中学受験が向いている子の特徴
中学受験に向いている子には「知的好奇心が強く、自分で勉強をするのが得意」「将来の目標ややりたいことがある」「身体的に健康である」「精神年齢が早熟」といった特徴があります。
知的好奇心が強く、自分で勉強をするのが得意な子ども
中学受験は、いわゆる”勉強漬け”の日々になります。また入学後も、多くの私立進学校では先取りのカリキュラムが一般的です。普通の公立校よりも勉強が中心の生活となる3年間(中高一貫校なら6年間)が待っています。
そのような環境でも後手に回らず、授業を面白がる余裕があることが理想です。よって、強い知的好奇心をもって自発的に机に向かい、学校の宿題以外の問題集や調べ物などに取り組めるような子が中学受験に向いています。
渋谷教育学園渋谷中学高等学校(東京都渋谷区)では”自らの手で調べ、自らの頭で考える”「自調自考」教育を実践しています。学んだ知識を深化すべく、各生徒が興味のある課題で論文を作成し、優秀者はプレゼンテーションやポスター発表を行います。
自主的に学ぶ力があれば、こうした勉強や探究を前向きに楽しめるため、充実した学校生活になるでしょう。どこかで息切れしないためには、持って生まれた知的好奇心や、受け身の勉強にならない自発性を備えていることがカギになります。
将来の目標ややりたいことがある子ども
将来の目標があると、「勉強を頑張ろう」という気持ちが生まれるものです。よって、将来の目標や何かやりたいことがある子は、受験勉強に打ち込める素質があるといえます。
たとえ目標がまだ漠然としていても、いずれ勉強する気持ちが湧いてくることでしょう。勉強を促すのも大事ですが、ときには視点を変えて、目標ややりたいことを子どもに見つけさせるのもよいかもしれません。
身体的に健康な子ども
中学受験では、ベースとなる大量の知識を頭に入れたうえで、より応用的な問題を正確に解くことが要求されます。知識を大量に吸収するには、それなりの時間と労力がかかります。
机に長時間向かうには、肉体的・精神的な持久力が必要です。
また、中学受験は年単位の長期戦です。特に、直前の受験期は体調管理を万全にしなくてはなりません。したがって、必ずしもスポーツ全般が得意である必要はありませんが、身体的に健康であることは中学受験に向いているひとつの条件になります。
精神年齢が早熟な子ども
ほとんどの小学生にとって、中学受験は競争に触れる最初の機会となります。受験という一発勝負の世界に身を置くことは、相当な心理的プレッシャーがかかるものです。不安に苛まれず、本番で実力を発揮するためには、メンタルの強さが要求されます。
また、規則的な学習習慣を身につけるには、遊びたいという欲求を抑える精神力も必要です。よって、実年齢よりも精神年齢が早熟な子ほど、中学受験に向いているといえます。
中学受験が向いていない子の特徴
逆に、「自己管理が苦手」「競争心がない」「将来の目標や受験に対する目的意識がない」といった特徴は、中学受験との親和性が低いかもしれません。
とはいえ小学生の場合、こうした特徴が目立つのは、ある程度仕方のないことです。成熟のスピードには個人差があるため、本人の精神的発達を促す心がけが必要です。
自己管理をして勉強するのが苦手な子ども
自己管理が苦手で、学習習慣を守れない子は、中学受験にあまり向いていないかもしれません。受験を突破するのに必要な学力は、毎日の学習習慣によって培われます。
決められたスケジュールをきっちりこなすには、自己管理能力が不可欠です。特に最初のうちは家庭がしっかりサポートすることで、本人が勉強を好きになれるよう働きかけることが大切です。そのためには親子関係が良好で、一緒に頑張れる関係性が築けていることがポイントになります。
また、自己管理能力は学力と必ずしも関係がないため、他の習い事などを通して身につけることも可能です。
競争心がない子ども
中学受験はれっきとした”競争”です。ほんの数点の差で合否が決まることもあり、ハイレベルな学校の争いになるほど、アスリートさながらの”点数競争”になります。
全国のライバルに打ち勝つ競争心がないと、精神的にきついかもしれません。遠慮がちで平和的な性格だと、競争そのものに尻込みしてしまう可能性もあります。
よって、競争心のない子は、中学受験にあまり向いていないといえます。
将来の目標がなく受験の目的意識がない子ども
将来の目標がなく、また受験勉強に対する目的意識も曖昧だと、受け身の学習になりがちです。遊びたい盛りの小学生にとって、目的もないまま机の前に座らされる時間は退屈で、苦痛にすら感じるでしょう。
よって、こうした子も中学受験に向いていないといえます。
中学受験に向いている子に変える方法
仮に、子どもが中学受験に向いていないと感じても、諦めることはありません。
子どもは大人と違い、短期間で驚くほど成長するポテンシャルがあります。とりわけ小学校高学年は学力だけでなく、さまざまな能力が育まれる時期です。子どもを「中学受験に向いている子」に変える2つの方法を以下にご紹介します。
知的好奇心が高まる塾や先生のサポートを受ける
知的好奇心は生来のものではなく、環境によって伸ばすことができます。適切な指導によって、子どもの「もっと知りたい」と思う気持ちを芽生えさせることが大切です。学習塾や良質な先生によるサポートを受けることで、子どもの知的好奇心は自ずと高まることでしょう。
たとえば、「探究学舎」(東京都三鷹市)は、歴史や科学への関心を高めるインタラクティブなライブ授業を行っています。オンライン教室「広げるコース」では、カメラ・分光器・戦国武将の鎧などを自作し、観察や実験を行うことで知的好奇心の幅を広げます。また、オンライン教室「深めるコース」では、日本史・算数・地球環境の各分野の濃密な知識を学ぶことで、子どもの興味を深く掘り下げます。
「イデア進学ゼミ」(兵庫県西宮市)は、算数の思考力を高める取り組みを行っています。絵や図を描いて思考力をつける「どんぐり問題」や、パズルのような問題で論理的に物事を考える力を身につける「ロジックツリー」など、工夫を凝らした教材で”図形や数”に対する知的好奇心を伸ばします。段階的に学ぶことで、高度な文章題や図形問題にも太刀打ちできる論理的思考力と読解力を養います。
将来の目標や夢を意識させる
多くの小学生にとって、中学受験の目的を理解することは難しいかもしれません。その解決策の1つは、将来の目標や夢を意識させることです。
目標や夢を叶えるためには、中学受験や進学がそのステップとなることをまず理解してもらいましょう。遠回りのようにみえますが、受験勉強に対するモチベーションを高める近道になるでしょう。
学習塾の「第一ゼミナール」(大阪市中央区備後町)は、受験指導と並行して、受験のさらに先に広がる目標の設定や進路に向けた将来設計のサポートが充実しています。学力アップや志望校合格といった目標達成のために、「学習の目的」や「将来の夢」をしっかりと意識させる指導を行っています。志望校合格を直近の目標にしつつ、将来の仕事や人生の価値観について子どもに考えさせることができます。
「進路探究塾 Mirai」(岐阜県各務原市)では、ユニークな教育プログラム「将来設計指導」を掲げ、「将来設計講座 みらい」という講座を開いています。偏差値で志望校を決めるのではなく、子ども自身にキャリアを真剣に考えさせることで、将来的に国内外で貢献できる人材の輩出を目指す取り組みです。エンジニア・新聞記者・薬剤師・学校教諭など、各方面で活躍する同塾のOB・OGの実体験を聞くことで視野を広げてもらうといった指導をしています。
中学受験をするメリットやデメリット
中学受験には、以下のようにさまざまなメリットやデメリットがあります。
メリット①:大学受験に有利になる
中学受験のメリットの1つ目は、大学受験に早い時期から備えられることです。中学受験すると高校受験をスキップできるため、6年間かけて大学受験の準備ができることになります。
進学校では、普通の公立校では得られない良質な教科指導が受けられます。また、過去の指導実績やノウハウを基にした進学指導にも定評があります。中高一貫校や大学附属校では、内部進学枠や内部推薦など優先的な制度を設けている学校もあります。
したがって、大学受験を有利に運ぶことができます。
メリット②:教育や課外活動が充実した学校に通える
2つ目は、幅広く教育や課外活動が充実した学校に通えることです。
教育熱心な学校は、探究学習や体験学習などの機会を多く提供して生徒の視野を広げ、ひとりひとりの個性や能力を伸ばします。
また、課外活動が盛んで、部活動やクラブ活動に力を入れている学校も多いです。勉強だけにとどまらず、有意義な学校生活を送ることができるでしょう。
メリット③:質の高い生徒に囲まれて生活できる
3つ目は、良質の恵まれた環境で学校生活を過ごせることです。そのような環境には、高い志を持った仲間が集まります。
中学生という成長段階で、質の高い学友や先生から良い刺激を受けることは、人間性の発達に影響を及ぼします。学校生活で育んだ友情や人脈は、その後の長い人生におけるかけがえのない財産になることでしょう。
学力や資産は後からでも築けますが、中学高校時代のネットワークを後から取り戻すことはできません。中学受験は、そのための貴重な機会を与えてくれます。
デメリット①:周りと競争しながら勉強する必要がある
中学受験のデメリットの1つ目は、周りと競争しながら勉強する必要があることです。ときには、その競争相手が同じ学校のクラスメートや、気の置けない友人の場合もあります。
模試で順位が下がり、落ち込んだり悔しい思いをしたりすることもしばしばです。大切なのは、渦中にいる子どもを過度に不安にさせず、健全な心理状態にもっていくことです。
単に競い合う関係性ではなく、切磋琢磨し、互いに高め合う関係を構築することが理想です。
デメリット②:親の経済的・身体的な負担が大きい
2つ目は中学受験では、小さくない経済的・身体的負担が家庭にかかります。近年、過熱する受験業界では低年齢化が進み、早い段階から子どもを塾に通わせるなどの傾向にあるため、家庭の経済的負担は増す一方です。「将来への投資」と割り切れるだけの経済的基盤があると安心材料になります。
また、学習塾への送迎や、家庭での学習支援による身体的負担もあります。体力や時間的な余力のほか、子どもの志望校合格にかける並々ならぬ熱意が必要です。家庭には、子どもと二人三脚していく気構えと覚悟が求められるでしょう。
中学受験に向いている子と向かない子まとめ
中学受験の適性は「学力」だけで捉えられがちですが、決してそれだけではありません。「好奇心が強い」「自発的に学習できる」「競争心が強い」「精神年齢が高い」といった内面的資質を備えている子は中学受験に向いています。
一方、「好奇心に乏しい」「受け身で学習しがち」「競争心がない」「精神的に幼い」といったタイプの子は中学受験に向かない可能性がありますが、方法や心がけ次第で改善することができます。また、家庭に子どもをサポートできる経済的・身体的基盤があることも重要です。
子どもの各適性の有無に加え、進学校で得られるメリット・デメリットを十分にご理解のうえで、中学受験に臨まれるとよいでしょう。
もしお子様が中学受験で上手くいかなかったとしても、それは決して本人や家族の責任ではありません。精神年齢の成熟スピードが十人十色だからです。
高校受験で巻き返せる可能性は十二分にあります。お子様が頑張ったことは決して無駄にはなりませんし、次のステップに進むための貴重な経験として、大切にしていただければと思います。