このような異常な返礼品競争はふるさと納税の本来の目的から外れていると総務省も苦々しく思っていて、「還元率は30%まで」「返礼品は地元のもの」という通達を出しているが、法的強制力がないために言うことを聞かない地方自治体も後を絶たない。というわけで、いよいよ規制に乗り出すと、野田聖子氏も総務大臣時代にアナウンスしている。早ければ来年(2019年)の4月から制度が大きく変わるだろうとも言われている。

 返礼品競争への規制が入れば、せっかく大きくなったふるさと納税市場もシュリンクするのではないかと思う人もいるかもしれない。しかし、前述の須永氏によれば、このような高還元率や、海外ブランドなどの地元と関係ない返礼品を実施している自治体は全体の1%程度。その1%が目に余るので総務省も規制に乗り出しているが、ほとんどの自治体は総務省通達に準じて節度ある返礼品を提供しているという。つまり、総務省が規制に踏み切っても、市場に対する影響は軽微であり、さらに成長が見込めるというわけだ。

 しかし、このように膨れ上がったふるさと納税が、本当にふるさと創生や地方創生に役立っているかというと、疑問でもある。役に立たないどころか、かえって地方創生をスポイルしている例もある。制度の使い方もやり方も、間違っている。そこで今回は、この大きく成長した市場において、ふるさと納税が“目指すべき道”を提言したい。要点は「返礼品による新たなブランド創設」と「民間プロジェクト×ふるさと納税」の活性化だ。

 まず、返礼品について。前述の通り、ふるさと納税は返礼品目的で行う人も多い。ただし世の中には、返礼品に対して否定的な自治体があるのも事実だ。返礼品に嫌悪感を示したり、還元率は10%程度と定めたり。こうした人たちは、「返礼品なしでも寄付してくれる人がいる」とか、「返礼品は不要という寄付者もいる」と言う。たしかにそういう人も多いだろう。しかし、ターゲットというのは重層的なものだ。返礼品なしでもOKな人、返礼品はあったほうが嬉しい人、返礼品があるからふるさと納税する人とさまざま。当たり前の話だ。

 しかし、このようなマーケティングの世界では当たり前の話が、こと社会貢献とか地方創生の土俵になると無視されがちになる。しかし、社会貢献であろうと地方創生であろうと、生活者の心理的消費行動的なメカニズムは同じだ。返礼品は不要という人がいる一方で、返礼品を求める人がいるのだから、返礼品戦略は重要だ。しかしこの返礼品に関しては、ほとんどどこも戦略的に考えていない。