そうした考え方を、本書では西洋近代思想をテキストにして紹介している。でも、西洋近代思想と聞いて「小難しい本だな」と思ったら大間違い。デカルト、カントといった哲学者の思想を、身近な例えを交えながら(ガンダムの例も使われている)、実にわかりやすく説き明かす。

 私たちが健全な社会生活を送るのに求められる「本物の道徳」がしっかりと理解できる本書。こうした道徳について考えれば、きっと仕事や日常生活での意思決定や問題解決がこれまでよりスムーズになるに違いない。

人間くさいビジネス書『戦略参謀の仕事』

『戦略参謀の仕事』
『戦略参謀の仕事~プロフェッショナル人材になる79のアドバイス』
稲田将人著
ダイヤモンド社刊 1800円(税抜)

 マッキンゼー・アンド・カンパニーなどで活躍した経営コンサルタント、稲田将人氏による『戦略参謀の仕事』(ダイヤモンド社)は、企業の中でトップを補佐する「参謀役」がどのような仕事をするべきなのかを説いた本。

 このような経営に関わるビジネス書は、得てして理論的すぎて現場に応用しづらかったりするのだが、本書はそうではない。日本企業の現場で「実際に起きたこと、起きていること」をもとにした、とても「人間くさい」ビジネス書なのだ。

 生身の人間同士が協働するという企業の現実を踏まえた上で、参謀役はどのような役割を果たすべきか。その役割の1つが「社内の神経系統づくり」。社内でできる限りスムーズに業務が進むようになるには、どのような仕組みを構築すべきか、本書では実践的に学べる。参謀でなくても、組織の中でどう動けばいいのかを考えるヒントになるだろう。

 また、陰謀や根回しで誰かの足を引っ張るといった、毎日どこかの職場で起こっている現実的な問題も、本書は拾い上げている。年末年始にじっくり読んでおけば、来年は、面倒な社内のトラブルにも、冷静に対処できるようになるのではないか。