仮想通貨(暗号資産)市場において、米国のサークル(Circle)社が発行する米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」は、その透明性と規制適合性の高さから、世界各国での導入が進んでいる。
2025年3月にはSBIホールディングスとの提携により、SBI VCトレードを通じて日本国内での正式な流通も開始された。
本記事では、サークル社の事業内容やUSDCの特徴、日本市場での動き、将来性やリスクまでを幅広く整理する。
- サークル社は、米ドル連動のステーブルコイン「USDC」を発行する企業
- サークル社が発行するUSDCは、信頼性や透明性といった面で評価されている
- 2025年に入り、USDCは日本国内でも正式に流通し始めた
- ステーブルコイン市場のシェアという観点では、USDCよりもUSDTに軍配が上がる
USDCを含む仮想通貨の取引に興味がある人は、国内取引所のSBI VCトレードの利用を検討すると良いだろう。

まだ口座を持っていない人は、SBI VCトレードの公式サイトをチェックしてほしい。

サークル(Circle/CRCL)社とは?

企業名称 | Circle Internet Financial, Inc. |
---|---|
市場情報 | NYSE |
ティッカー | CRCL |
株価 | 188.77 USD |
主な事業内容 | 米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」の発行 仮想通貨を基軸とした金融インフラの提供 |
設立年月 | 2013年10月 |
共同創設者、最高経営責任者券会長 | Jeremy Allaire氏 |
本社所在地 | マサチューセッツ州ボストン |
サークル(Circle Internet Financial, Inc.)社とは、米国ボストンに本社を置くフィンテック企業であり、ステーブルコイン「USDC」の発行元として知られている。
USDCはイーサリアムをはじめとする複数のチェーンで展開されており、DeFi(分散型金融)やNFT決済など、仮想通貨経済圏における中核的な役割を担っている。
公式サイトでも記載されているように「BINANCE」「CoinBase」「Stripe」など様々な企業と協力関係にあり、信頼度の高さがうかがえる。
なお、2025年6月5日、サークル社は、ティッカーシンボル「CRCL」にてNYSEで上場を果たしたことが発表された。

サークル(Circle/CRCL)社の特徴
まずは、サークル社の特徴について確認する。
- ステーブルコイン「USDC」の発行元
- 法人向けの金融サービスの提供
ステーブルコイン「USDC」の発行元
サークル社は、米ドルと1:1で連動するステーブルコイン「USDC」の発行元である。
USDCは、仮想通貨市場において広く流通しており、特に透明性と規制準拠性を重視するユーザーから高く評価されている。
USDCの基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
通貨名 | USDC |
発行元 | Circle Internet Financial, Inc. |
開始年 | 2018年 |
法定通貨との連動 | 米ドル(1 USDC ≒ 1 USD) |
担保方法 | 現金および短期米国債による100%裏付け |
対応チェーン | Ethereum、Solana、Base、Arbitrumなど |
USDCは、単なる送金手段にとどまらず、仮想通貨エコシステムにおいて、資金移動を支える実用的なインフラとして機能している。
2025年の日本市場への本格参入以降は、円とドルの連携を担う存在として特に注目されている。
サークル社のUSDCは、信頼性と利便性を両立するステーブルコインとして、今後も仮想通貨市場において広く利用されることが期待される。

法人向けの金融サービスの提供
サークル社の事業は、単なるステーブルコイン発行にとどまらず、法人向けブロックチェーン金融インフラの提供に広がっている。
特に、異なるシステムやアプリケーション同士を連携させるための仕組みであるAPI(Application Programming Interface)を通じた各種サービスは、金融・テクノロジー領域の企業にとって、仮想通貨の導入障壁を下げる手段となっている。
サークル社では「Circle API」が提供されている。このAPにより、支払い・決済・資金移動を効率的に行うことができる。
具体的には以下のような機能を使うことができる。
サービス名 | 機能概要 |
---|---|
Payments API | 資金を受け取るための決済機能 |
Payouts API | 資金を外部に払い出すための決済機能 |
Treasury API | 法人資金を効率的に運用・管理するための機能 |
これらの機能を搭載したAPIを提供することで、スタートアップから大手企業までのあらゆる企業がブロックチェーン技術を活用しやすくなっている。
サークル(Circle/CRCL)社の株価動向

サークル社(ティッカー:CRCL)は、2025年6月5日にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場を果たした。
上場前、サークル社は1株当たり27~28ドルほどで売り出すことが想定されていたが、IPO前日には31ドルと発表したことで、市場の関心が集まった。
IPO時点での実際の始値は69ドルであり、初日の終値は83ドルであった。
フェーズ | 価格 | 解説 |
---|---|---|
想定価格レンジ(仮条件) | 27〜28ドル | IPO前に示した仮の価格帯 |
最終的な公募価格(発行価格) | 31ドル | IPO前日に決定された正式な売り出し価格 |
初値(オープニング価格) | 69ドル | NYSEにて株式が最初に取引された価格 |
初日の終値(クローズ価格) | 83ドル | 上場初日の取引終了時の価格 |
上場後は100USD以下で取引されていたが、その後急上昇し、6月25日には260USDほどまで跳ね上がった。
以降、株価が下がり始め、2025年7月時点では200USD以下で推移している。
このように、株価が大きく変動する点はIPO銘柄によく見られる特徴であり、今後の業績開示や提携・導入事例のニュースフローによって評価が大きく変化する可能性がある。
サークル(Circle/CRCL)社の将来性
次に、サークル社の将来性について、以下の観点から考察をする。
- 日本市場への本格参入
- 市場における位置づけ
日本市場への本格参入
2025年3月25日、SBI VCトレードは、「ステーブルコイン市場の将来性は極めて高い」との立場を明らかにし、日本で初めてUSDCを取り扱う仮想通貨交換業者となった。
日本におけるステーブルコイン市場において、サークル社とSBIホールディングスの連携は大きな転機といえる。
さらに、SBI VCトレードの親会社であるSBIホールディングスは、サークル社とともに「Circle SBI Japan株式会社」を設立し、共同事業を行っている。
こういった背景により、USDCは日本の法制度に適合したうえで正式に国内での流通が開始された。
なお、SBI VCトレードが属するSBIグループは、2023年後半にサークル社と包括的業務提携を締結している。
直近の出来事としては、2025年6月、SBIホールディングスおよびSBI新生銀行が、サークル社に対してそれぞれ2,500万ドルずつ、合計5,000万ドルの出資を発表した。
この出資について、SBIグループは「USDCを既存の金融システムに広く統合するためのプラットフォーム構築を目指す」との立場を取っており、今後、USDCが国内の金融インフラに浸透するための足掛かりとなる可能性がある。
日本市場での展開は、グローバル企業であるサークル社にとって、法的信頼性と実績を蓄積する重要な布石であり、今後は決済・送金・Web3決済への活用など、実需拡大が期待される分野にも事業が広がっていくだろう。
市場における位置づけ
サークル社は、仮想通貨市場において単なるステーブルコイン発行企業ではなく、「デジタルドル経済の基盤インフラ」を提供する企業としての地位を確立しつつある。
この観点について、以下の3つの軸における同社の立ち位置を確認する。
ステーブルコイン市場における位置づけ
サークル社は、ステーブルコイン市場において、「透明性」や「信頼性」といった面で優れている。
要素 | サークル社(USDC) | 類似ステーブルコイン |
---|---|---|
規制対応 | 日本・米国の法制度に準拠 | 未対応または不透明のプロジェクトもある |
監査体制 | 監査報告(月次): Grant Thornton LLP 資産保全・運用(日次):BlackRock |
透明性に課題があるプロジェクトもあり (USDT等) |
国内における信頼性 | SBIとの提携により制度内での信頼を獲得 | 信頼性が低いプロジェクトもある |
仮想通貨インフラとしての実需を備える
USDCは単なる送金手段ではなく、DeFi・決済・Web3アプリの基盤通貨として流通しているだけでなく、米ドル圏と非ドル圏をつなぐ通貨流通の「ハブ」としての機能も担っている。
加えて、サークル社は、効率的な開発環境を実現するための法人向けインフラサービス「Circle API」も提供している。
このような背景により、同社のUSDCは「実需に根ざすステーブルコイン」という位置づけが期待されている。
伝統的な金融とブロックチェーンの中間的立ち位置
サークル社のUSDCは、既存の金融業界と共存できるようなポジションを確保しようとしている。
具体的には、法定通貨(米ドルなど)を中心とした伝統的な金融インフラと、ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーン経済圏の中間に位置づけられており、各マーケット間の橋渡し役として機能していると考えられる。
このように、サークル社は「透明性の高さ」「実用性の高さ」「従来と次世代の金融インフラの中間」といった点において、将来性が期待できると考えられる。
サークル(Circle/CRCL)社の注意点・リスク
次に、サークル社の注意点・リスクについて考察する。
- 規制リスクと対応の不確実性
- USDTとの競争激化
規制リスクと対応の不確実性
サークル社は、USDCを発行する上で各国の規制に積極的に対応してきたが、それでもステーブルコインという性質上、各国の金融規制との摩擦や不確実性は避けて通れない。
現在、米国・EU・日本など、国や地域によってステーブルコインの法的分類が異なるため、今後は、規制当局の姿勢変更や法改正の影響が、事業運営に直接的な影響を及ぼすリスクが存在する。
現時点で、日本においては、金融庁認可の下、SBI VCトレードを通じてUSDCが正式に取り扱われているが、現行制度に準拠していたとしても、今後の政治・行政の動向次第では見直しが行われる可能性もある。
このように、規制の不確実性はサークル社の事業における構造的リスクである。
現時点では合法的かつ透明性の高い運用を実現しているが、今後の法制度の変化がビジネスモデル全体に波及する可能性があることは、認識しておく必要がある。
USDTとの競争激化
USDCは、信頼性と規制対応を強みとするステーブルコインであるが、市場には他にも多くのステーブルコインが存在し、競争はますます激化している。
とくにTether(USDT)は時価総額・流通量ともに圧倒的首位を誇っており、世界第二位のシェアに位置づけられる「USDC」を大きく引き離している。
2025年7月時点のデータによると、各銘柄には以下のような違いが見られる。
項目 | USDT(Tether) | USDC(Circle) |
---|---|---|
発行元 | Tether Limited | Circle Internet Financial |
時価総額 | 約1,584億ドル | 約621億ドル |
規制対応 | 限定的 | 月次監査あり・規制準拠 |
流通範囲 | グローバル・新興国など | 米国・日本・規制国など |
規模・シェア | 世界No.1 | 世界No.2 |
シェアトップであるUSDTには、以下のような強みがある。
- 流通量と認知の圧倒的差
早期から世界中の取引所に上場し、取引ペアや送金用途として広く使われている。
- DeFiにおける先行優位
多くのDeFiプラットフォームがUSDTを基軸通貨として組み込んでおり、スマートコントラクトでも標準的に使われている。
- 柔軟な運営体制
法制度に縛られにくく、自由度の高い運用が可能。
サークル社はSBIとの提携で制度適合の見本を作りつつあり、日本市場での展開を順調に進めている。

このように、透明性や信頼性という観点ではサークル社に優位性がある一方で、市場ではUSDTが圧倒的なシェアを獲得しており、「規模」の観点においては、これを上回ることは当面は難しいだろう。
仮想通貨について詳しく知りたい方は、SBI VCトレードの公式サイトをチェックしてみると良いだろう。

サークル(Circle/CRCL)社のまとめ
本記事では、サークル社について解説した。
- サークル社は、ステーブルコイン「USDC」を発行している
- USDCはDeFiやNFT分野など、幅広い分野で活用されている
- サークル社はSBIグループと提携し、日本市場への進出を進めている
- 2025年6月、サークル社はNYSEに上場を果たした
サークル社は米ドルと1:1で連動するステーブルコイン「USDC」の発行元であり、世界中の金融・テクノロジー分野に浸透しつつある。
2025年には、日本市場においてSBIホールディングスとの提携を強化し、国内でのUSDCの正式な流通が始まった。
なお、サークル社のステーブルコインUSDCは、国内取引所SBI VCトレードにて購入が可能だ。

サークル社のステーブルコイン「USDC」に興味がある人は、SBI VCトレードの公式サイトにて詳細を確認していただきたい。
