就職後のイメージを描きにくい理学部(数学系)

過小評価されている学部5位
過小評価されているという「学部」はどこ?

 まずランキングの5位として田野崎さんが挙げるのは、理学部の数学系です。世間では理系版の文学部のような捉え方をされ、「研究者志望の人だけが行きそう」「就職が弱そう」というイメージで見られがちだと指摘します。しかし、実際には、統計やアルゴリズムの基礎を担う分野として、ITや金融、データ分析などで需要が広がっている、とのこと。汎用性の高い思考力を持つ人材を育成している学部だと述べます。

 小林さんは、理学部の研究は実践より基礎が多い、と説明。工学部のような社会での実践方法がわかりやすい学部に比べ、理学部は進路や就職先のイメージを高校生が持ちにくい、と話します。実際にはよい就職先が決まることも多いため、学部別の進路や就職先を見てイメージを膨らませてほしい、と助言します。

実際は幅広い分野をカバーする農学部(非獣医系)

 田野崎さんがランキングの4位に示したのは、獣医系以外の農学部です。農業や田舎といった地味なイメージを持たれがちですが、実のところは、食品から生命科学、環境科学、応用科学まで、幅広くカバーしている学部。食料や環境資源という、社会にとって欠かせない分野を担うスペシャリストを育てる場でもあり、就職先も食品メーカーや公務員など安定している、と田野崎さんは説明します。

 小林さんも重要な分野だと強調。一方で、就職後の平均年収から、他学部に比べて受験生の選択肢になりにくい面もある、と語ります。ただし、それは農学部の問題というより、学生のメンタリティが影響しているのではないか、とのこと。柔和な学生が多く、「稼ぐ」より「好きなことをやりたい」と考える傾向によるものと推測しています。

専門性が高いのに低く見られがちな医療系・看護系学部

 ランキングの3位は、薬学を除く医療系・看護系学部です。医学部・医学科の隣に位置するだけに、「偏差値が低くて入りやすい」「医学部の下位互換」というイメージが強いことを、田野崎さんは理由に挙げます。しかし、看護師や保健師、理学療法士、作業療法士、放射線技師などは、高度な専門知識を必要とし、人の命を扱うという意味でも重要な職種安定した需要があり、地域差や景気に左右されにくい強みがあるにもかかわらず、低く評価されがちだと説明します。

 確かに過小評価されている、と小林さんも同意。理由としては、高校生の段階で具体的な職種に絞って選択するのが難しいからではないか、という考えを示しています。また、医学部や看護学部はイメージできても、その先の専門職までは知らない高校生も多いため、過小評価につながっている、ということです。

社会問題を反映している福祉系・人間科学系学部

 2位に挙げられたのは、福祉系・人間科学系の学部です。文系の穴場学部的な扱いをされることが多く、「就職が強くない」「現場が大変そう」という印象で捉えられがちだと田野崎さんはいいます。高齢化社会で需要が高まっており、医療・教育・行政など活躍の場は広いにもかかわらず、イメージ先行で過小評価されている、と述べます。

 小林さんは、学部というより、その先の職業が過小評価されている、と指摘。高齢者や子どもを支える仕事は重要である一方、きつい仕事、低賃金といったイメージがあり、それが学部の評価にも影響している、と説明します。学部ではなく社会の問題という見解であり、「世の中が変わっていってほしい」と言葉を続けています。

教育学部(教員養成系)は民間就職という選択肢もある

 ランキングの1位は、教員養成系の教育学部です。教員は報われない重労働つぶしが効かないといったイメージが大きい、と田野崎さんはいいます。一方で、特に地方においては最重要のエッセンシャル人材。発達心理やマネジメントの知見を活かした再就職をする人も見られるなかで、イメージ先行のためか人気が伸びない、と話します。

 小林さんも、教員のマイナスイメージを率直に認めます。ただ、教育学部に進んだからといって教員になる必要はなく、民間就職の道もあるという見方を提示。教育・心理・発達など学びの幅も広く、別の職種で活かせることもあり、実際に難関大学では民間就職の実績も多いとのことです。そういった観点から、興味のある人は積極的に教育学部を狙ってほしい、という考え方を示します。

イメージだけで学部を選ぶ危険性について

 最後に田野崎さんは、過小評価されている学部は、社会インフラ寄りで成果が見えにくいところが多い印象、とまとめます。小林さんはあらためて、イメージだけで学部を選ぶ危険性について、注意を喚起。進学後、学部の王道を行ければ問題ないものの、実際には王道ルートを通る人は一部に過ぎず、民間就職など別の道へ進むケースも多い、と語ります。

 だからこそ、受験生は思い込みだけで判断せず、各大学の学部ごとの就職実績や進路実績をしっかり確認することが大切。そうすることで、自分の将来のキャリアもイメージしやすい、とアドバイスを送っています。

まとめ

 実態より低く評価されがちな学部が5つ、ランキングで紹介しました。受験生が進路を考えるときは印象や思い込みだけで決めず、学びの中身や卒業後の進路まで確認すると、納得のいく学部選択につながりそうです。(次ページに解説動画あり)