連続起業家 柴田陽

■2019年の振り返り

 領域を問わず、引き続きサブスクリプション型課金モデルが強かった印象。B向けのSaaSのみならず、HeadspaceやCalm、SuperhumanのようなC向けソフトウェアについても、コスト構造によっては非常に有効な事業モデルであることが証明された。

■2020年のトレンド予測

 インフルエンサーのマネタイズモデルの進化。YouTube、Patreon、サロンやマイクロEC以外の、あるいはそれを統合・進化させた形でのインフルエンサーがマネタイズできフォロワーも喜んで課金するようなC向けサービスはポテンシャルが大きいのでなにか出てくるのではと期待。

iSGSインベストメントワークス 代表取締役 代表パートナー 五嶋一人

■2019年の振り返り

 事業領域として特に際立って盛り上がっていたと感じたところはない。

 事業ではないが、「SaaS」や「サブスクリプション」が、サービス提供や課金の重要な形として定着し、大型の資金調達に成功した企業が多かった。これによりテレビCMを行う企業が急増するなど、新たな成長機会を得た企業が多かっただろう。

■2020年のトレンド予測

 中長期的なトレンドとしての「インターネット+リアルのサービス・ヒト・モノ・場所」といった領域がより活発になる流れは不変と考える。

 その中でも金融や物流、小売、製造、建築、農業、漁業などのレガシー産業において、AIやブロックチェーン等を活用し、より上流・中核部分に変革をもたらすスタートアップの成長が期待される。その他では以下の領域に引き続き注目を続けている。

・ライブ・エンターテイメント&ファンビジネス分野:多人数が同時参加するライブイベント等の事業は、インターネット上のサービスやコミュニティとの連携を益々深化させていく。細分化されたファンとその嗜好性に応えるべく、新たなオンライン課金モデル、定期購入やクラウドファンディング等を採り入れた物販モデルにより、成長領域になりうる。

・ヘルスケア分野:日本は「世界最先端の超高齢化市場」であり、へルスケア分野で日本発・世界で活躍する企業が現れることを期待している。

・スポーツ分野:ヘルスケア分野とのクロスオーバーがある「Doスポーツ」領域、さらに上記ライブ・エンターテイメント分野とも密接に関係するスポーツチーム運営やスポーツ興行においても、新たな成長モデルを創り出せる可能性があるだろう。

 バズワードに踊らされるのではなく、新たな価値を創造し成長する、「本質」を愚直に追求するスタートアップが活躍できるよう、引き続き活動していく。

エンジェル投資家 堀井翔太

■2019年の振り返り

 後払い決済、給与前払い、ファクタリングといったFinTech事業において、資金を厚く持たなければ継続できないような事業が大型の資金調達がしやすくなった環境と相まって、立ち上げやすくなった。実際にフリマアプリでも導入していたPaidyの156億円調達のような、持たざる者への個人消費を促すようなサービスは、昨今の経済格差の広がりといったマクロ環境を見てもますます伸びると思う。

■2020年のトレンド予測

 スマホによる無消費開拓といった視点だと、FinTech領域に注目しています。(1)新設された「特定技能ビザ」による外国人労働者の増加、(2)犯罪移転収益防止法の改正によるeKYCの普及、(3)厚労省によるデジタル給与払い解禁――といった今年、今後の法改正の影響に、厚く張れる資本市場の台頭といった要素が組み合わさり、個人のお金周りの新しい問題や持たざる者への問題解決の素材が少しずつ揃ってきているように感じます。

 特に非正規雇用者と貯蓄ゼロ世帯のますますの伸長による「後払い」がブッ刺さっているような状況における揺り戻しや、「Uber Eats」のドライバーやクラウドソーシングなどのギグエコノミーの拡大など、日本におけるUnbankedを再定義して問題解決ができるチャレンジャーバンクや、Pay戦争が収束化に向かった先のモバイル金融プラットフォームがどのような形で日本には定着するのか、楽しみにしています。