難関大学を挙げるにあたり、まず中橋さんが紹介する大学の条件をあげた。対象は、早慶と旧帝大に近いレベルの大学だ。まずは受験生の最大限の努力を前提として、共通テストの70%台前半を取ればなんとかは入れる大学だ。科目については、英語や社会は難しくてもなんとか対応できるが、数学・理科・国語は点を取るのが厳しくても合格が可能な大学だ。この条件をもとに、チャンスのある難関大学を提示していく。

ギリギリ届きそうな問題レベル:北海道大学・筑波大学

北海道大学・筑波大学ならギリギリ届きそう?
「ギリギリ届きそう」だと挙がった北海道大学・筑波大学

 最初に挙げられたのは、問題のレベルとして凡才でもギリギリ届きそうだという北海道大学と筑波大学。ただし、北海道大学は近年やや難化傾向にあり「年によっては厳しい」と中橋さんは述べる。

 筑波大学については、数学が選択問題であることから「苦手分野を避けられるケースがある」とし、英語・理科は知識でも得点しやすい問題構成が期待できる、と解説する。

実績評価の推薦入試枠を狙う:東北大学

 次に取り上げられたのが、東北大学の推薦入試だ。受験勉強ではなく、研究活動など「過去の実績」をしっかり評価してもらえる可能性がある、という。苦手な科目があったとしても、特定分野の研究で実績があれば、学部によっては狙いやすい。

 ただし、中橋さんは、実績は「環境による要素が大きい」とし、学校側の協力的な支援が不可欠で、サポート体制が弱いと難度がかなり上がる点も指摘している。

英語に特化して勝負する:SFC・国際教養大学(AIU)

 4つ目に紹介されたのは、SFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)。難しいが「英語に特化して努力することで合格に近付ける」という、中橋さんの見立てだ。

 国際教養大学は、英語のエッセイの試験があり、合格者は帰国生が多い現状にも触れながら、英語力の積み重ねで勝負できると説明する。小林さんも「英語の長文作成のトレーニング次第で可能性はある」という。

二次試験で逆転を狙える医学部:愛媛大学・佐賀大学

 医学部としては、愛媛大学と佐賀大学の名が挙がった。愛媛大学は二次試験での逆転が多いことで有名。出題傾向として、数学・理科が比較的簡単な反面、英語は特殊性が高い、と中橋さんは解説する。共通テストで失敗した受験生が流れてくる事情も踏まえ、事前に愛媛大学に絞って科目対策すれば可能性が開ける、と語った。

 一方の佐賀大学は、二次試験は凡才でも受かりやすいという。しかし、共通テストは80%前後が必要であり、70%台前半では苦しいという現実的な厳しさにも触れられた。

敬遠されがちだが魅力的な学部:早稲田大学

早稲田大学
「本気でやれば連れていける」という早稲田大学

 小林さんが「普通の高校生が1年半本気でやれば、自信を持って連れていける」と力説するのが、早稲田大学のスポーツ科学部・人間科学部だ。求められるレベル感が極端に高すぎないうえ、マーク式で得点を積み上げやすい形式が魅力だという。小林さんは、就職活動の土台としても有効だとすすめている。

 立地や学部名のイメージから敬遠されがちだが、実際の学びは幅広い。スポーツ科学部といっても、情報・経済など理系から文系まで、対象がスポーツというだけで「何でもできる」と中橋さんも同意する。

競争相手が少ないTEAP利用入試:上智大学

 小林さんからは、文系の選択肢として、上智大学のTEAP利用入試にも言及があった。「みんなが受けなさすぎる」と競争相手の少なさを指摘し、コツコツと対策すれば点が伸びる試験だと評価している。

 中橋さんは、多くの受験生が目指す“早慶”が厳しい場合でも、上智大学へ変えることで「5〜10%しかない見込みが、50〜60%に上がることがある」と語り、受験方式による選択が合否を左右し得ることが示唆された。

※TEAP(ティープ)とは「Test of English for Academic Purposes」の略称。大学で必要とされる英語力を測るテストで、上智大学と公益財団法人日本英語検定協会が共同で開発した。

まとめ

 難関大学を挙げつつ語られたのは、無計画に進むのではなく、受験戦略を持って大学を選ぶという考え方だ。共通テストの現実的なラインから、受験方式や科目との相性を見極め、大学別の特徴に合わせて努力を重ねる。──そこに普通の受験生が難関大学へ届く希望がある、と説いている。(次ページに解説動画あり)