DAOは、ブロックチェーンを基盤にした中央集権的な管理を必要としない組織のことであり、民主主義的な新しい組織の在り方として、注目されている。
ただ、その名称を目や耳にしたことはあっても、具体的にどういった仕組みで成り立っているのかまではわからないという方は、多いのではないだろうか。
そこで今回はDAOについて、その特徴や実例などを紹介していく。
- DAOは、中央集権的な管理を必要とせず、世界中の人々が協力しながら管理・運営する組織である
- パブリック型のブロックチェーンを基盤にしていて、組織内の情報の透明性が高い
- 参加者はガバナンストークン(投票権を与えられるトークン)を保有することで、組織の意思決定に関わることができる
- ガバナンストークンは仮想通貨取引所などで取引されているものが多く、投資の対象にもなっている
DAOのガバナンストークンの多くは、仮想通貨(暗号資産)市場で取引されている。
しかし、国内に上場しているものはごくわずかで、より多くのガバナンストークンに触れたければ、日本の仮想通貨取引所で一旦ビットコインなどの元手となる仮想通貨を用意した後、それを海外の取引所でガバナンストークンに換金する必要がある。
ガバナンストークンに換金する元手となる仮想通貨を用意する際は、国内大手取引所のDMM Bitcoinがおすすめだ。
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DAO(分散型自律組織)とは?
DAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)とは、中央集権的な管理を必要とせず、ブロックチェーンを基盤にして、世界中の人々が協力しながら管理・運営をおこなう組織のことである。
一般的な企業は、階層構造がある中央集権的な組織になっており、トップマネジメントが意思決定の大半をおこない、階層下部にあたる労働者はその指示に従うという構図だろう。
一方、DAOでは初期段階には先導者がいることも多いものの、基本的に組織的な階層は存在せず、対等な参加者の間で意思決定がおこなわれる。
DAOは独自のガバナンストークンを発行しており、参加者はそれを保有することで、意思決定のための投票権を得られる仕組みだ。
また、一般的な企業の場合は働いた対価として、日本円などで給料が支払われる。
それに対してDAOの場合は、コミュニティに貢献したインセンティブも、ガバナンストークンを含むさまざまなトークンで支払われる。
DAOは組織の新しい在り方として高い注目を集めており、さまざまなDAOにアクセスできるポータルサイトのSnapshotによると、DAOの数が2021年5月時点の700件から、本記事執筆時点(2023年4月6日)では13,000件まで大幅に増加している。
DAO(分散型自律組織)の特徴
さて、DAOには主に次のような特徴がある。
- だれでも参加できる
- 情報の透明性が高い
- 上場しているガバナンストークンも多い
だれでも参加できる
従来の企業などの組織に参加するためには、一般的に、適性や能力を問う試験や面接をクリアしなければならない。
また、組織に所属する際は、法に基づいて雇用契約を結ぶこととなる。
しかし、DAOの場合は年齢・国籍・性別・能力に関係なく、だれでも参加することができる。
プロジェクトを進めるためのプログラミング技術などを持たない、プロジェクトを応援したいファンのような人も参加でき、ガバナンストークンを持っていればプロジェクトの運営に関わることも可能だ。
ちなみに多くのDAOは、チャットサービスのDiscordをコミュニケーションツールとしており、DAOに参加することは、DAOが持っているDiscordサーバーに参加することとほぼ同義となっている。
情報の透明性が高い
例えば、株式会社の場合、出資している株主であっても、四半期など一定の期間ごとにしか財務状況を把握することができない。
それに対してDAOは、運営に関する情報がパブリック型のブロックチェーンに保存されているため、透明性のある状態で、常に最新の財務状況などを閲覧できるようになっている。
また、組織運営に関する意思決定は、ガバナンストークン保有者の投票によっておこなわれるが、その投票のプロセスや結果もブロックチェーンに記録され、常にオープンな状態だ。
上場しているガバナンストークンも多い
DAOのガバナンストークンは、DAOの中で使用されるだけでなく、仮想通貨取引所やDEX(分散型取引所)で取引されているものが多い。
例えばDAOによってつくられた商品やサービスが人気を博したことで、DAOのガバナンストークンにも投資対象として注目が集まり、市場価格が値上がりしたとしよう。
すると、DAOに貢献したインセンティブとしてガバナンストークンを獲得できる参加者は、値上がりによってより大きなリターンを得られることになる。
また、プロジェクトのファンは、DAOの中でインセンティブを獲得できるような働きができないとしても、仮想通貨取引所でガバナンストークンを購入すれば、それを元に運営に関与することができる。
DAOの事例
ここでは、数あるDAOの中で知名度が高いものを4つ紹介していこう。
- The DAO
- Maker DAO
- Illuvium DAO
- Ninja DAO
The DAO
The DAO は、2016年にStock.it社が立ち上げた分散型の投資ファンドで、イーサリアム上につくられた最初の大きなDAOでもある。
投資先をガバナンストークンのThe DAOトークンによる投票で決めるという、これまでの投資ファンドにはなかった仕組みが注目を集めて、2016年当時の時価で150億円ほどのイーサリアムの調達に成功した。
しかし、The DAOのシステムには脆弱な部分があり、それをハッカーに攻撃されたことで、集めた資金の1/3程度を流出することになった。
その結果、The DAOトークンは上場廃止となり、The DAOも消滅することとなった。
今ではさまざまなDAOが活発に稼働しているが、黎明期にはThe DAOのように、歴史に残るような大きな失敗もあったことを知っておこう。
Maker DAO
Maker DAOは、デンマークの起業家であるルーン・クリステンセン氏が立ち上げたコミュニティで、ステーブルコインであるDAIの発行・管理や、レンディングプラットフォームの運営を手がけている。
DAIは、企業ではなくコミュニティが管理する世界初のステーブルコインでもある。
2014年にスタートしたプロジェクトは当初から分散型のガバナンスを模索していたが、2018年からはMaker財団を立ち上げて、中央集権的な構造を採用していた。
しかし、Maker DAOが成熟してきて、参加者がプロジェクトを自ら運営できる状態となったために、2021年7月にはMaker財団が解散することが発表された。
このようにDAOでは、初期段階では舵取りをする中央集権的な組織やリーダーがいても、時を経ると完全な分散型のコミュニティに移行していくパターンが多く見られる。
Illuvium DAO
Illuvium(イルビウム)は、オープンワールドを舞台にしたブロックチェーンゲームだ。
従来のゲームでは、あらゆる仕様を製作者である企業や個人が決定しており、プレイヤー側にはそれに関与する余地がなかった。
しかし、IlluviumではDAOのガバナンスを通して、ゲームの運営の一部にユーザーが関わることができる。
ただし、ガバナンストークンを多く保有するほど、投票での権力が大きくなる仕組みだと、お金を持っているユーザーが自分にとって有利になる形でゲームの仕様を捻じ曲げてしまう恐れがある。
そこで、Illuvium DAOはCouncil(評議会)の形を取り、ガバナンストークンの保有者による選挙によって、Councilでの意思決定をおこなう代表者を選出する仕組みが採用されている。
Ninja DAO
Ninja DAOは、仮想通貨関連のインフルエンサーであるイケダハヤト氏が立ち上げた日本発のコミュニティである。
CryptoNinjaというコレクタブルNFTの公式コミュニティで、イラストレーターや漫画家、アニメーターなどのクリエイターが参加しており、NFTの作成だけでなくゲームや動画の作成、メタバースに関連した活動など、幅広い分野のプロジェクトに取り組んでいる。
多くのDAOは海外でつくられていて、英語での会話が基本だが、NinjaDAOなら日本語で他の参加者とのコミュニケーションを楽しむことができる。
また、Discordには初心者向けの教育コンテンツも多数用意されているので、NFTやDAOに初めて触れる方は、NinjaDAOへの参加から始めてみるのもよいだろう。
DAOに関連する仮想通貨銘柄
続いて、仮想通貨市場に上場しているDAOに関連する仮想通貨の中から、主要なものを3つピックアップしてご紹介しよう。
- トロン(TRX)
- メイカー(MKR)
- マナ(MANA)
トロン(TRX)
名称 | トロン |
ティッカーシンボル | TRX |
価格 | 8.7円 |
時価総額ランキング | 15位 |
取り扱いのある主な仮想通貨取引所 |
DMM Bitcoin(PR) BITPOINT Huobi Japan |
公式サイト | TRON公式サイト |
トロンは、DApps(Decentralized Applications、分散型アプリケーション)開発のための分散型プラットフォーム「TRONプラットフォーム」の基軸通貨だ。
本記事執筆時点で時価総額ランキング16位につけているメジャーな通貨であり、日本ではDMM Bitcoin(PR)やBITPOINTなどで取り扱いがある。
TRONプラットフォームは、2017年9月にジャスティン・サン氏が立ち上げたトロン財団によって、開発・運営がおこなわれていた。
しかし、コミュニティが成熟したことによって、2022年1月からはトロン財団は解散、代わりにトロンDAOによって運営されている。
メイカー(MKR)
名称 | メイカー、MKRトークン |
ティッカーシンボル | MKR |
価格 | 9万810円 |
時価総額ランキング | 72位 |
取り扱いのある主な仮想通貨取引所 |
GMOコイン bitbank |
公式サイト | Maker DAO公式サイト |
メイカー(MKR)は、イーサリアムチェーンのERC20規格を使って発行された、Maker DAOのガバナンストークンである。
Maker DAOに参加しなければ特に使い道はないが、本記事執筆時の時価総額ランキングは56位につけており、それだけMaker DAOの手がけるプロジェクトの魅力が大きく、メイカーにも投資対象としての注目が集まっていることがうかがえる。
メイカーはGMOコインやbitbankなど日本の仮想通貨取引所にも上場しており、GMOコインではMaker DAOが発行しているステーブルコインのダイ(DAI)の取り扱いもある。
マナ(MANA)
名称 | マナ |
ティッカーシンボル | MANA |
価格* | 80.8円 |
時価総額ランキング* | 46位 |
取り扱いのある主な仮想通貨取引所 | bitbank |
公式サイト | MANAの公式サイト |
マナ(MANA)は、イーサリアムチェーンおよびPolygonチェーン上に構築された、Decentraland (ディセントラランド)というメタバースプラットフォームの基軸通貨だ。
Decentraland は、非営利団体であるDecentraland 財団が開発したものだが、DAOも存在している。
DecentralandのDAOでは、メタバース内で流通するウェアラブルアイテムの種類や手数料の設定など、プラットフォームの運営に関わるさまざまな要素を、コミュニティ参加者の投票によって決めることができる。
また、基軸通貨であるマナは、ユーティリティトークンとしてプラットフォーム内での取引の決済に使用できるだけでなく、DAOにおけるガバナンストークンの1つにもなっている。
そんなMANAだが、2023年4月17日より国内大手取引所のbitbankに上場を果たした。
DAOへの投資の始め方・参加方法
最後に、DAOのガバナンストークンへの投資方法を紹介しておこう。
先ほど紹介したメイカー(MKR)のように、国内の仮想通貨取引所に上場しているガバナンストークンもある。
しかし、それらはごく一部で、ガバナンストークンの多くは海外の仮想通貨取引所や、DEX(分散型取引所)で取り扱われている。
したがって、ここでは、日本の仮想通貨取引所で一旦元手となるビットコインなどの仮想通貨を用意したのち、それを海外取引所でガバナンストークンに換金する流れを解説していく。
ただし、冒頭でも紹介したとおり、海外の仮想通貨取引所やDEXなどは日本の法律の管轄外のサービスだ。
国内の仮想通貨取引所やサービスのように、投資家保護の観点から設けられているさまざまな規制は存在せず、何かしらトラブルに見舞われても日本の法律を頼りに解決することは難しい。
利用する場合は、そうしたリスクを事前にしっかりと認識したうえで利用するようにしたい。
- 国内の仮想通貨取引所で、ビットコインなどを購入する
- ビットコインなどを海外取引所に送金する
- ビットコインなどでガバナンストークンを購入する
国内の仮想通貨取引所で、ビットコインなどを購入する
まずは元手となるビットコインやリップルといったメジャーな仮想通貨を、国内の仮想通貨取引所で購入しよう。
その際のおすすめは、国内有名取引所のDMM Bitcoinだ。
DMM Bitcoinなら、サポートも充実しており、安心・安全のセキュリティに定評があるので、安心して取引することができるだろう。
まだ口座をお持ちでない方は、ぜひこの機会にDMM Bitcoin(PR)の利用を検討してみてはいかがだろうか。
また、DMM Bitcoinについてもっと詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてほしい。
ビットコインなどを海外取引所に送金する
ビットコインなど元手となる仮想通貨を用意したら、それを海外の仮想通貨取引所の口座に送金しよう。
日本人が利用できる海外取引所にはBinanceやBybitなどがあるが、いずれも国内で当局に登録されている業者ではないという点は、認識しておきたい。
ビットコインなどでガバナンストークンを購入する
最後に、国内の仮想通貨取引所から送金したビットコインなどを使い、海外取引所でガバナンストークンを購入しよう。
また、ガバナンストークンを投資対象として扱うだけでなく、それを使ってDAOの投票に参加したい場合は、各DAOの公式サイトやポータルサイトの「Snapshot」にアクセスしてみるとよいだろう。
ちなみに投票に参加する際は、ガバナンストークンをMetaMaskなどのウォレットに移して、それをDAOやSnapshotにつなぐ必要がある。
以上、DAOのガバナンストークンへの投資方法を紹介した。
興味がある方は、海外サービスに関するさまざまなリスクを認識したうえでDMM Bitcoin(PR)など日本の仮想通貨取引所で口座をつくるところから、チャレンジしてみてはいかがだろうか。
DAO(分散型自律組織)に関してよくある質問
- DAOの読み方を教えてほしい
-
DAOは、「ダオ」と読む。
ちなみに、DAOはDecentralized Autonomous Organizationの略で、日本語だと分散型自律組織と訳されることが多い。
- DAOの始め方を教えてほしい
-
DAOの始め方には大きく2種類ある。
DAO関連のプロジェクトを立ち上げる方法と、DAO関連のプロジェクトに参加する方法だ。
後者の場合、DAO関連の仮想通貨銘柄を購入することから始めることが一般的だ。
DAO(分散型自律組織)のまとめ
今回はDAO(分散型自律組織)の特徴や、実際に稼働しているDAOの事例などを紹介した。
- DAOは、中央集権的な管理を必要としない、より民主的な組織である
- ブロックチェーンを基盤にしていて、運営に貢献したインセンティブは仮想通貨で支払われる
- ガバナンストークンを保有することで、だれでも運営に関わる投票権を得られる
- ガバナンストークンは取引所に上場しているものが多く、投資対象としても注目されている
トップダウンで意思決定がなされる従来の組織とは違い、DAOではガバナンストークンを保有すれば、だれでも運営に関与できる。
さらに、ガバナンストークンは仮想通貨取引所に上場しているものが多く、投資対象としても注目されている。
興味がある方は、DAOへの参加のためや投資目的として、実際にガバナンストークンに触れてみてはいかがだろうか。
ガバナンストークンの多くは海外市場で取り扱われているため、まずはDMM Bitcoin(PR)などの国内取引所で、元手となる仮想通貨を用意するところから始めてみよう。