愛知県の中学受験熱心度ランキング

 データについては、京都産業大学の桐村喬氏の研究「統計から見た「中受」の地域差」による区市町村別公立中学校在籍者比率(学校基本調査による区市町村にある公立中学校の在籍者数が、国勢調査による当該区市町村の中学校在学者数に占める割合)を基にしており、これから国立・私立中学の校の在籍者を推計してランキングを作成した。

12都道府県での愛知県の中学受験熱心度は12位

 主要12都道府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、奈良、広島、福岡)での比較によると、愛知県の私立・国立中学在籍率は3.8%で、12都道府県中第12位となっている。

 これは中学受験に熱心な12都府県の中で比較すると、愛知県は公立中学志向が強い地域と言える。

市区町村の中学受験熱心度ランキング・トップ5(愛知県)

 愛知県で中学受験に熱心な市区町村はどこか。以下は、私立・国立中学在籍率を推計して、高い順にランキングしたものだ。

 このデータは居住地ベースの統計のため、「越境」して中学校に通学している中学生も含まれる。特に中学校が少ないエリアだと越境者の影響が大きくなるため、中学生数が少ない市区町村は掲載対象外とした。また地域内の公立中学校に越境通学してくる生徒が多い市区町村は、実際よりも「私立・国立中学在籍率」が低く出る傾向があり、本ランキングでは0%以下となる場合は「0%」と表示した。

愛知県中学受験熱心度ランキング
※京都産業大学 桐村喬氏の研究「統計から見た『中受』の地域差」を基に算出。
1990年の中学校在学者数は年齢各歳別の人口をもとに算出。
自治体の再編・合併があった市区町村については、編集部で最適な在学者数を推計した。
政令指定都市の区の場合、区を跨いだ通学区域が設定されていることもあるため、「私立・国立中学在籍率」が高くなることがある。
 

私立・国立中学在籍率がもっとも高いのは名古屋市千種区

 愛知県で私立・国立中学在籍率がもっとも高かったのは名古屋市千種区で24.4%となっている。 名古屋市千種区で中学受験が熱心な理由はいくつか考えられる。

 まず、高所得層が多いことだ。名古屋市千種区は、名古屋大学もあり、教育関係者や研究職、大手企業の管理職層の家庭が多く住む文教地区だ。教育に多大な投資を行うことが一般的で、私立や国立の中学校への進学を目指す家庭が多いといえる。

 県内の名門中学への交通アクセスが良いことも理由としてあげられる。名古屋市千種区からは、地下鉄東山線や桜通線を利用して市内の進学実績のある中学校に通学可能だ。例えば、東海中学校、南山中学校女子部、南山中学校男子部、名古屋中学校など、偏差値が高いだけでなく特徴的な教育を実践している中学校が通学圏内にあるため、公立中学以外を選択する家庭が多いのだろう。

上位エリアの有名私立・国立中学校は?

 私立・国立中学在籍率が上位のエリア(名古屋市千種区名古屋市東区名古屋市昭和区蒲郡市名古屋市天白区名古屋市中区)およびその周辺には、多くの名門校が立地している。 そこで主な中学校を紹介する。

南山中学校女子部
東海中学校
愛知淑徳中学校
名古屋中学校

中学受験過熱度ランキング(1990年→2020年の変化)

 1990年から2020年にかけて、どの地域で中学受験熱が高まったのか。以下は、私立・国立中学在籍率の変化が大きい順のランキングだ。

 過熱度がもっとも高かったのは名古屋市東区で21.5%の増加となっている。

愛知県加熱度ランキング
※越境入学等が多く、正確なデータが算出できない以下の市区町村は除く。蒲郡市、名古屋市中区、岩倉市、豊川市、碧南市、幸田町、西尾市、高浜市

 これらの地域では、県内有数の文教地区としての発展、高所得世帯の集積、名門私立中学校への近接性などが中学受験熱の高まりに寄与していると考えられる。特に名古屋市東区や名古屋市昭和区では、東海中学校や南山中学校などの県内最難関校が立地し、教育環境の充実から教育意識の高いファミリー層が集積したことが数値に表れているのだろう。