たとえば事件後、中国政府は日本向けレアアースの禁輸措置を採ったが、それは公式に発表されたものではなかった。ニューヨークタイムズはじめ世界で影響力を持つ3つのメディアにリークしたものだったのである。

 戦略的なリークは巧妙にその責任を回避することができる。おかげでレアアースの禁輸を行っているにもかかわらず、中国はWTO違反を問われずに済んでいるではないか。

 日本政府は国内の記者クラブへのリークばかりに血道を注ぐのではなく、こういったときこそ海外メディアに向けて戦略的なリークを行うべきだったのではないか。

 3つ目の失敗は、中国人船長の突然の釈放にある。

3番目のミスはあまりにも
唐突すぎる中国人船長の釈放

 過去の事例からしても、拘留期限を延長した上で、その途中で嫌疑不十分のために釈放したという例は決して多くない。しかも、それは一切の政治判断を排除した上での、検察独自の決定によるものだという。

 もはや日本は「検察国家」に成り下がったのだろうか。それならば、菅内閣は、外交も政治も検察庁にやってもらえばいいではないか。

 仮にも、菅首相が「政治主導」を謳うのであるならば、中国人船長の釈放も高度な政治・外交判断に基づいて、行われるべきだったのではないか。

 たとえば、船長は病気であり、人道上の見地から釈放したとか、そうした言い訳は外交上はありなのだ。そもそも外交は武器を持たない戦争である。自らの譲歩を少なくし、国益に適うような「うそ」ならば許される。そうしたスピンを行う者は政権内にいなかったのか。

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今回の件は政治主導どころか、単なる官僚組織の代弁

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