ヘッドフォンを耳に当てて再生ボタンを押すと、目の前の会議室の風景が一変したような錯覚に陥った。まるで8年前に他界したマイケル・ジャクソンが、全盛期の姿で生き生きと目の前50センチメートルの所でレコーディングをしているかのようだ。マイケルの細かな息遣いや、バンドの演奏の繊細なストリングスの余韻、曲の間のフィンガースナップが、あたかも自分の耳の横で繰り広げられているとしか思えないリアルな音で響いた。初めての体験だった。

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