フェリス女学院中学校について

 キリスト教信仰に基づいて1870年に創立され、日本の近代女子教育をリードして来たフェリス女学院は横浜山手の歴史的景観地区にあります。荘厳なパイプオルガンが響く朝の礼拝の時間は、情操教育を大切にするミッション系ならでは。同校の出身で長く教鞭を取っていた阿部素子校長は、教育モットーである「他者のために(For Others)」を掲げ、時代にふさわしい女子教育をすすめています。

 学習面では深く幅広い学びを追求するために、実験・観察・研究レポート・小論文・プレゼンテーション・ディスカッションを多く取り入れ、各教科を細分化して少人数制授業を行うほか、全学年でネイティブによる「英会話」を学びやすい教育環境を用意もあります。

 しっかりした防犯防災対策の中、学校生活では中高が一体になって参加するクラブ活動が盛んで、ミッション系らしいYWCAや聖歌隊をはじめ、茶道部や化学部、音楽部、かるた部の文化系、バレーボール部やテニス部、体操部など運動部も人気があります。(松井誠:TOMAS教務企画局 教務本部)

フェリス女学院中学校の基本情報
区分 私立
男女校種別 女子校
入試日 2/1
住所

〒231-0862

神奈川県横浜市中区山手町178

アクセス

根岸線・京浜東北線「石川町駅」元町口より徒歩約7分
みなとみらい線「元町・中華街駅」5出口(元町口)より徒歩約10分
神奈川中央交通バス「山手町バス停」より徒歩約1分

公式HP フェリス女学院中学校・高等学校のHP

※参照: フェリス女学院中学校・高等学校のHP

フェリス女学院中学校の入試分析

国語の入試分析

傾向:解答に手際の良さが求められる構成

 大問1が物語文、大問2が説明文、大問3が文法(本年は敬語)、大問4が漢字の出題構成。物語文は4年連続6000字超の長文。小問も13問と多い。説明文は本文1000~2000字程度。40字の記述に加え自己の考えを書く200字以内の作文を課す。本文のみならず選択肢を読む速さ、記述をまとめる速さが求められる。

出題:提示されたテーマに即した解答を

 大問1は国語の教科書でも親しまれてきた竹内寛子の物語文。将校とのふれ合いを通じての少年の心情を読み取る。大問2の200宇記述は、「インターネット等で調べて得た知識を引用しても、それは自分の考えではない」という筆者の意見をふまえ、孫として祖父の登山に対し自分の考えによる提案ができるかどうか。

対策:本番の想定演習でスピードアップ

 物語文は日頃から長文を読むことに慣れておこう。まずは細部にとらわれ過ぎずに話の筋を大まかにとらえつつ、素早く読み進める要領を身につけること。また、各選択肢の内容が本文と合致するかどうかを判断し、手際よく絞り込む作業に慣れておこう。文法や知識問題、漢字は、模試等で出された問題でできなかったところは必ず反省・復習を行い、基本レベルの問題は必ず正解できるようにすること。

読解問題 頻出テーマ ベスト3:

1位 文化と学問

2位 人としてどう生きるか

3位 友人

算数の入試分析

傾向:基本+初見対応力が必要

 4~5題構成で、式や考え方を問題用紙に書かせる形式。平面・立体図形、割合と比、速さ、数の性質などが頻出。極端な難問は少ないが、図・式・計算、そして考え方を書いて説明する力が要求される。50分の試験時間内に全て解き切るのはかなりハードであり、問題の選択と時間配分の戦略が合格の鍵となる。

出題:本年もフェリスらしい出題

 大問1は計算・小問、大問2は整数問題、大問3は時計算、大問4は立体図形からの出題。大問1の(1)~(4)はいわゆる普通の問題だった。ここまではなるべく時間をかけずに全問正解したかったところ。(5)からギアチェンジ、少しずつ見たことがないような要素が加わり、差がついたと思われる。

対策:常識の範囲を広げ初見に対抗

 良く練られた問題で、算数の実力が点数にあらわれるように作ってある。具体的には、頻出問題に関しては短時間で正確に解答し、あまり見かけない問題はその場で考えて正解にたどりつける、そのような受験生が高得点を出せる。準備としては「知っている」で解ける範囲をなるべく広げ、それ以外は考える習慣を身につけることが得策であろう。しっかりした方針の元、受験生には安心して算数の「力」そのものを伸ばしてもらいたいと思う。

算数 頻出テーマ ベスト3:

1位 場合の数・条件整理

2位 数の性質・規則性

3位 平面図形

社会の入試分析

傾向:地理・歴史中心の正攻法の出題

 本校は40問前後の出題で地理・歴史中心である。用語記述、短文記述問題が多く、問題のレベルも高いのでしっかりとした学力が要求される。統計処理のスピードに加え、与えられた資料を基に理由や因果関係を考える力も必要。きちんと学習を積み重ねてきた受験生を求める出題である。

出題:「考えさせる記述」の重視

 大問3題、38問で問題数、難度に大きな変化はない。昨年に続き地形図は出題されないが史料が増えた。昨年見られた、公民分野へのシフトはなく、地歴中心に戻った。大問1で出題された「唐津コスメティック構想」が地元に与える利点のように、知識の記述ではなく「考えさせる記述」が重視されている。

対策:時間をかけた対策が必要

 本校の対策には時間とエネルギーを要するので早いスタートが望ましい。各分野の用語やデータを単に暗記するのではなく、それを使って出来事の内容、関係、理由をまとめる力をつけなければならない。表面的ではなく厚みと深さのある学力が必要。また、与えられた資料から問題を発見し、解決策を考えさせる出題は今後も継続されるものと思われるので、「考え、まとめる」ことを常に意識した学習を重ねることが大切である。

社会 頻出テーマ ベスト3:

1位 原始・古代(旧石器~平安)

2位 中世・近世(鎌倉~江戸)

3位 近代・現代(明治~令和)

理科の入試分析

傾向:理科の本質の理解と論理性

 例年、大問4~5題、30~40の記入箇所に解答という形式。短文での記述や図表の書き込みなど、形式も多様で解答する時間に余裕はない。基本知識を覚え、横断的に関連づけた上で、出題の本質部分を論理的に素早く理解することが求められる。女子の難関校らしい出題傾向である。

出題:論理性をさらに重視している

 本年度は、例年同様約30問であるが、論理性を問われるものが多く考える時間がかかる問題が増え、時間不足には気をつけたい。グラフの読み取り問題など、知識を前提とした実践力を試す「現場対応型」が増え、素早く読み取り、分析し、自身の知識と関連付けるという、柔軟に対応する力が要求されている。

対策:処理能力を上げ、応用力を鍛える

「解答につながる答えのどれかひとつを覚える」のではなく、状況に合わせて対応する「頭の回転力」を磨いていく必要がある。1問1答の形式に合わせた頭脳になっていると戦えないので、普段から知識を応用していく意識づけが大切である。ただし、前提としての知識は当然必要なので、基本知識を覚えながら応用もしていく(計算問題で求め方をいろいろ考えるなど)ような「器用さを磨く訓練」が必要である。

理科 頻出テーマ ベスト3:

1位 地球・月・太陽・惑星

2位 水溶液の性質と溶け方

3位 水のはたらき

フェリス女学院中学校の進路・入試情報

フェリス女学院中学校の進路情報

 フェリス女学院中学校は、中高一貫校であるため、ここではフェリス女学院中学校高等学校の2024年度の大学入試の結果を掲載しています。()内は学校推薦型選抜による合格者数です。

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国公立大学
大学名

合格者数

現役

合格者数

既卒を含む合計

北海道大学 1 3
弘前大学 0 1
岩手大学 0 1
東北大学 3 4
筑波大学 0 1
千葉大学 3 4
東京大学 5 6
東京海洋大学 1 3
東京藝術大学 0 2
東京工業大学 3 5
一橋大学 3 4
横浜国立大学 9 10
新潟大学 0 1
金沢大学 0 1
信州大学 0 1
静岡大学 1 1
浜松医科大学 1 1
京都大学 1 4
大阪大学 1 2
神戸大学 1 1
国際教養大学 0 1
東京都立大学 3 4
横浜市立大学 5(2) 5(2)
静岡県立大学 1 1
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私立大学
大学名

合格者数

現役

合格者数

既卒を含む合計

国際医療福祉大学 4 5
自治医科大学 1 1
獨協医科大学 0 1
青山学院大学 38 39
桜美林大学 1 2
大妻女子大学 1 1
学習院大学 7(1) 8(1)
学習院女子大学 1 1
共立女子大学 10 10
杏林大学 1 2
慶應義塾大学 46(3) 53(3)
工学部大学 5 7
國學院大学 4 4
駒澤大学 3 3
駒澤女子大学 2 2
実践女子大学 1 1
芝浦工業大学 6 11
順天堂大学 3 4
上智大学 42(1) 47(1)
昭和大学 2 4
昭和女子大学 10 10
昭和薬科大学 1 1
女子美術大学 0 1
成蹊大学 1 1
成城大学 2 4
清泉女子大学 1 1
専修大学 2 3
大正大学 1 1
多摩大学 1 1
玉川大学 0 1
多摩美術大学 2 5
中央大学 16(1) 22(1)
津田塾大学 2 3
帝京大学 2 2
東海大学 2 7
東京医科大学 0 1
東京家政大学 2 2
東京歯科大学 3 3
東京慈恵会医科大学 2 2
東京女子大学 3 3
東京造形大学 1 1
東京電機大学 0 1
東京都市大学 2 6
東京農業大学 3 6
東京理科大学 38 53
東邦大学 2 4
東洋大学 10 14
日本大学 7 17
日本医科大学 6 6
日本女子大学 7 7
法政大学 34 39
星薬科大学 3 3
武蔵野大学 3 3
武蔵野美術大学 2(1) 2(1)
明治大学 58 77
明治学院大学 20 21
立教大学 34 37
早稲田大学 75(3) 82(3)
麻布大学 2 2
神奈川大学 8 11
関東学院大学 1 1
北里大学 4(2) 7(2)
相模女子大学 1 1
湘南医療大学 1 1
聖マリアンナ医科大学 0 1
鶴見大学 2 2
フェリス女学院大学 3 3
長浜バイオ大学 0 1
京都先端科学大学 0 1
同志社大学 2 8
立命館大学 2 4
関西学院大学 2 3
産業医科大学 0 1
立命館アジア太平洋大学 1(1) 1(1)
短期大学
大学名

合格者数

現役

合格者数

既卒を含む合計

共立女子短期大学 2 2
外国の大学
大学名

合格者数

現役

合格者数

既卒を含む合計

University of Sussex 1 1

※参照: フェリス女学院中学校・高等学校のHP

フェリス女学院中学校の入試情報

フェリス女学院中学校の入試日程・科目

偏差値

63

※参照: 四谷大塚

入試日程

(2025年度)

<募集人数>
女子 180 名


<出願(インターネット)・入学検定料支払>
2025年1月6日(月)~2025年1月19日(日)

 

<入試日程>

2025年2月1日(土)


<合格発表>
2025年2月2日(日)
※インターネット上での発表

入試科目

(2025年度)

4教科(合計320点)
 国語(50分/100点)
 算数(50分/100点)
 理科(30分/60点)
 社会(30分/60点)

※参照: フェリス女学院中学校・高等学校のHP

フェリス女学院中学校の受験者数・合格者数

  2021年 2022年 2023年 2024年
募集人員(人) 180 180 180 180
出願者(人) 435 464 450 431
受験者(人) 414 435 432 415
合格者(人) 200 200 200 205
実質倍率(倍) 2.1 2.2 2.2 2.0

※森上教育研究所作成資料より

編集協力=福崎剛・フリーライター