千葉県の中学受験熱心度ランキング

 データについては、京都産業大学の桐村喬氏の研究「統計から見た「中受」の地域差」による区市町村別公立中学校在籍者比率(学校基本調査による区市町村にある公立中学校の在籍者数が、国勢調査による当該区市町村の中学校在学者数に占める割合)を基にしており、これから国立・私立中学の校の在籍者を推計してランキングを作成した。

12都道府県での千葉県の中学受験熱心度は8位

 主要12都道府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、奈良、広島、福岡)での比較によると、千葉県の私立・国立中学在籍率は7.4%で、12都道府県中第8位となっている。

 これは中学受験に熱心な12都府県の中でも中位に位置している。

市区町村の中学受験熱心度ランキング・トップ5(千葉県)

 千葉県で中学受験に熱心な市区町村はどこか。以下は、私立・国立中学在籍率を推計して、高い順にランキングしたものだ。

 このデータは居住地ベースの統計のため、「越境」して中学校に通学している中学生も含まれる。特に中学校が少ないエリアだと越境者の影響が大きくなるため、中学生数が少ない市区町村は掲載対象外とした。また地域内の公立中学校に越境通学してくる生徒が多い市区町村は、実際よりも「私立・国立中学在籍率」が低く出る傾向があり、本ランキングでは0%以下となる場合は「0%」と表示した。

千葉県中学受験熱心度ランキング
※京都産業大学 桐村喬氏の研究「統計から見た『中受』の地域差」を基に算出。
1990年の中学校在学者数は年齢各歳別の人口をもとに算出。
自治体の再編・合併があった市区町村については、編集部で最適な在学者数を推計した。
政令指定都市の区の場合、区を跨いだ通学区域が設定されていることもあるため、「私立・国立中学在籍率」が高くなることがある。
 

私立・国立中学在籍率がもっとも高いのは浦安市

 千葉県で私立・国立中学在籍率がもっとも高かったのは浦安市で22.3%となっている。 浦安市で中学受験が熱心な理由はいくつか考えられる。

 まず、高所得層が多いことだ。浦安市は、東京ディズニーランドの立地効果もあり、外資系企業勤務者や経営層の家庭が多く住む地域だ。教育に多大な投資を行うことが一般的で、私立や国立の中学校への進学を目指す家庭が多いといえる。

 都心部の名門中学へのアクセスが良いことも理由としてあげられる。浦安市からは、JR京葉線や東京メトロ東西線を利用して都内や千葉県内の進学実績のある中学校に通学可能だ。例えば、渋谷教育学園幕張中学校、市川中学校、昭和学院秀英中学校など、偏差値が高いだけでなく特徴的な教育を実践している中学校が通学圏内にあるため、公立中学以外を選択する家庭が多いのだろう。

上位エリアの有名私立・国立中学校は?

 私立・国立中学在籍率が上位のエリア(浦安市千葉市稲毛区市川市我孫子市習志野市千葉市中央区)およびその周辺には、多くの名門校が立地している。 そこで主な中学校を紹介する。

市川中学校
渋谷教育学園幕張中学校
千葉県立千葉中学校
昭和学院秀英中学校

中学受験過熱度ランキング(1990年→2020年の変化)

 1990年から2020年にかけて、どの地域で中学受験熱が高まったのか。以下は、私立・国立中学在籍率の変化が大きい順のランキングだ。

 過熱度がもっとも高かったのは千葉市稲毛区で15.6%の増加となっている。

千葉県加熱度ランキング
※越境入学等が多く、正確なデータが算出できない以下の市区町村は除く。鴨川市、八街市

 これらの地域では、県都としての都市機能の充実、高所得世帯の集積、東京都心部への交通アクセスの良さなどが中学受験熱の高まりに寄与していると考えられる。特に千葉市稲毛区や千葉市中央区では、JR総武線や京成線による都心部への通勤利便性から教育熱心な世帯が流入し、都内や県内の名門私立中学校への進学を目指す家庭が増加したことが数値に表れている。