聖光学院中学校について

 聖光学院中学校・高等学校は、私立の男子中高一貫校だ。カトリックのミッションスクールであり、祈りを教育の原点としている。建学の精神は、「カトリック的世界観にのっとり、人類普遍の価値を尊重する人格の形成、あわせて、高尚、かつ、有能なる社会の成員を育成する」となっている。

 神奈川の男子トップ校として名高いが、東京からの受験者も多い。第1回目の入試日が2月2日ということもあり、2月1日に開成中学校を受験して、2月2日に聖光学院中学校を受験するという併願パターンが多いようだ。

 カリキュラムや学年の枠を超えた体験型の学習講座である「聖光塾」、"言語"によらない交流を目的とした「選択芸術講座」、社会の動きを実体験するための演習講座「選択社会科演習」など、特色のある教育を行っているのも聖光学院中学校の特徴だ。

聖光学院中学校の合格者が一番多い塾は?主要7塾を過去5年のデータで徹底比較!

 聖光学院中学校の入試問題は、奇を衒ったような問題が少ないため、地道に受験勉強に励むことができたかどうかが重要になってくる。つまり、如実に実力が問われる訳で、そういう意味でも塾選びが重要になる。

 では、聖光学院中学校の合格者数はどのようになっているのか、主要25塾の過去5年のデータを比較してみよう。

【2023年入試】聖光学院中学校の合格者が最も多いのはSAPIXで243人!

 聖光学院中学校の合格者が最も多いのはSAPIXで、2023年度は243人だ。2位は早稲田アカデミーで80人、3位は四谷大塚の64人だった。その後、日能研が34人、グノーブルが17人、希学園が14人、TOMASが12人で続く。

主要塾の聖光学院の合格者数
石田達人氏の協力で作成

聖光学院中学校の塾別合格者数の推移・傾向

 聖光学院中学校の塾別合格者数を見ると、圧倒的にSAPIXが多くなっている。過去5年のデータを見ても、募集人員以上の合格者を安定して出している。

 SAPIXは、難関中学校を目指す生徒が多い塾で、中学受験に向けて小学1年生から通塾している生徒も珍しくない。神奈川県内には11校舎しかないが、難関校合格を目指して都内から受験する生徒も多くなっているため、このような合格実績が出せているようだ。

 また、SAPIXの「難関校SS特訓」という講座には聖光学院コースも設置されており、志望校合格に向けてハイレベルな仲間と切磋琢磨できる環境が整っている。その上、聖光学院中学校を会場にして公開模試を受験する機会もあり、より本番に近い形で模試を受けられる。このような特徴が、SAPIXの合格者が多い要因になっていると考えられる。

 SAPIXに続いて合格者が多いのが、早稲田アカデミーと四谷大塚だ。年によって異なるが、合格者数は概ね60名から80名で推移している。早稲田アカデミーは、神奈川県内に31校舎があり、聖光学院中学校がある横浜市には14校舎を構えている。四谷大塚は、神奈川県内に直営校が8校舎で、四谷大塚NET(四谷大塚準拠塾)が96校舎(早稲田アカデミー・臨海セミナー・スクールFCを含む)ある。

 早稲田アカデミーも四谷大塚も中学受験の大手塾であり、テキストやカリキュラムが整っている。一方で、早稲田アカデミーの「NN志望校別コース」には「NN聖光」がないため、「NN開成」などのコースで対策をする必要がある。四谷大塚には横浜校舎のみ「聖光学院コース」があるため、横浜校舎のアクセスが良い生徒は学校別対策を受けやすくなっている。

 聖光学院中学校への合格者が多い塾は、日能研、グノーブル、希学園と続く。日能研も大手塾で難関校も目指せるが、どちらかというと中堅校の受験者が多いため、難関校の合格実績は伸び悩んでいる。

 グノーブルと希学園は、どちらも難関校を目指す生徒を対象とした塾である。大手塾に比べて校舎数が少なく、それに伴って生徒数も少ない。希学園(首都圏)の生徒数は男子93人であり、聖光学院に14名の合格者を出している(SAPIXの生徒数は男女合計6730名)。

 なお、聖光学院中学校が公表している合格者に対して、塾の公表している合格者数が多い点に注意が必要だ。この現象は、先述の通り人数がダブルカウントされているのが主な原因になっている。例えば、SAPIXの補習塾として早稲田ゼミナール系列のSPICAにも通っている生徒がいた場合、両方の塾で合格者としてカウントされる。そのため、塾の公表している合格者数が実際の合格者数よりも多い。

 今回は主要7塾のみを取り上げたが、完全版では25塾の過去5年分の合格者数を紹介しているので、そちらも確認してみてほしい。