中学受験の時の子どもの服装
結論から言うと、受験の時の服装は、
- 通っている小学校の制服を着用する
- いわゆる「受験スタイル」と呼ばれる服装にする
- 普段通りの私服にする
以上の3通りになります。
まず確認しておきたいのは、中学受験において服装が直接合否に影響しないということです。一方で、受験時の服装が子どもの身体的・心理的に影響を与え、間接的に受験の結果を左右するということは大いに考えられます。
例えば、周りが制服や「受験スタイル」なのに、自分ひとりだけ私服だと、周囲との服装の違いが心理的負荷になって、本番で十分に力を発揮できなくなることが考えられます。他にも、「暑すぎて頭がボーッとしてしまった」「寒くて集中できなかった」ということも想定されます。
また、面接の有無や、受験する学校の校風で服装の傾向も変わりますので、それぞれの学校に合わせた服装を考える必要もあるでしょう。
中学受験の「男子」の服装
小学校の制服がある場合は、小学校の制服を着用するのが安心です。制服なら普段から着慣れていますし、受験にも相応しい服装と言えます。ただし、制服が汚れている場合は、クリーニングに出すなどして、清潔感のある服装になるように心がけましょう。
小学校の制服がない場合は、「受験スタイル」にするか「私服」にするかは、面接の有無によって決めるのが一般的です。面接がある場合は「受験スタイル」、面接がない場合は「私服」にすることが多いようです。
男子の「受験スタイル」は、トップスに白いシャツとネイビーかグレー、黒のジャケットを合わせて、ボトムスにスラックスという服装が定番です。また、寒さ対策として、セーターやベストをジャケットの中に着ることもあります。ジャケットを着ると動きにくくて子どもが試験に集中できないなら、ジャケットを着なくても大丈夫です。
また、ネクタイを着ける必要は特にありません。足元には、黒または白の靴下とローファーを合わせるのが定番です。
面接がない学校を受験する場合はそこまで服装に過敏になる必要はありません。私服の場合は、清潔感のある落ち着いた雰囲気の服装にすれば大丈夫です。
あまり奇抜な服装やかしこまった服装だと周囲から浮いてしまい、余計な緊張感を与えてしまいますので、中学校や他の受験生の雰囲気に合わせた服装が望ましいと言えます。基本的には、トップスは長袖のカットソーにジャケットやカーディガン、ベストなどを合わせ、ボトムスは黒のロングパンツにするなど、シンプルな服装にするのがよいでしょう。
中学受験の「女子」の服装
女子の場合も、小学校の制服がある場合は、小学校の制服を着用するのがおすすめです。ただし、子どもの成長が早くてスカートの丈が著しく短いなどの場合は、別の服装を検討しましょう。また、制服の汚れが目立つ場合には、しっかりとクリーニングに出しておきましょう。
女子の「受験スタイル」は、トップスは白のブラウスにネイビーかグレーのブレザー、ボトムスにスカートを合わせるのが一般的です。ブレザーとスカートの他にも、ジャンパースカートやワンピースとボレロを着用する場合もあります。スカートやワンピースの丈は、膝が隠れるくらいの丈にするとよいです。
また、フリルやリボンなどの装飾がないデザインの方が、清楚で落ち着いた印象になるのでおすすめです。足元は、寒さ対策にもなるタイツやハイソックスにローファーやワンストラップシューズを合わせるのが定番になっています。
私服の場合は、男子と同様に清潔感のある落ち着いた雰囲気の服装を心がけましょう。なるべくシンプルなデザインで、白やネイビーなどの落ち着いたカラーの服装にしてください。スカートよりもパンツスタイルの方が落ち着いて試験に臨むことができるなら、パンツスタイルでも大丈夫です。
中学受験の服装選びのポイント
服装選びでは、外見以上に大事なのが機能性や着心地です。暑さや寒さの対策ができているか、子どもがリラックスして問題を解けるかなどの観点をもって服装を選んでください。入試本番で子どもの実力が発揮できるように、以下のポイントに気をつけて服装を選びましょう。
温度調整ができる重ね着がおすすめ
受験日の外気温が低くても、試験会場は暖房が効いていることがあるため、体温調節ができるように重ね着をするのがおすすめです。例えば、シャツ+カーディガン+ジャケットという服装なら、室温に応じてジャケットを脱いだり、カーディガンを脱いだりすることができます。
暑すぎて頭が回らなかった、寒くて集中できなかったということがないように気をつけましょう。ただし、ヒートテックなどを下に重ね着するのは、試験会場で着脱することができないため、おすすめできません。
体にあったサイズ感の服装を選ぶ
服がワンサイズ大きいと裾や袖が邪魔になってしまいますし、ワンサイズ小さいと動くのが窮屈になってしまいます。また、面接がある場合、あまりにもサイズが合っていない服装だと、面接官の心象もよくありません。受験用に服を購入するのですから、受験時の体格にあった服装を選びましょう。
また、サイズ感と合わせて気をつけたいのがストレッチ性です。普段はトレーナーやパーカーを着ている子どもがシャツやジャケットを着た場合、動きにくさが気になってしまうことがあります。サイズがぴったりでも、ストレッチ性のある素材の服の方が着心地がよく、機能性にも優れているため、おすすめの服装です。
事前に着慣れておくことが重要
入試当日に初めて着る服だと、服装が気になってしまったり、変に緊張してしまったりして、試験に集中できないことがあります。また、靴も事前に何度か履いて慣れておかないと、靴擦れを起こしてしまうことがあります。服も靴も模試を受ける時に着用したり、塾の面接練習をする時に着用したりして、事前に本番の服装に慣れておくようにしてください。
まず押さえておきたいのは、「清潔感がある服装を選ぶこと」です。どう見ても汚れていたり、派手だったりする服装は避けましょう。
服装に悩んだ時に考えていただきたいのは、「これだったら大丈夫だと自信が持てる服装を選ぶ」ということです。例えば「襟付きの服がいいか、襟なしの服がいいか」で悩んだ時、「襟付きの服の方が親も子も自信が持てそう」というのであれば、そちらを選べばよいのです。親子で自信をもって受験することができる服装を選ぶことで、余計な悩みを抱えないようにすることが大切です。
また、必ずしも受験用の服を新調する必要はありませんので、気にしないのであればフリマアプリなどで古着を調達することも検討してみましょう。
中学受験の時の髪型
服装と同様に、髪型も受験の合否に直接は関係ありません。例えば、都立学校では2022年度から「ツーブロック禁止」などのいわゆる「ブラック校則」を廃止しており、髪型によって入試の評価が左右されることはまずないでしょう。
しかし、前髪が長くて試験中に気になってしまう可能性もありますし、面接がある学校ではあまりボサボサだと面接官の心象もよくありません。試験に集中することができて、清潔感がある髪型を心がけましょう。
中学受験の男子の髪型
男子の髪型では、さっぱりした髪型が邪魔にもなりませんし、面接官にも好印象です。前髪は目にかからない長さにして、目がきちんと見えるようにしましょう。耳周りの髪は耳が見える長さに、襟足も長すぎないように整えてあると、爽やかな印象になります。整髪料などで整える必要はありませんが、寝ぐせなどはきちんと整えるのが社会的なマナーと言えます。
中学受験の女子の髪型
女子の場合は、髪の長さに応じてきちんとした髪型になるように心がけてください。ショートヘアの場合は、特にヘアセットをする必要はなく、くしで整えておく程度で大丈夫です。
セミロングからロングヘアの場合は、黒いヘアゴムで低めの位置で髪を結ぶと落ち着いた印象になります。定番の結び方は、三つ編み・おさげ・ポニーテール・ツインテールなどです。
前髪は、目にかからない長さに整えて(前髪を切る、分ける、後ろにまとめるなど)、すっきりした印象になるように気をつけましょう。いずれの場合も、男子と同様に清潔感がある髪型を心がけ、寝ぐせがあればきちんと直しておくことが大切です。
中学受験の時の保護者の服装
保護者の場合も、受験生と同様に面接の有無によって服装の傾向が異なります。いずれの場合も言えることは、受験する中学校に対して失礼のないように心がけ、社会人としてのマナーを守った服装をすることが大切だということです。
付き添いのみの場合
試験に親子面接がなければ、保護者は待合室で待機するだけですので、あまり服装をシビアに考える必要はありません。華美・奇抜・カジュアルな服装は避け、清潔感があって、社会人としてのマナーを守った服装であれば大丈夫です。
例えば、公の場で着られることの多いスーツであれば、どのような学校に行っても問題のない服装だと言えます。あるいは、スーツを少しカジュアルダウンさせた「オフィスカジュアル」でも大丈夫です。
面接がある場合
親子面接がある場合、親はスーツスタイルにするのが一般的です。あくまでも受験の主役は子どもですので、シンプルで清潔感のある服装を選ぶようにしましょう。
●母親の服装は、落ち着いた色とデザインに
母親の服装では、アンサンブルのワンピーススーツやスカートとジャケットのセットアップが定番です。スカートスタイルの方が「清楚な母親らしさが表現できる」とされていますが、パンツスタイルでも大丈夫です。カラーはネイビーなどのダーク系で、ワンピースやスカートの丈は座った時に膝が隠れるくらいの長さにしましょう。
ネックレスやピアスなどのアクセサリーは不要ですので結婚指輪とヘアアクセサリー(黒・紺・茶色のバレッタやシュシュ程度)以外は外すのが一般的です。ストッキングはベージュで、靴は黒のパンプスを履くのが定番になっています。
バッグも、服装に合わせてネイビーや黒などの落ち着いた色とデザインのものにします。荷物が多くなる時は、サブバッグを使うとスマートです。
●父親の服装は、ダーク系のスーツが一般的
父親の服装では、ネイビーなどのダーク系のスーツが一般的です。ネクタイは落ち着いたカラーを選び、デザインはレギュラータイのソリッド(無地)やストライプを選ぶとよいです。
足元には、黒の靴下と黒の革靴を合わせるのが定番です。髭を剃る、光沢のない整髪料でヘアスタイルを整えるなど、清潔感があるスタイルを心がけ、父親として「知的」「頼り甲斐がある」などのよい印象・雰囲気が出るようにすることも大切です。
また、学校の特色に応じて配慮が必要な場合もありますので、可能な限り学校のカラーに合わせるのがよいでしょう。キリスト教において、黒は「死」や「喪」を表す色ですので、カトリック系のミッションスクールなどを受験する時には黒い服装を避けるのが無難です。
このように、入試要項などに記載がなくても、「暗黙の了解」の範囲がありますので、入試説明会やオープンスクールなどで周りの保護者の様子もよく観察しておくことをおすすめします。
中学受験当日におすすめの持ち物
受験直前や当日になってバタバタしないように、あらかじめ以下の持ち物を用意しておくことをおすすめします。また、当日はどんなトラブルがあるかもわかりませんので、「必要ないかもしれない」と思っても念のため持って行くと安心です。
●防寒グッズ
カイロ、手袋などの防寒具は必須アイテムです。カイロは貼らないタイプにしておくと、受験会場が暖かい時にはバッグにしまえて便利です。
●雨具
当日が晴れの場合でも、念のため折りたたみ傘またはレインコートを持って行きましょう。あいにくの雨天の場合は、受験票や参考書などが濡れないように、防水・撥水タイプのバッグを使用するか、大きなビニール袋でカバーするかしておくとよいです。
●靴下・タオル
雨天時には、靴下や服、持ち物が濡れてしまうことが考えられます。靴下が濡れても、替えの靴下があれば気持ち悪い思いをせずに済みますし、服や持ち物を拭くことができるタオルも持って行きましょう。タオルは、保護者が待合室で膝掛けに使うこともできるので、1枚あると便利です。
●文房具
うっかり子どもが荷物を落とした衝撃で、鉛筆の芯が折れてしまった時に対応できるように、文房具の代替品を持って行くと安心です。
●救急セット
登校途中に転んでしまった、靴擦れを起こしてしまったなどの時に対応できるように、絆創膏やウェットティッシュなどの救急セットがあると便利です。常備薬が必要な子どもであれば常備薬も、コンタクトレンズをしている子なら目薬も忘れないようにしましょう。
●身だしなみを整えるアイテム
風が強くて髪が乱れてしまうこともありますので、くしも持って行くとよいです。メガネをかけている場合は、メガネ拭きを持って行きましょう。また、ハンカチやティッシュ、マスクなどのアイテムも、予備を持っておくと安心です。
●ビニール袋
ゴミをまとめたり、雨具をまとめたり、靴を入れたりと、ビニール袋は何かと便利なアイテムです。
●軽食
チョコレートは脳のエネルギーになるブドウ糖が多く含まれており、勉強前に食べると集中力が上がる、リラックス効果が得られるなどの効果が期待できます。また、ゼリー飲料なども、手軽にエネルギーをチャージすることができますし、消化にもよいのでおすすめです。
●勉強道具・本
子どもが空き時間に復習できるように、使い慣れた参考書やノートなどの勉強道具を持って行くとよいです。また、保護者は待ち時間が長いため、読書用の本などの時間を潰せるアイテムを持って行くとよいでしょう。
「合格率がいい」と言われている写真館で顔写真を撮影したとしても、第1志望に合格できなかったというご家庭は多々あります。「こういう服装がいい」「こういう髪型が受かりやすい」などの噂を聞くこともあるかもしれませんが、それが事実である保証はありません。
これらの情報で親のメンタルが左右されて、親の不安定な表情が子どもに影響を与えてしまうこともあります。親が自分の心を安定させるために必要だと判断すれば、それらの情報に従った行動をして心を安定させることが大切です。親のメンタルが子どもの精神状態を左右しないように、親は常に笑顔で安定した精神状態でいられるように心がけましょう。
「中学受験の服装や髪型」のまとめ
中学受験の服装や髪型が、直接受験の合否に影響を与えることはないでしょう。しかし、服装や髪型で緊張を招いたり、印象が悪くなったりと、間接的に合否に影響を与えてしまうことは考えられます。服装は着慣れておくこと、髪型を整えておくことなど、できる配慮はきちんとしておくべきです。
持ち物の準備でも「万が一」を想定して、子どもが実力を発揮できるような体制を整えてあげられるように、早めに準備をしておきましょう。