慶應義塾普通部について
入試日が2月1日で、都内の難関進学校と同じ日程でありながら、多くの受験者数を集める人気校です。「独立自尊」を基盤に「知育・徳育・体育」の面からの人格の完成を目指し、時間を惜しまずに自ら考え、自主的に活動や選択・決定ができるように導く「労作教育」を教育方針に掲げています。
入学後は各学習科目にしっかりと時間をかけて基礎を身に付け、「学び方を学ぶ」ことを重視し、知的好奇心を高めて、批判的思考や情報リテラシーなどを育みます。学習面では、中1では24人学級、中2・中3では40人学級を二分割して少人数制授業を行っています。
また、卒業生を講師として招き、これまでの歩みと取り組みや将来を語ってもらう「目路はるか教室」をはじめ、大学の日吉キャンパスにある森で、大学の生物学教室の先生から動植物観察や雑木林管理を学んだり、農園で四季折々の野菜を育てたりするなど、実践的でユニークな選択授業も特色です。
学業とともに学校生活を豊かなものにしているのが、さまざまな部会活動です。クラスや学年を超えた交流の場であり、生涯にわたる友人を得ることにもつながる貴重な場となっています。(松井誠:TOMAS教務企画局 教務本部)
区分 | 私立 |
---|---|
男女校種別 | 男子校 |
入試日 | 2/1 |
住所 |
〒223-0062 神奈川県横浜市港北区日吉本町1丁目45−1 |
アクセス |
東急東横線、東急目黒線、横浜市営地下鉄グリーンライン「日吉駅」より徒歩5分 |
公式HP | 慶應義塾普通部のHP |
※参照: 慶應義塾普通部のHP
慶應義塾普通部の入試分析
国語の入試分析
傾向:幅広い理解力と素早い処理力が肝要
大問3題構成で、読解問題2題と漢字の独立題1題からなる。読解問題は通常、物語文1題に随筆文もしくは論説文が1題であるが、以前は詩などの韻文が出題されたこともある。設問は記号問題と抜き出し問題中心で、字数制限付きの記述問題も出題される。短い制限時間内で効率的に素早く解答処理をする力が求められる。
出題:長くなった記述への対応が問われた
大問1の物語文では、中学生から高校生になった主人公の屈折した思いの変遷を細やかにとらえ、大問2の論説文では、写真集の序文という設問文の紹介に動揺せず、西洋と対比した日本の窓に対する筆者の認識を正確にとらえたい。制限字数が長くなった記述問題には、落ち着いて答案構成をするなどの対応が問われた。
対策:設問形式別の効率的解法を確立せよ
本校の出題分野は、物語文、随筆文、論説文中心であるが、本年度は写真集の序文から、以前は詩も出題されるなど多岐にわたる可能性がある。従って、日頃から韻文やエッセイも含めて様々な分野の文章に触れておく必要があり、その際は正確に内容を理解することを第一に心掛けるべきである。そのうえで、40分という短い試験時間内で解き切れるように、過去問演習に取り組むことを通じて、設問形式別の効率的な解法を確立しておきたい。
読解問題 頻出テーマ ベスト3:
1位 文化と学問
2位 自然と人間
3位 社会の仕組み
算数の入試分析
傾向:スピードと柔軟さを要求する内容
例年、大問数8題程度で総問数14問程度、全問記述式で40分の試験である。大問1は計算、大問2以降はそれぞれ1~2問の小問がズラリと並ぶ。「和と差・割合・速さ」「図形」「場合の数」が頻出。難易度は標準的なものが多いが、やや手の込んだ問題も散見される。スピード訓練をしていないと時間が短く感じるだろう。
出題:丁寧な情報処理が必要な良問揃い
全体的な難易度は例年通りの印象。大問1の計算、大問2の平面図形と比、大問5の場合の数、大問7①の整数はいずれも定番の内容で、失点したくない。大問3の比の文章題、大問4の動点、大問6の速さ、大問8の立体の切断、大問9(あ)の角度は本年の勝負所。式や図を用いて情報を上手に情報整理できたか否かが鍵を握る。
対策:定番題をスピーディにこなす訓練を
テンポよく解答しないと時間切れになるため、スピードトレーニングが必須だ。本校受験者であれば、計算問題は100%取れて当たり前という感覚が必要。その上で、文章題と図形題の両方が含まれる小問集合を、時間制約をかけた上で多数こなすのが良い。やや捻りのある問い方だったり、図を描いて整理する必要があったりする、標準~やや難程度の難易度がふさわしい。また、記述式に対応するため、途中式を書く練習も行いたい。
算数 頻出テーマ ベスト3:
1位 平面図形
2位 速さ
3位 計算
社会の入試分析
傾向:広く深い知識の高速処理を要求
本校の社会では幅広く正確な知識が必要。地理は地名やその土地の特徴、位置まで問われる。身近な物事やニュースに主体的に関心を持ち、知識の幅を広げ、厚みのある常識を身につけることが要求される。設問数に対して時間に余裕はないので、正確さとスピードが必要である。
出題:知識の幅と読解力・思考力を要求
例年通り大問6題。長文の記述はない。大問1で昨年のG7広島サミットが扱われ、「グローバルサウス」が出題され、やはり現代社会への視野が求められた。複雑な統計処理もなく、一見取り組みやすいようだが、出題者が何を求めているのかを問題文から的確に読み取り、正解を導き出す高度な能力が要求される。
対策:厚みのある知識と考える力が必要
本校の問題は全分野から出題されており、オールラウンドな学力が必要である。さらに知識を覚えるだけでなく、その知識を組み合わせ、関連させながら社会について主体的に考える力が求められる。現代社会に関心を持ち、単に新しい用語を知っているだけでなく、その意味や背景を知り、その問題が自分自身にどのように関係するか、自分なりの解決方法を考える姿勢が必要である。教科の枠に縛られず幅広い教養を身につけることである。
社会 頻出テーマ ベスト3:
1位 近代・現代(明治~令和)
2位 日本地理(資源・工業)
3位 経済
理科の入試分析
傾向:広い教養と正確に解ききる持久力
4分野(生物・地学・物理・化学)からバランスよく出題されている。基本的知識が多く、ミスが許されない。そのため、正確に作業し続ける持久力も要求される。また、日常に絡んだ出題も例年通り出題されているので、勉強としてではなく、雑学的に知識を蓄えていく必要がある。
出題:思考力型への傾向の変化
例年通り、4分野からバランスの取れた出題。大問1は物理「電熱線」、大問2は地学「日時計」、大問3は化学「燃焼」と生物「植物」、大問4は生物「昆虫」。すべて選ぶ完答型の形式がなくなった一方で、説明形式の問題が増加し、原理・仕組み・理由まで考えつく思考力も問われてきている。
対策:広い教養(雑学)への意識
「たき火」に絡めて、タマネギの切り方など、理科の勉強だけでは押さえきれない知識が問われた。学校の家庭科の授業などもおろそかにしないように、という学校側からのメッセージを感じる。日々の生活の中で、普段の雑談の中からでも、理科的な視点・興味を拡げ、教養を身につけることが結果として対応策となる。また問題の切り口を変えているので、「出題の言い方」が変わっても柔軟に対応する力も必要となる。
理科 頻出テーマ ベスト3:
1位 いろいろな動物・季節と動物
2位 地球・月・太陽・惑星
3位 昆虫
慶應義塾普通部の進路・入試情報
慶應義塾普通部の進路情報
慶應義塾普通部は、慶應義塾の一貫校であり、慶應義塾高等学校・慶應義塾志木高等学校・慶應義塾湘南藤沢高等部・慶應義塾ニューヨーク学院高等部のいずれかに進学後、卒業生のほとんどが慶應義塾大学に推薦されます。ここでは主に、国内各高等学校の2023年度の慶應大学への学部別推薦人数を掲載しています。
慶應義塾大学学部 | 人数 |
---|---|
文学部 | 9 |
経済学部タイプA | 139 |
経済学部タイプB | 70 |
経済学部PEARL | 1 |
法学部法律学科 | 112 |
法学部政治学科 | 112 |
商学部 | 70 |
医学部 | 22 |
理工学部 | 86 |
総合政策学部 | 11 |
環境情報学部 | 22 |
薬学部薬学科 | 2 |
※その他の進路は14名。
慶應義塾大学学部 | 人数 |
---|---|
文学部 | 10 |
経済学部 | 80 |
法学部 | 74 |
商学部 | 18 |
医学部 | 7 |
理工学部 | 40 |
総合政策学部 | 1 |
環境情報学部 | 3 |
薬学部 | 1 |
他 | 1 |
慶應義塾大学学部 | 人数 |
---|---|
文学部 | 12 |
経済学部 | 69 |
法学部法律学科 | 32 |
法学部政治学科 | 32 |
商学部 | 12 |
医学部 | 7 |
理工学部 | 39 |
総合政策学部 | 12 |
環境情報学部 | 15 |
薬学部薬学科 | 6 |
薬学部薬科学科 | 1 |
他 | 4 |
※参照: 慶應義塾高等学校・慶應義塾志木高等学校・慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部
慶應義塾普通部の入試情報
慶應義塾普通部の入試日程・科目
偏差値 |
65 ※参照: 四谷大塚 |
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入試日程 (2025年度) |
<募集人数>
<出願書類郵送>
<入試日程> 2025年2月1日(土)
|
入試科目 (2025年度) |
4教科(合計400点) 国語(40分/100点) 算数(40分/100点) 理科(30分/100点) 社会(30分/100点) |
※参照: 慶應義塾普通部のHP
慶應義塾普通部の受験者数・合格者数
2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
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募集人員(人) | 180 | 180 | 180 | 180 |
出願者(人) | 603 | 605 | 587 | 569 |
受験者(人) | 563 | 575 | 557 | 526 |
合格者(人) | 195 | 205 | 195 | 195 |
実質倍率(倍) | 2.9 | 2.8 | 2.9 | 2.7 |
※森上教育研究所作成資料より
編集協力=福崎剛・フリーライター