開成中学校について

 開成中学校は、創立150年を超える歴史と伝統のある私立男子中学校で、男子御三家の中でも開成中学校はトップ校として名高い。教育理念は、初代校長・高橋是清の理念を原点としており、「開物成務」「ペンは剣よりも強し」「質実剛健」「自由」の4つを掲げている。中学受験では、言わずと知れた最難関校であり、東大合格者数トップレベルの開成高等学校との一貫教育がなされていることからも非常に人気が高い中学校である。

開成中学校の合格者が一番多い塾は?主要6塾を徹底比較!

 開成中学校は、四谷大塚の偏差値が71という最難関中学だ。そんな開成中学校に合格するためには塾選びが大切になるが、開成中学校の合格者が一番多い塾はどこだろうか。主要6塾の合格実績を比較してみると、はっきりと明暗が分かれる形となった。

【2023年入試】開成中学校の合格者が最も多いのはSAPIXで274人!

 開成中学校の合格者は、SAPIXが最も多く、2023年度は274人。次に多いのは早稲田アカデミーで124人。3位以降は四谷大塚が121人、日能研が48人、栄光ゼミナールが15人、TOMASが14人となっている。なお、塾を掛け持ちする学生もいるため、ダブルカウントになっている可能性がある点には注意が必要だ。

主要塾の開成中学校の合格者推移
※石田達人氏の協力で作成

開成中学校の塾別合格者数の推移・傾向

 開成中学校への合格者は、SAPIXが圧倒的で占有率は約65.4%にも及ぶ。その要因のひとつに、学校別対策の充実が挙げられる。「開成1」「開成2」などの学校別特訓コース(数字が小さい方が上位クラス)や「学校別サピックスオープン開成」という模試など、学校別対策が豊富だ。SAPIXは、難関校合格を目指す生徒が集まっており、塾生全体のレベルが高い。そのため、首都圏の塾選びでは、必ずと言っていいほど第一候補になる塾である。ただ、宿題の量が多いことや授業で使用するプリントの整理など、親のサポートが欠かせない点には注意が必要だ。

 SAPIXに続くのが、早稲田アカデミーと四谷大塚。この2塾は、東進ハイスクールで有名なナガセ系列の塾だ。どちらも中学受験のバイブルとして名高い『予習シリーズ』というテキストを使用している。

 早稲田アカデミーは、学校別対策の「NN開成」というクラス以外にも、「開成・聖光対策講座」「灘・筑駒・開成『スーパー算数』」など、ハイレベルな講座が複数用意されている。早稲田アカデミーの公表によると、「NN開成」からの開成合格率が51.5%*1であり、高い合格率を誇っている。

 四谷大塚は、お茶の水校舎と横浜校舎で「開成コース」を開講している。入試問題を研究・分析し、完全オリジナルの教材を用いた授業をしている。

 開成中学校合格実績4番手の塾は日能研。日能研の志望校別特別講座には開成中学校の講座はない*2ものの、合格力完成教室や日能研入試問題研究特別講座などの授業で得点力をつける指導をしている。日能研は、難関校への合格実績もあるが、比較的中堅校に強い塾と言える。

 このように、上記の大手4塾で開成中学校の合格者の大多数を占めている。他の塾にも合格者はいるが、塾の規模や受験者層、メインとなる志望校の違いなどから、大手4塾ほどの実績は出せていない。また、ここ数年の合格者数が、どの塾もほぼ横ばいで推移していることも特徴的だ。今後もしばらくはSAPIXの独り勝ちに対して、早稲田アカデミー・四谷大塚・日能研が追いかける状態が続くだろう。

 なお、開成中学校が公表している合格者数に対して、塾の公表している合格者数が多くなっているのは、先述の通り人数がダブルカウントされているのが主な原因だ。例えば、四谷大塚に通っている生徒が、補習塾として四谷大塚準拠塾の早稲田アカデミーの個別指導教室にも通っていることがある。このような生徒が開成中学校に合格した場合、四谷大塚でも早稲田アカデミーでも合格者としてカウントされる。そのため、塾の公表している合格者数が実際の合格者数よりも多いという現象が起きる点には留意しておくべきだろう。

 今回はトップ6塾のみを紹介したが、ランキング完全版では26塾の過去5年の実績を掲載している。

 エルカミノや駿台・浜学園、希学園などの少数精鋭と定評のある塾は何人の合格者を出しているのか。ぜひランキング完全版もチェックしてみてほしい。

*1 早稲田アカデミー公式サイト
*2 2023年度の対象校は、栄光学園、聖光学院、浅野、筑波大学附属駒場、渋谷教育学園幕張、明治大学付属明治、豊島岡女子学園、市川、東邦大学付属東邦