すぎる…!EC台頭で変わった実店舗「勝利の方程式」とは「イオンモール津田沼 South(サウス)」の総菜コーナーに設けられたイートインスペース Photo:JIJI

ネットショッピングが当たり前になった今、平均的で均質な売場では、もはや選ばれない時代だ。価値観の変化などに合わせ、総合スーパーのビジネスモデルが「標準化」から「個別最適」へと転換されつつある。かつて“優等生の街”とされた津田沼の変遷をたどりながら、小売業が直面する壁を突破するための方法を探る。(フードコンサルタント 池田恵里)

「どこでも買える商品」だけ並べるのでは実店舗は差別化されない

 かつて、日本の小売業は「標準化」を武器に成長してきた。誰にでも同じ品質、同じ価格、同じ売場を提供することで、効率と規模を追求してきたのである。

 しかし今、その前提が崩れつつある。

 EC(ネットショップなど)の浸透により「どこでも買える商品」の価値は相対的に低下し、消費者の価値観は大きく分散した。そしてEC市場は拡大を続けており、日用品を含めどこでも買える環境が一般化している。

 だからこそ、実店舗で求められているのは、「平均的な売場」ではなく、“誰かに深く刺さる売場”なのではないだろうか。

 2026年3月、イオンスタイル津田沼が新たな形で再編された。イオンとしては新たな試みとなる駅直結の「SOUTH」、既存の「NORTH」による2館体制である。

 この再編の本質は明快だ。NORTHが日常の衣食住を支える「守り」であるのに対し、SOUTHは惣菜やベーカリーを中心とした即食ニーズに応える「攻め」の場である。

 共働き世帯の増加を背景に、惣菜や中食市場は拡大を続けている。こうした変化に対し、イオンは売場を「平均化」するのではなく、機能ごとに分離し、それぞれに明確な役割を持たせたのだ。

 これは単なる一店舗の試みではない。総合スーパー(GMS)という業態そのものが、「標準化」から「個別最適」へと転換していることを示している。

 こうした変化は、都市の構造にも現れている。

 かつての商業は「近いから行く場所」、つまり2キロ商圏前後が主戦場であった。しかし現在は、「わざわざ行く場所」と「日常の生活拠点」へと二極化している。その中間に位置する「平均的な街」は、便利であるがゆえに、選ばれる理由を失いつつあるのだ。