DeSci(分散型科学)とは、Web3技術を活用して既存科学の課題解決を目指す取り組みを指す。
これはいわば、「研究者が主体の民主的な科学」を実現する仕組みであり、研究者は資金調達を簡単に進められるほか、膨大な研究データへのスムーズなアクセスが可能になるという利点がある。
この記事では、DeSciの特徴や将来性、DeSci関連銘柄などについて解説していく。
- DeSciはWeb3を活用して既存科学の課題解決を目指す取り組み
- DAO(分散型自律組織)を活用した新たな資金調達が可能に
- ブロックチェーン上でのデータ保管で信頼性・透明性が向上
- 仮想通貨を始めるなら、国内取引所bitbankを利用できる
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※現状、DeSciは比較的新しい概念でありその市場規模も小さく、関連する仮想通貨もマイナーな通貨であることが多いので注意が必要だ。本記事で紹介する銘柄は国内の取引所に上場しておらず、海外取引所やDEXでの取引が基本となる。ただし、海外取引所は日本の金融庁の認可を受けておらず、警告を受けている取引所も多数存在するので利用には気をつけてほしい。ここで紹介する銘柄はあくまでも情報程度にとどめ、自己責任で判断を行うことが大切だ。
DeSci(分散型科学)とは
DeSci(Decentralized Science)とは「分散型科学」を意味しており、Web3が持つ分散型の技術を使い、既存の科学領域の問題解決を目指す取り組みを指す。
2022年、米ベンチャー大手「アンドリーセン・ホロウィッツ」が公式サイト上でDeSciについて紹介したことがきっかけで注目されるようになった。
DeSciの目的は、研究資金の調達方法や知識の共有の仕組みを変革し、知識の所有権と価値を中央集権的な管理から解放することにある。
そのためDeSciでは、研究者がDAO(分散型自律組織)を通じて資金調達できる仕組みを構築したり、研究データや論文をブロックチェーンに記録して透明性や公平性を確保することが可能となっている。
すでに先進医療やバイオテクノロジーなど、様々な分野でDeSciプロジェクトが展開。国内でもその動きがみられており、DeSciをテーマにしたイベントも開催されるなど認知拡大の動きを見せている。
DeSci(分散型科学)の特徴
DeSciは新しい概念であるため、まだその実態をよく理解できていない方も多いだろう。ここでは、DeSciの特徴として以下の3点に注目して見ていきたい。
- DAOによる資金調達が可能
- 研究データへの容易なアクセス
- 研究の再現性が高まる
DAOによる資金調達が可能
DeSciでは研究プロジェクトや中央集権的な組織に依存せず、コミュニティ主導での資金調達が可能である。
具体的には、特定の研究領域を支援するDAOに対し、研究者が自身の研究テーマを提出。その後DAOメンバーによる審査が行われ、メンバー内の投票によって資金援助を行うかどうかが採決される。
仮に資金援助が決まった場合は、DAOが集めた資金を研究者に対して研究資金として分配する仕組みだ。研究者は定期的にDAOへ進捗の報告を行いながら、分配された研究資金を用いて自身の研究を進められる。
これまでは大学や企業、政府機関に属さない限り、研究資金の調達がままならないケースがあったが、DeSciの登場によって研究者の資金調達難度が引き下げられ、迅速に研究を始めることが可能となっている。
研究データへの容易なアクセス
DeSciによる研究データや論文等は、すべてブロックチェーン上での管理・保管が可能だ。そのため、研究者やDAOメンバーは自身の所属に関係なくデータにアクセスできる。
これまで、研究に必要なデータや科学知識は特定の組織や研究室が管理していることが多く、他の研究者と協力して活用することが難しい状況だった。研究データへのアクセスが一部の研究者に限定されるという点は、研究者にとって大きな課題だった。
しかし、ブロックチェーン技術を活用すれば、特定の組織にデータや知識が集中することを防げる。さらに改ざんが困難なブロックチェーン上へデータが記録されることで、データの信頼性や透明性が向上する点も利点となる。
研究の再現性が高まる
DeSciでは、研究成果の質や貢献度に対してトークン発行することで、研究者の評価を可視化することも可能だ。
トークンは研究の質を客観的に評価する指標として機能するため、他の研究者がどのような研究で評価されているのか、それがどれほど信頼できる研究なのかを明確に理解できるようになる。
また、トークンを保有する研究者たちの間でコミュニティが形成されれば、互いに研究成果を共有やフィードバックが行われることで、研究の質のさらなる向上につながるだろう。
トークン獲得というインセンティブは、研究者にとって、正確で再現性の高い研究を行う強い動機付けになる。この仕組みにより、新技術開発の加速化や無駄な研究の削減が進んでいくことが期待されている。
DeSci(分散型科学)の代表的な関連銘柄4選
CoinMarketCapが提供するデータによれば、現状DeSci関連の銘柄は30種類にも満たない。
しかし、全体の時価総額は1,000億円規模となっており、徐々にではあるが市場でのシェア拡大が進んでいる。
ここでは、DeSciにおける代表的な関連銘柄を4つ紹介していく。
- OriginTrail(TRAC)
- Rifampicin($RIF)
- ResearchCoin(RSC)
- Hippocrat(HPO)
※現状、DeSciは比較的新しい概念でありその市場規模も小さく、関連する仮想通貨もマイナーな通貨であることが多いので注意が必要だ。本記事で紹介する銘柄は国内の取引所に上場しておらず、海外取引所やDEXでの取引が基本となる。ただし、海外取引所は日本の金融庁の認可を受けておらず、警告を受けている取引所も多数存在するので利用には気をつけてほしい。ここで紹介する銘柄はあくまでも情報程度にとどめ、自己責任で判断を行うことが大切だ。
OriginTrail(TRAC)
トークン名 | OriginTrail |
---|---|
トークンシンボル | TRAC |
総発行枚数 | 制限なし |
現在価格 | 144.26円 |
時価総額 | 約598億円 |
時価総額ランキング | 179位 |
購入できる取引所 | Bitget・KuCoin |
ブロックチェーンと知識グラフ技術を組み合わせた分散型データ共有プラットフォーム「OriginTrail」が発行するトークンだ。
プラットフォーム上では様々な種類のデータをつなぎ合わせ、安全性の高い環境でデータ共有ができる。例えば、商品の製造から販売までの過程をブロックチェーンを使って透明化し、誰でも追跡できるようにすることが可能だ。
OriginTrailは、サプライチェーンだけでなく、金融や不動産といった様々な分野での活用が期待されている。
ネイティブトークンである「TRAC」は、運営の資金調達やネットワークのセキュリティ確保といった役割を持つ。トークン保有者はガバナンスへの参加が可能なほか、プラットフォーム利用料の割引といった特典を受けられる。
Rifampicin($RIF)
トークン名 | Rifampicin |
---|---|
トークンシンボル | $RIF |
総発行枚数 | 10億$RIF |
現在価格 | 13.46円 |
時価総額 | 約134億円 |
時価総額ランキング | 493位 |
購入できる取引所 | Bitget |
健康寿命を伸ばすための実験の立ち上げ・参加が可能なプラットフォーム「pump.science」が発行するトークンだ。
プラットフォーム上ではSOLを一定額支払うことで、どんなユーザーでも自身の実験を立ち上げできる。実験を立ち上げた人 (開発者) は、実験資金を調達するためのトークン発行が可能だ。
また、プラットフォームのユーザーはこのトークンを購入することで実験を支援しつつ、発見された物質の権利の一部を取得できる仕組みとなっている。
Rifampicin($RIF)は、その名前が結核やハンセン病等の治療に活用される抗生物質「リファンピシン」に由来するユーティリティトークンであり、主に実験への参加やコミュニティの貢献に対するインセンティブとして機能している。
ResearchCoin(RSC)
トークン名 | ResearchCoin |
---|---|
トークンシンボル | RSC |
総発行枚数 | 10億RSC |
現在価格 | 113.41円 |
時価総額 | 約100億円 |
時価総額ランキング | 552位 |
購入できる取引所 | CoinEx |
自由な研究参加や研究成果へアクセスできる環境を提供する「ResearchHub」が発行するトークンだ。
プラットフォーム上ではあらゆる研究論文が無料公開されており、誰でも自由に読んだり、論文についての議論を展開したりすることができる。
また、研究論文の投稿からレビュー、公開までのプロセスが、既存の流れよりも迅速に行われるのが特徴。研究への参加障壁を撤廃されることにより研究の民主化が進み、研究が加速するといった利点が期待されている。
ResearchCoin(RSC)は主に、プラットフォーム上のインセンティブとして活用される。研究論文の共有やコメント・議論等によってトークンを獲得できるなど、ユーザー行動の価値に基づいて獲得量が決まる仕組みだ。
Hippocrat(HPO)
トークン名 | Hippocrat |
---|---|
トークンシンボル | HPO |
総発行枚数 | 制限なし |
現在価格 | 10.63円 |
時価総額 | 約110億円 |
時価総額ランキング | 550位 |
購入できる取引所 | MEXC |
医療データをより安全かつ効果的に活用するためのプロジェクト「Hippocrat」が発行するトークンだ。
このプロジェクトはブロックチェーン技術を活用し、患者中心の医療を行うことにより、医療業界全体を活性化することをビジョンとしている。
医療データの分散型管理を行い、患者中心のデータを活用することにより、パーソナライズ化された医療の提供を推進するほか、医療機関や製薬会社などへのデータ提供から、全ての関係者に報酬が支払われる仕組みを導入することを目指している。
Hippocrat(HPO)はエコシステム内のユーザーに対するインセンティブとして活用されるトークンで、2022年の第二四半期に行われたHUMトークンからのハードフォーク(仕様変更)により誕生している。
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DeSci(分散型科学)の将来性
DeSciが持つ民主的な資金調達やブロックチェーンによるデータ管理は、既存の科学技術を進歩させる可能性がある。
ここでは今後DeSciがどうなっていくのか、その将来性に注目していきたい。
- 様々な分野での技術活用に期待できる
- 新規産業や新たな雇用につながる可能性がある
様々な分野での技術活用に期待できる
DeSciの活用はバイオテクノロジーや医療分野だけにとどまらない。データストラテジーや環境保護のような分野においてもその技術活用が期待されている。
すでにDeSciを基盤とした多様なDAOが世界中で立ち上がっており、独自のビジョンに基づいて活動を展開している。それぞれ異なる分野に特化しつつも、科学発展を目的にアプローチしているのが特徴だ。
- CerebrumDAO:脳科学や神経科学等の研究を推進するDAO
- AthenaDAO:女性の健康に関する研究に焦点を当てたDAO
- ValleyDAO:合成生物学技術に対する研究支援を行うDAO
- PsyDAO:サイケデリック研究に対して資金提供を行うDAO
現在組織展開するどの分野においても、研究資金の透明性やデータのオープンアクセス化、国際的な協力の強化といった恩恵を享受できることを目指している。
DeSciの誕生により、従来の中央集権的な科学研究の枠を超えた、柔軟で効率的な研究体制が構築されることも考えられる。
今後も多分野でDeSciが展開されていけば、一般企業やユーザ層にもDeSci認知が拡大し、さらなる活用シーンが生まれる可能性があるだろう。
新規産業や新たな雇用につながる可能性がある
DeSciの需要拡大が進めば、新たな産業や雇用の誕生につながる可能性が考えられる。
DeSciの概念を具現化するためには、ブロックチェーン技術やスマートコントラクトに精通したプラットフォームやソフトウェアの開発者のほか、人材育成やコミュニティ形成を担うリーダーの存在が必要不可欠だ。
またこうした背景の中で、企業や研究機関がDeSciを導入する際に、戦略策定や技術支援を行うコンサルティングも求められる。DeSciの深い知識とコンサルティングスキルを持つ人材の需要も増加する可能性があるだろう。
DeSciによって多様なアイデアが評価され、革新的な研究が生まれやすくなれば、そこには人的な需要が生まれる。
DeSciを基盤とした新たなスタートアップが誕生することで、経済活性化に貢献する可能性も考えられるだろう。
DeSci(分散型科学)の注意点・リスク
科学とWeb3を融合させた新たな概念であるDeSciは、その仕組みからいくつか懸念点も指摘されている。
ここでは、DeSciの注意点やリスクについて解説していく。
- Web3に関する知識習得が必要になる
- 大量データによるスケーラビリティ問題
- 既存の科学界と衝突する可能性がある
Web3に関する知識習得が必要になる
DeSciはブロックチェーン技術やWeb3に基づくため、参入において専門知識が求められるケースが多い。
例えば、研究資金調達のためのトークン発行というシーンでは、トークンの発行手段はもちろん、トークンエコノミクスの基礎やユーティリティの設定といった概念の理解が必要になる。
その他にも、ブロックチェーン上への研究データ記録、DAOの管理・運営といった従来と異なるプロセスを踏んでいく段階でもWeb3への基礎理解が必須と言えるだろう。
DeSciでの活動内容により、技術的な知識と分野固有の知識をバランスよく習得する必要性が出てくる。そのため、Web3の知識を持たない研究者やユーザーから、DeSciの参入ハードルが高いと認識されてしまいやすい。
大量データによるスケーラビリティ問題
膨大なデータ量をブロックチェーン上に記録することで、スケーラビリティが低下するリスクも懸念されている。
スケーラビリティとは、ブロックチェーン上にトランザクションが集中することで引き起こされる問題を指す。チェーンの処理能力低下や手数料負担の増大は、ユーザーの利便性を損なう大きな要因となる。
高度な処理を可能にするブロックチェーンは増えているが、すべてのチェーンが広範な要求に効率的に対応できるとは限らない。
特に科学的な研究は長期スパンで行われるため、研究データ容量は必然的に大きくなりやすい。そのため、スケーラビリティの低下による研究開発・資金調達プロセスの遅延や、必要以上のコスト負担などの可能性が懸念されている。
既存の科学界と衝突する可能性がある
DeSciは既存科学に革新をもたらす一方、それを良しとしない既存学界との間に摩擦が生じるリスクがある。
例えば、ブロックチェーンによる研究データの透明性向上を目指すオープンサイエンスの理念に対しては、研究成果を独占したいと考える研究者や組織からの反発が予想されるだろう。
このような衝突が生じると、既存の学術制度とDeSci支持者との意見対立が深まり、科学研究の進展が遅れるリスクが考えられる。
その他にも、学術コミュニティの分断のほか、セキュリティ面や法的な問題が発生する可能性も無視できない。
これらの課題を克服するためには、両者が互いの立場や意見を尊重しながら、対話を通じて共通の目標を見出していくことが重要になるだろう。
新しい概念であり、市場規模が小さい
現状、DeSciは比較的新しい概念でありその市場規模も小さく、関連する仮想通貨もマイナーな通貨であることが多いので注意が必要だ。時価総額も低い銘柄が多く、ボラティリティも高くなっている。
また、本記事で紹介したDeSci関連銘柄は国内の取引所に上場しておらず、海外取引所やDEXでの取引が基本となる。ただし、海外取引所は日本の金融庁の認可を受けておらず、警告を受けている海外取引所も多数存在するので利用には気をつけてほしい。
ここで紹介する銘柄はあくまでも情報程度にとどめ、自己責任で判断を行うことが大切だ。
DeSci(分散型科学)に関してよくある質問
- DeSciの読み方は?
-
読み方は「ディサイ」である。
Decentralized Science(ディセントラライズドサイエンス)の略称となる。
- DeSci Japanとは何ですか?
-
DeSci Japanとは、DeSciの日本人向けのコミュニティである。
国内外のDeSciコミュニティと連携して日本の科学研究の発展支援していくことを目的としており、公式Xによる情報発信のほか、DeSci関連のカンファレンス開催などを手掛けている。
- DeSci関連銘柄は国内でも購入できますか?
-
DeSci関連銘柄は執筆時点において、国内取引所に上場していない。そのため、国内取引所で元手の仮想通貨を準備し、海外取引所を経由して購入する方法がある。
なお、海外取引所は金融庁からの認可を受けていないため、国内取引所よりも利用リスクが高い。
自己責任で海外取引所の口座開設を行ったうえで、DeSci関連銘柄への投資を判断してほしい。
※現状、DeSciは比較的新しい概念でありその市場規模も小さく、関連する仮想通貨もマイナーな通貨であることが多いので注意が必要だ。本記事で紹介する銘柄は国内の取引所に上場しておらず、海外取引所やDEXでの取引が基本となる。ただし、海外取引所は日本の金融庁の認可を受けておらず、警告を受けている取引所も多数存在するので利用には気をつけてほしい。ここで紹介する銘柄はあくまでも情報程度にとどめ、自己責任で判断を行うことが大切だ。
DeSci(分散型科学)のまとめ
DeSciは研究者の資金調達や研究データへのアクセスなど、従来の課題点をWeb3技術で解決する新たな概念だ。
主に医療やバイオテクノロジーといった面で活用が進んでおり、各分野での課題解消が期待されている。未だ広い認知を獲得していないが、その将来性にはすでに製薬会社等の一般企業も注目し始めている。
- DeSciはWeb3技術の活用により、既存科学の課題解決を目指す取り組み
- DeSci関連銘柄全体の時価総額は、1,000億円超えと成長を続けている
- データストラテジーや創薬といった、広範囲での活用が期待されている
- DeSciの拡大により、新たな産業や雇用が創出される可能性が考えられる
DeSci関連銘柄は、執筆時点で国内取引所には上場していない。そのため、まずは国内取引所を使って元手の仮想通貨を準備し、海外取引所を経由して任意の銘柄を購入するのが一般的な方法だ。
国内取引所「bitbank」であれば、販売所を活用したシンプルな仮想通貨購入が可能だ。40種類以上と国内トップクラスの取扱通貨数を誇るため、現物投資にもピッタリな取引所と言えるだろう。
これから仮想通貨取引を始めるという人も、bitbank公式サイトから詳細をチェックしていただきたい。
※現状、DeSciは比較的新しい概念でありその市場規模も小さく、関連する仮想通貨もマイナーな通貨であることが多いので注意が必要だ。本記事で紹介する銘柄は国内の取引所に上場しておらず、海外取引所やDEXでの取引が基本となる。ただし、海外取引所は日本の金融庁の認可を受けておらず、警告を受けている取引所も多数存在するので利用には気をつけてほしい。ここで紹介する銘柄はあくまでも情報程度にとどめ、自己責任で判断を行うことが大切だ。