中学受験では1月に小学校を欠席することが多い
中学受験では、受験前の1月に小学校を欠席する子どもがたくさんいます。欠席の期間は人それぞれですが、試験日だけ欠席する子どももいれば、冬休み明けから受験が終わるまでずっと欠席する子どももいます。特に、中学受験が盛んな地域の学校では、1月に6年生のクラスの多くの子どもが休んでいるということも珍しくありません。
首都圏で言えば、1月は埼玉県や千葉県で受験がスタートするため、埼玉県や千葉県の中学校を受験する子どもは必然的に学校を休むことになります。東京都や神奈川県の中学校が第一志望の家庭でも、埼玉県や千葉県の前受けをすることもありますし、体調管理や受験勉強の時間を確保するために小学校を欠席することは多くあります。
私の講座を受講している方にアンケートを取った結果、85%の方は受験前に学校を休んでいることがわかりました。期間は前日のみだったり1カ月だったり様々でしたが、休んでいる方が大多数でした。
中学受験前に学校を休む理由が大切!
学校を休ませる場合、学校を休むメリットやデメリットを親子でよく話し合って、子どもが納得して学校を休むことが大切です。子どもが学校を休む理由に納得していなければ、学校を休ませても思うような成果を得られないばかりか、反抗心から親子関係が悪化することにもなりかねません。
理由①:学校で体調を壊さないようにするため
1月は、インフルエンザが流行する時期ですし、12月から1月にかけてノロウイルスも感染がピークを迎える時期です。人が集まる場所は常に感染リスクがありますから、体調管理のために子どもを欠席させることがあります。
また、新型コロナウイルス感染症にも注意を払う必要があります。新型コロナウイルス感染症は、どんなに本人が元気でも濃厚接触者になると外出制限がかかり、受験自体ができなくなってしまいます。受験校でも対応が分かれており、追試を実施する中学校もあれば、「救済措置はない」としている中学校もあります。
いずれにせよ、体調管理は重要であり、体調管理のために学校を休むことがあります。
理由②:志望校の過去問演習に集中するため
志望校の過去問演習をする時間を確保するために、学校を休むことがあります。1月はいよいよラストスパートの時期で、これまでの学習を総ざらいしたり、問題演習に時間をかけたりするのに重要な期間です。
中学受験では、1科目の試験時間を40分から60分で設定している学校が多いようです。4教科の試験があった場合、本番のように問題演習をするだけで4時間近くの時間が必要ですし、できるようになるまで解き直すとなるとさらに時間がかかります。
これだけの時間は、通常通りの学校生活を送っていたのではとても捻出できません。
中学受験前に学校を休んだ際の子どもへの接し方
小学校を休ませたとしても、適切に子どもに接することができないと無駄な時間を過ごしてしまうことにもなりかねません。学校を休んで有意義な時間が送れるように、次の3つの点に配慮してサポートしましょう。
1日のスケジュールを作って生活させる
たくさん時間があっても、スケジュールが決まっていないと効率的に勉強することはできません。試験日までに身につけさせたい内容や復習しておくべき内容を整理して、スケジュール管理をしてあげてください。
「何時から何時まではこのテキストの何ページから何ページまでをする」など、具体的なスケジュールがあった方が子どもは勉強しやすいでしょう。適度に休憩時間も取りながら、無理のないスケジュールを作ってあげることが大切です。
子どもに適度な運動をさせてあげる
1日中自宅にこもって勉強するというのは、子どもにとってはかなりのストレスですし、勉強効率が悪化することにも繋がります。適度な運動(特に有酸素運動)は、運動不足を解消してくれますし、頭や心をリフレッシュさせてくれるので、勉強にも有効です。子どもが受験勉強で息詰まってしまわないように、適度な運動をさせましょう。
焦りから子どもにプレッシャーをかけすぎない
志望校判定テストで合格判定が出ていない場合などに、焦りから子どもにプレッシャーをかけすぎてしまう保護者もいます。「学校まで休ませているのに」「同じ失敗を繰り返すなんて」「〇〇ちゃんはできるのに」「このままじゃ合格できない」などの否定的な言葉は厳禁です。メンタルケアもしっかりとしてあげることで、実力を発揮できるようにサポートしましょう。
中学受験前に学校を休むことは必須ではない?
確かに中学受験前に小学校を休む子どもはたくさんいますが、学校を休むことは必須ではありません。学校を休むことが逆効果になることもありますので、デメリットも頭に入れた上で学校を休ませるかどうかを判断しましょう。
生活のリズムが大きく崩れる可能性がある
普段通り学校に通っていれば、必然的に整った生活リズムで過ごすことができますが、学校を休むとなればそうもいきません。例えば、試験当日と同じ時間に起床したり、試験と同じようなスケジュールで過去問演習をしたりするなど、しっかりと受験に向けた生活リズムを作りましょう。
受験のみに集中するためストレスが大きくなる可能性がある
学校で友達と過ごす時間に、ストレスを解消したり、勉強のやる気を充電させたりしている子どももいますので、学校を休むとストレスが大きくなる可能性があります。
脳科学的にも、ストレスは記憶力や集中力に悪影響を及ぼすことがわかっていますので、適度にストレスを発散させてあげることが大切です。やりたいことは山積みだと思いますが、あれもこれもと根を詰めすぎないようにしましょう。
親も子どもに合わせて仕事を調整する必要がある
子どもが学校を休むなら、親も仕事を調整してなるべく勉強を見てあげる環境を整える必要があります。「勉強を見てあげる」と言っても、子どもが「監視されている」というプレッシャーやストレスを感じないように配慮をしてあげてください。「子どものためにサポートに徹する」「親子二人三脚で受験を戦い抜く」という気概が必要です。
自分を律することができない子どもや、つい遊んでしまうような子どもの場合は、たくさん時間があっても、その時間を有意義に過ごすことが難しいかもしれません。楽な方に流れてしまうような子どもであれば、通常通り学校に登校して、塾に通う生活をした方がよい場合もあります。
一方で、学習内容やスケジュールなど、塾の先生や親の言うことをしっかりと守れるような子どもであれば、学校を休んで直前に追い込み学習をするのが有効にはたらく可能性が高いと言えます。塾の先生にやるべきことを確認したり、親がしっかりとスケジュールを管理したりして、有効に時間を使えるようにしてあげましょう。
まとめ:中学受験前に学校を休むかどうかは各家庭で判断しよう
「学校を休めば偏差値が上がる」「学校を休む受験生は落ちる」などの意見がありますが、当然のことながら、学校を休むことと受験の結果には直接の因果関係はありません。そのため、「学校を休ませて受験勉強に集中させたい」という意見も、「学校を休まずに残り少ない小学校生活を充実させてほしい」という意見も、どちらも尊重されるべきでしょう。
ただし、子どもの性格に合う方法を選択することが大切ですので、塾の先生や子どもとよく話し合って決めることが大切です。また、学校を休むにしても休まないにしても、子ども自身が納得して受験直前期を過ごせるということも重要ではないでしょうか。
どちらにもメリット・デメリットがありますので、子どもとしっかりと話し合って、後悔しない選択ができるようにしましょう。