ETF(Exchange Traded Funds、上場投資信託)は、その名のとおり証券取引所に上場している投資信託であり、近年は仮想通貨を構成銘柄とする「仮想通貨ETF」も登場している。
株式で構成されるETFなどと同様に、一般的に仮想通貨ETFは、複数の仮想通貨で構成されており、購入すれば手軽に分散投資をすることができる。
今回はそんな仮想通貨ETFについて、主な特徴や日本での取り扱い状況、今後の見通しなどを解説していく。
- 一般的に仮想通貨ETFは、複数の仮想通貨で構成されている
- 本記事執筆時点で日本の証券取引所および証券会社では、仮想通貨ETFの取り扱いがない
- 今後、国内の証券取引所に仮想通貨ETFが上場するかどうかはわからない
- 2024年1月に米SECがビットコインの現物ETFを承認
- 裁量取引で複数の仮想通貨に分散投資すれば、仮想通貨ETFをまねすることができる
- 取り扱い通貨が豊富なCoincheckなら、仮想通貨ETFの運用パフォーマンスを再現しやすい
本記事執筆時点(2024年11月)で、残念ながら日本では、仮想通貨ETFに投資することができない。
しかし、自分で複数の仮想通貨に分散して投資すれば、手間はかかるが、運用パフォーマンスは、仮想通貨ETFに近づけることができる。
仮想通貨ETFの再現にチャレンジしてみたい方は、取り扱い通貨が豊富なCoincheck公式サイトを、ぜひチェックしておくとよいだろう。
ビットコインETFの流入情報
ビットコインは、2024年1月に米SECが運用対象とするETFを承認した。
以下は、2024年1月から11月現在までのビットコイン現物ETF純流数を示したものだ。
緑と赤の縦軸が週次の総純流入数、白い線は総純資産総額、黄色の線はビットコインの価格を示している。
総純流入数を見ると、2024年2月に流入数が多くなっていることが分かる。2024年2月は、ビットコインETFの上場が活発化した時期であり、価格上昇と共に流入数も増加した。
しかし、2024年2月からは流入数も減少し、6月・7月を除いて停滞していたと言えるだろう。
2024年6月~7月は、ETHのETF承認期待が高まっていた時期であり、先行して上場されたビットコインETFの流入数が一時的に増加した。
2024年10月から11月現在にかけては、流入数が増加していることが分かる。2024年11月は米大統領選で仮想通貨に好意的な姿勢を示すドナルド・トランプ氏が当選したことで、ビットコインの価格も最高値を更新中だ。
10月から投資家による先行買いが進み、11月現在に至るまでETFの流入が過熱している。まだビットコインETFの業界は歴史が浅いが、現時点ではビットコインの価格と流入数は連動する傾向にある。
今後の動向から目が離せない。
ブラックロックのビットコイン現物ETF、オプション取引がスタート
11月19日、米国においてビットコイン現物ETFのオプション取引が正式に開始された。
最初に取り扱いを始めたのはブラックロックが提供するiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)であり、これは仮想通貨市場に新たなステージをもたらすものと注目されている。
この動きは、2024年1月にSECが11件のビットコイン現物ETFを承認したことを受けて準備が進められてきた流れの一環だ。
現時点で、IBITは約6.6兆円相当のビットコインを管理する最大規模の仮想通貨ETFとなっている。
オプション取引は、機関投資家が資産価格の変動に対して戦略的な対応を取る手段として機能し、リスクヘッジや投機の幅を広げる役割を果たすとされる。
この市場の誕生により、ビットコイン取引における流動性の向上や価格発見の仕組みが強化されると専門家は分析している。
初日の取引は好調で、数億ドル規模の取引が行われ、特にコールオプションが多く取引された。
初日の取引データによると、IBITのオプション取引はすでに成功を収めた。ブルームバーグのシニアETFアナリストによると、初数時間で数億ドル規模の取引が行われ、そのほとんどが強気ポジションであるコールオプションであった。
引用元:Coinpost
市場関係者は、この動きをビットコイン市場の成熟を示すものと見ている。
アンカレッジ・デジタルのCEO、ネイサン・マッコーリー氏は、今回のオプション取引の開始を、ビットコインが株式や債券と並ぶ機関投資の主要資産となるための重要な一歩と評価している。また、オプション市場の成長が価格変動性を抑え、市場を安定させるとの見方も出ている。
ブラックロックに続き、今週中にはビットワイズのETFオプション取引も始まる予定であり、仮想通貨市場の動向にさらなる注目が集まっている
ビットコイン/仮想通貨のETFとは?
ETF(Exchange Traded Funds、上場投資信託)とは、証券取引所に上場している投資信託のことだ。
また投資信託とは、多数の投資家から集めた資金を、運用会社が株式や債券などに投じて運用してくれる金融商品のことであり、仮想通貨ETFは、その名のとおり投資先が仮想通貨となっている。
仮想通貨ETFは、仮想通貨取引所で取引をするのではなく、他のETFと同じように、証券会社を経由して、上場先の証券取引所で取引する。
ビットコインETF最新情報
2024年に入って、ビットコインのETFは各所で続々と動きを見せている。
以下では、2024年に入ってからのビットコインETFに関する最新情報を見ていこう。
【2024年1月】米SECがビットコインの現物ETFを承認
これまでは、ビットコインの先物ETFのみ承認されていたが、2024年1月11日にはビットコインの現物ETFが米SECによって承認された。
これにより、機関投資家や個人投資家がビットコインを直接保有することなく、仮想通貨へのアクセスができるようになる。なお、本承認はあくまでも米SECでの承認であり、日本で承認が下ったわけではない。
今後、日本での承認が下るかがは定かではないが、これまで現物ETF承認に否定的であった米SECが申請を承認したことは、仮想通貨の歴史上において大きな出来事と言えるだろう。
今回はブラックロック(BLK.N)、21シェアーズ(ABTC.S)、フィデリティ、インベスコ(IVZ.N)、VanEckなどの申請が一気に承認されており、市場が大きく動いている。
ビットコインの価格動向は、以下の記事で解説しているので、ぜひチェックして動向を追っていくと良い。
【2024年4月】香港の取引所でビットコインETF取引がスタート
2024年4月30日からは、香港の取引所にてビットコインETFの取引がスタートし大きな話題となっている。アジアで初めて仮想通貨現物ETFの取引開始となった。
また、香港では以下6銘柄のETFが取引されており、ビットコインだけではなくイーサリアムのETFも取引がスタートしている。
- 華夏ビットコインETF(3042.HK)
- 華夏イーサETF(3046.HK)
- ボセラ・ハッシュキー・ビットコインETF(3008.HK)
- ボセラ・ハッシュキー・イーサリアムETF(3009.HK)
- ハーベスト・ビットコイン・スポットETF(3439.HK)
- ハーベスト・イーサ・スポットETF(3179.HK)
米SECは現時点でイーサリアムのETFを承認していないが、香港では先んじて承認されている。
ビットコインとイーサリアムの現物ETFへの年間の資金流入量は、約770億円にも上るとの見通しが立っており、仮想通貨市場全体での価格上昇が期待されている。
【2024年7月】SBIが米資産運用大手と新会社設立、ビットコインETF参入準備か
2024年7月には、SBIホールディングスが、年内に米国の大手運用会社であるフランクリン・テンプルトンと合弁会社を設立する予定であると、日本経済新聞が伝えた。
フランクリン・テンプルトンは、主に投資信託、上場投資信託(ETF)、その他の投資商品を提供している。デジタル証券の取り扱いや、日本国内でのビットコインETFの投資環境を見据えた方針を打ち立てた可能性があるという。
国内の証券市場でビットコインETF(上場投資信託)が取引可能になると、税制面での大きなメリットが生まれると期待されている。
現物のビットコインは雑所得として扱われるため、最大で約55%の税率がかかるが、証券市場で取引できるビットコイン現物ETFならば、譲渡益に対して「申告分離課税」が適用され、20.315%の税率で済む。
さらに、国内上場株式やETFと同様に、ビットコインETFが「譲渡所得」として扱われる場合、最長3年間の損失繰越による「損益通算」が可能となり、「特定口座(源泉徴収あり)」を利用することで原則として確定申告が不要になる可能性がある。
ビットコイン/仮想通貨のETFは承認される?
仮想通貨ETFが証券取引所に上場するには、運用会社が上場させたいETFごとに、各国政府の金融規制当局(例えばアメリカなら米証券取引員会(SEC)、日本なら金融庁)に申請を出して、承認を受けなければならない。
例えばアメリカやオーストラリアなどでは、いくつかの仮想通貨ETFが金融規制当局からの承認を受けて、証券取引所で取引されている。
一方で日本の場合は今のところ(2024年11月時点)、証券取引所で仮想通貨ETFの取り扱いは一切なく、運用会社が仮想通貨ETFの上場を目指して申請を行っている様子もない。
2024年7月にはSBIが米大手運用会社と新会社の設立で国内でもETF上場が期待されているが、まだ具体的な発表はされていない。
また、日本の証券会社のなかには、米国株を取り扱うのと同じように、海外の証券取引所に上場しているETFを取り扱うところもあるのだが、本記事執筆時点では日本の証券会社が扱う海外ETFに、仮想通貨ETFは含まれていない。
つまり、日本の証券会社では現状、仮想通貨ETFに投資することは不可能である。
ビットコイン/仮想通貨ETFの仕組み・特徴
今のところ日本の証券会社では、仮想通貨ETFに投資することはできないのだが、一応ここで、仮想通貨ETFの仕組みや特徴を押さえておこう。
- 複数の仮想通貨で構成されている
- 取引のルールは、証券取引所と証券会社のルールに従う
- ビットコインのみの値動きに連動したユニークなETFもある
複数の仮想通貨で構成されている
多くのETFは、様々な指数に連動する「インデックスファンド」と、指数を上回るリターンを出すこと、もしくは指数に関係なくリターンを出すことを目指す「アクティブファンド」に分類される。
仮想通貨ETFも、投資対象が株式などから仮想通貨に置き換わっただけなので、そうした分類や仕組みの部分は、従来からあるETFと基本的に同じである。
例えば、Hashdex社が手がける「Hashdex Nasdaq Crypto Index ETF」は、仮想通貨の指数の1つである「Nasdaq Crypto Index(NCI)」と連動した運用成果を目指すインデックスファンドとなっている。
NCIの構成銘柄とその比率(2022年1月1日に設定された比率)は、以下のとおりだ。
構成銘柄 | 構成比率 | |
---|---|---|
1 | ビットコイン(BTC) | 69.88% |
2 | イーサリアム(ETH) | 27.08% |
3 | ライトコイン(LTC) | 0.65% |
4 | チェーンリンク(LINK) | 0.44% |
5 | ポルカドット(DOT) | 0.42% |
6 | ビットコインキャッシュ(BCH) | 0.38% |
7 | ステラルーメン(XLM) | 0.34% |
8 | ユニスワップ(UNI) | 0.27% |
9 | アクシー・インフィニティ(AXS) | 0.21% |
10 | ザ・サンドボックス(SAND) | 0.17% |
11 | ファイルコイン(FIL) | 0.16% |
このようにNCIは11種類の仮想通貨で構成されており、それに連動するHashdex Nasdaq Crypto Index ETFへの投資は、複数の銘柄に分散投資をすることと実質的に同じである。
また、NCIの構成銘柄や構成比率は定期的に変更されるのだが、Hashdex Nasdaq Crypto Index ETFはそれに合わせて、運用会社であるHashdex社が投資先や投資比率を調整してくれるため、運用に手間がかからない。
ただし、運用に手間がかからない一方で、投資家は運用会社に対して、信託報酬を支払う必要がある。
取引のルールは、証券取引所と証券会社のルールに従う
仮想通貨ETFは証券取引所に上場している金融商品であるため、取引のルールは、仮想通貨取引所のルールではなく、証券取引所と取引を仲介してくれる証券会社のルールに従うことになる。
仮想通貨取引所と証券取引所の取引ルールで、もっとも差がある部分は、取引可能な時間であろう。
仮想通貨は、土日祝日に関係なく24時間365日(仮想通貨取引所のメンテナンス時間を除く)、取引が可能だ。
それに対して仮想通貨ETFの場合は、証券取引所がオープンしている時間にしか取引所取引をすることができない。
ビットコインのみの値動きに連動したユニークなETFもある
ETFは基本的に、株式を扱うにせよ債券を扱うにせよ、複数の銘柄で構成されている。しかし、仮想通貨ETFのなかにはValkyrie社の「XBTO Bitcoin Futures Fund」や、プロシェアーズ社の「プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF」など、ビットコインのみを投資対象とするETF(以下、ビットコインETFと呼ぶ)もいくつか存在する。
仮想通貨取引所を使えばビットコインにローコストで投資することができるのに、運用会社への信託報酬が発生するビットコインETFへ投資することに何のメリットがあるのかと、疑問に思う方もおられるかもしれない。
しかし株式やETFへの投資を行っている投資家のなかには、証券会社とは別に仮想通貨取引所にも口座を開設して、ビットコインなどへの投資にチャレンジすることに抵抗を感じる人も一定数いるため、そうした投資家への門戸として、ビットコインETFはそれなりの需要があるようだ。
なお、仮想通貨投資を検討している方は下の記事もぜひ併せて確認しておきたい。
仮想通貨取引におすすめの取引所3選!
ビットコインETFを通じて、仮想通貨に興味を持った方も多いだろう。
以下では、仮想通貨取引におすすめの国内取引所をおすすめ順に3社紹介していく。
Coincheck
提供する取引の種類 | 現物取引(販売所・取引所) |
取り扱う仮想通貨 | 31種類 BTC、XRP、ETH、BCH、XEM、 LSK、LTC、ETC、XLM、MONA、 QTUM、BAT、IOST、ENJ SAND、DOT、PLT、FNCT、CHZ、 LINK、DAI、IMX、APE、MATIC、MKR、 AXS、WBTC、AVAX、SHIB、BRIL、BC |
最小取引数量 (ビットコインの場合) |
現物取引(販売所):500円相当額 現物取引(取引所):0.005 BTC以上、かつ500円(相当額)以上 |
取引手数料 (ビットコインの場合) |
現物取引(販売所):無料、スプレッドあり 現物取引(取引所):無料 |
仮想通貨の送金手数料 (ビットコインの場合) |
0.0005~0.016 BTC |
その他のサービス | Coincheckつみたて Coincheck IEO Coincheck NFT Coincheckでんき Coincheckガス Coincheckアンケート 貸暗号資産サービス ステーキングサービス(β版) |
公式サイト | Coincheck公式サイト |
関連記事 | Coincheckの評判・口コミ |
Coincheckはマネックスグループ傘下の仮想通貨取引所で、ビットコインをはじめとして31種類の仮想通貨を取り扱っている。
レバレッジ取引のサービスはなく、現物取引に特化しており、取引の形式は「取引所」と「販売所」の2種類がある。
これら2種類のうち、取引所を利用してビットコインを取引する場合は、取引手数料がかからないようになっているため、ビットコインをメインの取引対象とするのであれば、Coincheckがうってつけだ。
また、Coincheckはシンプルで扱いやすい取引アプリが人気で、2019年から2023年にかけて、ダウンロード数No.1を獲得している。※対象:国内の暗号資産取引アプリ、データ協力:AppTweak
ダウンロードは無料でできるので、興味があるなら口座を開設する前に、口座開設の検討材料の1つとして取引アプリに触れてみてはいかがだろうか。
bitbank
提供する取引の種類 | 現物取引(販売所・取引所) |
取り扱い銘柄数 | 40種類 |
最小取引数量 (BTCの場合) |
現物取引(販売所):0.0001 BTC 現物取引(取引所):0.0001 BTC |
取引手数料 (BTCの場合) |
現物取引(販売所):無料、スプレッドあり 現物取引(取引所):Maker -0.02%、Taker 0.12% |
仮想通貨の送金手数料 (BTCの場合) |
0.0006 BTC |
その他のサービス | 貸して増やす(レンディングサービス) |
公式サイト | bitbank公式サイト |
関連記事 | bitbankの評判・口コミ |
bitbankは、豊富な銘柄を扱う仮想通貨取引所である。
販売所形式だけではなく取引所でもビットコインを含む40銘柄の取引が可能だ。
また、ほとんどの銘柄を取引所から売買できるため、取引コストを抑えられる点が魅力となっている。
セキュリティ面に力を入れていることも、bitbankの重要な特徴の1つであり、2018年には第三者機関からセキュリティ性能での日本一*の評価を与えられたこともある。*2018年10月3日 ICORating調べ
SBI VCトレード
名称 | SBI VCトレード |
提供する取引の種類 | 現物取引(販売所・取引所) レバレッジ取引(販売所) |
取り扱う仮想通貨 | 24種類 BTC、ETH、XRP、LTC、 BCH、DOT、LINK、ADA、 DOGE、XLM、XTZ、SOL、 AVAX、MATIC、FLR、OAS、 XDC、SHIB、DAI、ATOM APT、HBAR、ZPG、NEAR |
最小取引数量 (ビットコインの場合) |
販売所:0.0001BTC 取引所:0.000001BTC レバレッジ取引:0.001BTC |
取引手数料 (ビットコインの場合) |
販売所:無料※スプレッドあり 取引所:Maker -0.01%、Taker 0.05% レバレッジ取引:建玉金額×0.04%/日 |
日本円の入金手数料 | 無料 |
日本円の出金手数料 | 無料 |
仮想通貨の入金手数料 | 無料 |
仮想通貨の出金手数料 | 無料 |
公式サイト | SBI VCトレード公式サイト |
関連記事 | SBI VCトレードの評判・口コミ |
SBI VCトレードはSBIグループのSBI VCトレード株式会社が運営する国内大手の仮想通貨取引所だ。
ビットコインを始めとしたメジャー通貨だけでなく、国内では珍しいマイナーな通貨も豊富に扱っている。
また、多くの関連サービスが提供されている点も特徴だ。
レバレッジ取引やレンディング(貸暗号資産)、仮想通貨の積み立てと、短期・長期の両方で利用しやすいサービスが多く、取引の選択肢を広げられる。
現在は、新規口座開設で1,000円相当のBTCがプレゼントされるキャンペーンを実施している。
ぜひこの機会にSBI VCトレード公式サイトをチェックしてみてほしい。
ビットコイン/仮想通貨ETFの買い方
先ほども述べたとおり、今のところ日本の証券会社では、残念ながら仮想通貨ETFに投資することはできない。
しかし、仮想通貨ETFへの投資よりも相応の手間はかかるが、仮想通貨取引所を使い、複数の銘柄に分散投資することによって、仮想通貨の指数やETFに近い運用パフォーマンスを再現することは可能だ。
例えば、先ほど紹介した仮想通貨の指数NCI(Hashdex Nasdaq Crypto Index ETFが連動を目指す指数)は11種類の銘柄で構成されているのだが、取り扱い銘柄が豊富な「Coincheck」なら、そのうちの9種類に投資できる。
その8種類を合計するとNCIでの構成比率は99.57%となるので、Coincheckを使えば裁量取引でも、NCIおよび「Hashdex Nasdaq Crypto Index ETF」の運用パフォーマンスを、かなり高い精度で再現することができる。
NCIの構成銘柄の内 Coincheckで取り扱いがあるもの |
NCIでの構成比率 | |
---|---|---|
1 | ビットコイン(BTC) | 72.2% |
2 | イーサリアム(ETH) | 26.2% |
3 | ライトコイン(LTC) | 0.65% |
4 | チェーンリンク(LINK) | 0.44% |
5 | ポルカドット(DOT) | 0.42% |
6 | ビットコインキャッシュ(BCH) | 0.38% |
7 | ステラルーメン(XLM) | 0.34% |
8 | アクシー・インフィニティ(AXS) | 0.21% |
9 | ザ・サンドボックス(SAND) | 0.17% |
そこで、ここではCoincheckを例として取り上げて、裁量取引で仮想通貨ETFへの投資を再現する方法を解説していく。
- Coincheckで口座を開設する
- 再現したい仮想通貨ETFに合わせて、投資対象や投資金額などを決める
- 投資資金を入金する
- 各銘柄を購入する
Coincheckで口座を開設する
まずはCoincheck公式サイトにアクセスして、口座開設の申し込みをしよう。
Coincheckでの口座開設手順は以下のとおりで、本人確認手続きは、スマホで自身の顔と本人確認書類を撮影アップロード形式で行える。
- メールアドレスを登録する
- 各種重要事項を確認する
- 電話番号認証をおこなう
- 個人情報を入力する
- 本人確認書類を提出する
再現したい仮想通貨ETFに合わせて、投資対象や投資金額などを決める
Coincheckの口座開設が完了したら、次は再現したい仮想通貨ETFを決めよう。
仮想通貨ETFはそれぞれ構成銘柄が異なっており、例えば「Hashdex Nasdaq Crypto Index ETF」には11種類の構成銘柄がある。これをCoincheckで再現しようとするなら、11種類のうち9種類に投資することができる。
次に、仮想通貨ETFや指数の構成比率を参考にしながら、実際に投資する金額と数量を決めていこう。
仮に元手が100万円なら、各銘柄への投資金額・投資数量は以下のようにすると、再現度が高くなる。
NCIの構成銘柄*1 | NCIでの構成比率 | 元手100万円 での配分 | 数量概算*2 |
---|---|---|---|
BTC | 69.88% | 69万8,800円 | 0.075BTC |
ETH | 27.08% | 27万800円 | 0.6ETH |
LTC | 0.65% | 6,500円 | 0.54LTC |
LINK | 0.44% | 4,400円 | 2.2LINK |
DOT | 0.42% | 4,200円 | 3.81DOT |
BCH | 0.38% | 3,800円 | 1.7BCH |
XLM | 0.34% | 3,400円 | 212XLM |
AXS | 0.21% | 2,100円 | 1.8AXS |
SAND | 0.17% | 1,700円 | 25SAND |
*2:元手100万円を配分した場合の概算、2024年11月18日時点
投資資金を入金する
続いて、自身の口座に投資資金を入金しよう。
Coincheckの場合、入金方法は銀行窓口やATMなどから振り込む振込入金と、インターネットバンキングを用いたクイック入金のコンビニ入金の3種類から選択可能だ。
振込入金では、利用した金融機関の振込手数料を自分で負担しなければならない。
そのため、インターネットバンキングを使える口座をお持ちの方は、クイック入金を利用することをおすすめする。
各銘柄を購入する
最後に、あらかじめ計算した投資金額・投資数量に合わせて、対象の仮想通貨を購入していこう。
コインチェックでは日本円での購入金額を指定して、仮想通貨を購入できる。
コインチェックの販売所から購入したい通貨を選択し、数量を入力後に交換する通貨を選択しよう。
以上、コインチェックを例にして、仮想通貨ETFへの投資を再現する方法を紹介した。
自分で分散投資を行えば、手間はかかるが仮想通貨ETFへの投資をまねることができ、その際に仮想通貨が豊富にそろっているコインチェックはうってつけだ。
チャレンジしてみたい方は、ぜひこの機会にCoincheckの利用を検討してみてはいかがだろうか。
ビットコイン/仮想通貨ETFの今後の見通し・将来性
最後に、仮想通貨ETFの今後について、考察してみよう。
- アメリカではビットコインの現物ETFが承認されている
- ビットコイン以外の仮想通貨ETF承認期待が高まっている
- 日本における仮想通貨ETFの行方は不透明
- ETFのバリエーションが増えていく見込みである
アメリカではビットコインの現物ETFが承認されている
仮想通貨ETFはまだまだ歴史の浅い金融商品であり、その今後を占うには、金融先進国であるアメリカの動向が参考になるだろう。
アメリカでは、多くの運用会社が仮想通貨ETFを作成・申請して、証券取引所への上場を目指しているのだが、先物ETFはSEC(米証券取引委員会)にいくつも承認されていく一方で、現物ETFはことごとく非承認にされてきてた。
現物ETFを非承認とする理由としてSECは、「相場操縦や詐欺行為を防ぎ、投資家の利益を守るための要件を満たしていない」ことを挙げた。
しかし、2023年10月後半よりビットコインの現物ETF承認期待が高まっていた。数々の拒否を受けながらも、複数の資産運用会社が修正案を提出する動きが加速していたのだ。
そして、冒頭でも紹介したように、2024年1月11日には米SECによりビットコインの現物ETFが承認された。
結果、2023年10月後半~2024年11月現在までの価格動向を見ると、ビットコイン価格が大きく上昇している。承認前から期待値が高まっていたこともあり上昇を続けていたが、承認後の現在にかけても価格上昇は続いている
今回の承認を受け、今後は多くの米運用会社でのビットコイン現物ETFの取引が加速していく可能性がある。また、2024年4月にはアジアで初めて香港の取引所でビットコインとイーサリアムのETFが取引開始となっている。
オーストラリアの証券取引所でも、2024年6月にもにビットコインの現物ETFを承認しており、各国でビットコインが投機から投資の対象に変わっていると言えるだろう。
ビットコイン以外の仮想通貨ETF承認期待が高まっている
米SECのビットコイン現物ETF承認は大きな話題となったが、市場ではビットコイン以外のETF承認期待が高まっている。
2024年5月にはイーサリアムの現物ETFが承認されており、次はSOLの現物ETF承認になると言われている。
ただし、ビットコインの現物ETF時でも長期化していたため、イーサリアムの承認は時間がかかるとの見方も多かった。
しかし、結果的に早期の承認となっていることから、SOLも早期で承認される可能性も充分あると見ていいだろう。
今後、主要国でビットコイン以外の仮想通貨現物ETFが承認されるかに注目だ。
日本における仮想通貨ETFの行方は不透明
アメリカでは多くの運用会社が仮想通貨ETFの作成・申請にチャレンジしており、その様子が逐一、各メディアで報道されている。
アメリカの仮想通貨業界については、証券会社や資産運用会社、仮想通貨取引所などが仮想通貨ETFの普及を目指す一方、SECが投資家保護を理由として頑なに現物ETFの承認を拒否し続けているという、対立の構図があることが如実に伝わってくる。
一方で日本の場合は、運用会社が仮想通貨ETFの市場上場を目指すというアクションそのものが、今のところ(2024年5月上旬時点)は見受けられない。
また、アクションがなければ当然、報道される機会もないので、日本における仮想通貨ETFの取り扱いの行方は、今はまったくと言ってよいほどわからない。
ただ前述のとおり、アメリカで現物ETFが認められいることから、日本でもそれに追従して、運用会社や証券会社などが何らかのアクションを起こす可能性はあるだろう。
ETFのバリエーションが増えていく見込みである
今の仮想通貨ETFは、複数の銘柄で構成されるにしても、いずれも仮想通貨のみを投資対象としている。
しかし今後、仮想通貨ETFの普及が進めばバリエーションが増えて、例えば「仮想通貨と株式」や「仮想通貨と債券」といったように、仮想通貨と他の金融資産を組み合わせたETFも誕生すると見られている。
仮想通貨は他の金融資産と比べると、価格変動による損失リスクが大きいのだが、例えばETFで債券と組み合わせればリスクの低減につながる。投資家にとってそうしたETFの誕生は、リスク・リターンの取り方の選択肢が広がることになるだろう。
ビットコイン/仮想通貨ETFに関してよくある質問
- ビットコインETFはどこで買えますか?
-
ビットコインの現物を購入するには仮想通貨取引所の口座が必要だが、ビットコインETFは証券会社を通じて購入すする。
そもそも、ビットコインETFはビットコインの価格に連動して価値が変動する上場投資信託である。
そのため、現物のビットコインとは異なり、証券会社から株を購入するように売買注文を行うものだ。
- ビットコインETFは日本で買えますか?
-
2024年11月時点で、ビットコインETFは日本で承認されていない。
そのため、日本の証券会社では扱っておらず、購入することはできない現状だ。
しかし、海外では続々とビットコインETFが承認されていることから、今後流れが変わり日本でも承認される可能性がある。
- ビットコインETFはいつ承認されましたか?
-
ビットコインETFは、2021年2月にカナダで承認されたのが始まりである。同時期にはカナダだけではなく、バミューダ、ブラジル、ドバイでのETFも承認された。
その後、2021年10月にアメリカでビットコイン先物ETFが承認。
先物ETFの承認後、アメリカではETF申請を承認する米SECが現物ETFの承認には否定的な姿勢を見せていた。
しかし、2024年1月11日には米大手運用会社の現物ETF申請を米SECが承認している。
ビットコイン/仮想通貨ETFのまとめ
今回は仮想通貨ETFについて、その特徴や日本での取り扱い状況、今後の見通しなどを解説した。
- 仮想通貨ETFとは、その名のとおり投資先が仮想通貨となっているETF(上場投資信託)のこと
- 本記事執筆時点では、日本で仮想通貨ETFに投資することはできない
- これから日本の証券取引所に仮想通貨ETFが上場するかどうかは、今のところわからない
- 複数の仮想通貨に分散して投資することで、仮想通貨ETFの運用パフォーマンスをまねることは可能
- 仮想通貨ETFのパフォーマンスを再現するなら、取り扱い通貨が豊富なCoincheckがおすすめ
残念ながら本記事執筆時点(2024年11月)で、日本の証券取引所および証券会社では、仮想通貨ETFの取り扱いがない。
ただ、手間はかかるが、複数の仮想通貨に対して、仮想通貨取引所で分散投資を行えば、仮想通貨ETFの運用パフォーマンスをまねることは可能だ。
興味がある方はぜひ本記事を参考にしながら、取り扱い通貨が豊富なCoincheckなどを利用して、仮想通貨ETFの再現にチャレンジしてみてほしい。