確かに公務執行妨害罪での拘留であるならば、それは船長にのみ該当する事案かもしれない。だが、漁船は、領海侵犯の上、操業していた事実が、海上保安庁撮影のビデオでも撮影されているという。それは単なる参考人ではなく、容疑者であることを示している。
仙谷長官はもう一度ビデオを見直すか、弁護士として本件の勉強をし直した方がいいのではないか。
さて、問題はその時点で船員含め14人を拘留していれば、中国がフジタの社員を拘束したと同様、外交上のカードになる。さらに個別の証言の矛盾をつくことによって、日本の正当性を主張する補完材料になる。日本政府はみすみす有効なカードを捨ててしまったのだ。
2つめのミス、証拠ビデオの
取り扱いにおける無策
2つ目の問題は海上保安庁が撮影したビデオである。このビデオを速やかに公開していれば、少なくとも国際社会に対して、日本の正当性を主張する強力な材料になったはずである。
日本国内では、中国と日本の言い分は圧倒的な差でもって決着がついているように思える。中国の詭弁に対して、日本の正当性は決して揺るがないと日本人ならば誰もが信じていることだろう。だが、それは所詮国内だけに通用する理屈だ。
国際社会では証拠もなく、さらに船長を無条件で釈放した日本の方に問題があると思っている勢力が少なくない。現実に、欧米のメディアの中では、日本にも負い目があったのだという論調が広がっている。それは、証拠を示さない日本に対する国際社会からの当然の評価である。
仮に、ビデオを公開できないというのならば、なぜ日本政府はそれを国際社会に発信しようとする方策を怠ったのか。少なくとも、相手国の中国にはそうしたスピン戦略が存在している。



