内臓脂肪に潜む健康リスク。医師・西脇俊二が効率よく改善する食事と運動を指南

年をとるにつれ、職場の健康診断などで「内臓脂肪が多い」と指摘されるようになった人も少なくないはず。その診断結果を「若い頃よりちょっと太っただけ」と軽視するのは禁物。その理由と解決策をハタイクリニックの西脇俊二院長に聞いた(制作/ダイヤモンド社クロスメディア事業局)。

内臓脂肪が高血圧や痛風など、さまざまな病気を引き起こす

西脇俊二(にしわき・しゅんじ)ハタイクリニック院長。弘前大学医学部卒業。ベジタリアンなど多くのダイエット法を試し、糖質制限により3カ月で17kgの減量に成功。ダイエットだけでなく糖質制限の効果を利用した治療も行い、多くの患者に効果を上げてきた。主な著書に『ハードワークでも疲れないカラダを作る 糖質制限2.0』(KADOKAWA)など。

 そもそも体脂肪には、皮下脂肪、内臓脂肪、筋肉内脂肪がある。皮下脂肪は皮下に貯まる脂肪、内臓脂肪は内臓の周りにつく脂肪。筋肉内脂肪は、筋肉のなかに入り込んだ脂肪、いわゆる“霜降り”の状態だ。

「炭水化物は糖質と食物繊維に分かれ、このうち、糖質が体内でブドウ糖になり、エネルギーとして使われます。ただし、摂取量が消費エネルギーよりも多いと、ブドウ糖は中性脂肪に変わり、体脂肪として体内に蓄積されます」(西脇院長。以下、コメント同)

 中でも内臓脂肪は要注意。「過剰に貯まった内臓脂肪は、体にさまざまな悪影響を及ぼします」と西脇院長は指摘する。「腎臓の塩分排出や尿酸排泄の機能を阻害し、ひいては高血圧や高尿酸血症、痛風を引き起こす可能性があります」。

効率的に内臓脂肪を減らす食事法とは

 西脇院長は、「糖質は摂取してから体脂肪として蓄積されるまでに、3日かかります。この間に消費できれば、体脂肪を増やさずに済みます」と話す。とはいえ、すでに体内にたまった内臓脂肪はどうすれば減らすことができるのだろうか。

「最も効果的な方法は、糖質制限です。ただし、糖質の摂取量を控えるつもりで、食べる分量を減らさないように注意を。それでは摂取エネルギーを減らす『カロリーダイエット』になってしまいます」と、西脇院長は言う。

「摂取カロリーが減ると、体が一種の飢餓状態に陥り、エコモードに切り替わります。そうすると、体は筋肉を分解して、エネルギーとして使います。そのぶん体重が減りますが、基礎代謝も下がるので、糖質量を戻すと、あっと言う間に体脂肪が付いてしまいます」

 体のエネルギーとなる三大栄養素とは、炭水化物(糖質と食物繊維)、タンパク質、脂質。健康的に内臓脂肪を減らしたいのなら、「目標体重に達するまでは糖質と脂質の摂取を控え、その分をタンパク質と食物繊維で補うべき」と西脇院長は説明する。

必ずしも、野菜や果物=健康的ではない

  一般に野菜は健康的だと考えがちだが、避けるべきものもある。例えば、ニンジンやゴボウ、レンコン、タマネギ、カボチャなどの根菜類がそれ。糖質がふんだんに含まれている。

「ホウレン草や小松菜、水菜などの葉物野菜を選び、できれば糖質が多い茎の部分は食べないようにしましょう。モヤシやアボカドもお薦めです。リンゴやバナナといった果物も手軽ですが、老化物質のAGE(終末糖化物質)を増やす原因になる果糖を含むので、避けるのがベストです」

 主食で糖質を減らすと、水分と食物繊維の摂取量も減少するので、便秘になりがち。寒天ゼリーやワカメなどで、食物繊維をプラスしよう。なお、海藻類ならなんでもOKと考えやすいが、昆布は糖質が多めなので実はNGだ。

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