慶應義塾湘南藤沢中等部について

 男女共学、慶應義塾の中で唯一の中高6年一貫校として設立された同校は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの中にあります。「個性を伸ばし育む文化」「未来を拓く異文化理解」「実践につながるICT教育」「先導者を育てる一貫教育」の4つの特色を打ち出し、未来を創り出す人材の育成を目指しています。

 生徒の約2割が帰国子女で、校風も慶應の中で最も自由だと言われるほどですが、2人担任制で各生徒のサポートやフォローアップもしっかりしています。また、国際理解のための英語教育は特に熱心で、短期交換留学プログラムは7カ国、12学校にも及びます。さらに第2外国語の習得に加え、パソコン・タブレット端末を駆使した独自の「情報」教科を中等部から行っており、ICT時代のデジタルリテラシーの習得にもいち早く取り組んでいます。

 このほか、選択授業も充実しており、文学や芸術、生活に密着した講座が開講されています。こうした多様なカリキュラムは、慶應大学へ進学するための下地作りにもなっています。(松井誠:TOMAS教務企画局 教務本部)

慶應義塾湘南藤沢中等部の基本情報
区分 私立
男女校種別 共学校
入試日

一次試験 2/2

二次試験 2/4

住所

〒252-0816

神奈川県藤沢市遠藤5466

アクセス

小田急江ノ島線・相鉄いずみ野線・横浜市営地下鉄線「湘南台駅」よりバス15分
JR線「辻堂駅」よりバス21分

公式HP 慶應義塾湘南藤沢中等部のHP

※参照: 慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部のHP

慶應義塾湘南藤沢中等部の入試分析

国語の入試分析

傾向:身近な視点と柔軟な発想が問われる

 語句の知識、説明的文章と文学的文章の読解、条件作文の4題を45分で解く形式。読解問題の文章内容は比較的平易で、出題形式は選択と抜き出しが中心。条件作文は字数制限に加え、身近なテーマについて自分自身の言葉で自由に表現する必要がある。柔軟な発想力と制限字数内にまとめる高度な記述力が求められる。

出題:選択・抜き出しをテンポよく確実に

 複数の訓読みを持つ漢字を問う知識問題に、短い説明文と長い物語文、条件作文と、4題構成は例年通り。本年の読解問題では記述は1問のみ。多数の選択・抜き出し問題をテンポよく確実に解くことが求められる。世の中をハッピーにするものの理由を説明する作文は感性と表現力を試されるが、比較的書きやすかった。

対策:言葉の感覚と発想力を鋭敏に培おう

 語句問題では、身近な生活に関する常識や慣用表現について意表を突く形式で問うことが多いため、普段の生活でも言葉に対する感受性を鋭敏にしておきたい。比較的平易な読解問題は、なるべく時間をかけず確実に得点できるよう、効率的な解法を心がけよう。条件作文では、身近にある様々なテーマについて、柔軟な発想力を活かして、説得力のある考えをまとめる訓練を積む必要がある。公立一貫校の適性検査にも取り組むとよい。

読解問題 頻出テーマ ベスト3:

1位 文化と学問

2位 友人

3位 父母

算数の入試分析

傾向:精度の高い処理能力が必要

 試験時間45分に対して問題数が多い(18問)のが本校の特徴。前半の平均レベルの計算と小問集合は絶対に落とせない。後半の大問は図形、規則性、速さ、割合などの応用を出題。普段の演習で必ず取り組んでいる定番の問題が大半を占めるが、手応えのある、時間のかかる難問もあるので、時間配分には注意したい。

出題:前半完答、後半はできる問題に絞る

 例年通りの問題構成(18問)。大問1・2は計算と小問集合(速さ、売買損益、求角)、後半の大問3~6は数表、図形の移動、水位変化、ニュートン算。前半の基本問題は完答を目指し、後半の応用は、できる問題を見極めることが大切。問題構成は幅広いので、柔軟に対応できる能力が必要とされる。

対策:素早く正確に解く練習が不可欠

 毎年、問題構成やレベルに大きな変化はなく、解きやすい問題は多い。後半の大問は解法がわかっても、意外と時間がかかるものもあり、時間配分が重要となる。確実に解ける問題はどれか、どの問題に時間をかけるか、素早く見極めるためにも、図形や速さ、規則性などの頻出問題は過去問や類題を多くこなし、限られた時間で基本、応用ともにスピーディかつ正確に処理する能力をしっかりと磨いておきたい。

算数 頻出テーマ ベスト3:

1位 平面図形

2位 割合と比

3位 速さ

社会の入試分析

傾向:スピードと正確さの戦い

 例年大問7題前後、35問前後の小問が課される。50字程度の記述や地形図、統計資料の読取りなど、手間のかかる問題が出題されることもあり、25分という短時間で問題を正確に処理する能力が求められる現代社会の諸問題の出題も多いので、時事用語の知識だけでなくその意味や背景についての理解も要求される。

出題:統計資料の処理能力で差がつく

 本年度も大問7題、小問は30問。地理・歴史・公民各分野からバランスよく出題されている。記述問題はなく、選択・正誤・穴埋め問題がほとんどだが、急ぐと引っかかる選択肢もあって難度は高い。全分野で合計7つの統計資料が出題されており、その処理に手間取らないことが得点アップのポイント。

対策:戦略的取り組みが必要

 本校では25分という短時間で多数の問題を処理する能力が求められる。よって早い段階からスピードを意識し、迅速かつ正確に解答を出す演習が必要である。個々の問題は特に難問ではないが迷ったり考え込んだりする余裕はない。正確な知識を身につけ、設問の要求に合う形で解答として示す力がなければならない。さらにデータ処理能力、出題の意図を把握する力をつけることが、時間との戦いを制し、合格を勝ち取るための条件である。

社会 頻出テーマ ベスト3:

1位 近代・現代(明治~令和)

2位 日本地理(農林水産業)

3位 中世・近世(鎌倉~江戸)

理科の入試分析

傾向:幅広い基本知識と設問との対話力

 試験時間が短い中、選択問題・用語記述、計算・記述問題があり素早い切り替えが必要である。例年、図や表から読み取らせる問題が出題され、正確な知識をもとに特徴を読み取り、素早く選び取る能力も求められている。設問の切り口が工夫されているので問われ方に対応していく対話力が必要となる。

出題:正確な基本知識と素早い判断力

 大問1は、生物から海の生物。大問2は、地学から月の探査。大問3は、物理から電気回路・LED。大問4は、化学から気体の性質と分類、と幅広く出題されている。基本的知識を問う設問が多いが、分析思考型の出題に移行しつつあり、設問の趣旨を素早く読み取り、知識と関連付けて解答する能力が要求されている。

対策:生活に身近な知識を学ぶ意欲

 正確な基本知識、論理を学ぶことは大前提として、いろいろな形式・切り口からの初見の問題への対応力を磨く必要がある。テンポ良く読み、素早く意図を読み取り、素直に解答する演習を積むこと。直前期には、受験生自身では気づかない、時間を浪費しているポイントや、落としてはいけない知識を客観的に分析、指摘してもらい、問題のヒントからの連想力を磨いていくことが大切である。

理科 頻出テーマ ベスト3:

1位 地球・月・太陽・惑星

2位 水溶液の性質と溶け方

3位 気体の発生と性質

慶應義塾湘南藤沢中等部の進路・入試情報

慶應義塾湘南藤沢中等部の進路情報

 慶應義塾湘南藤沢中等部は、慶應義塾の一貫教育校であり、慶應義塾湘南藤沢高等部に進学後、ほぼ全員が慶應義塾大学に推薦されます。ここでは慶應義塾湘南藤沢高等部の2023年度の慶應大学への学部別推薦人数を掲載しています。

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慶應義塾大学 学部別推薦人数

学部

人数
文学部 12
経済学部 69
法学部法律学科 32
法学部政治学科 32
商学部 12
医学部 7
理工学部 39
総合政策学部 12
環境情報学部 15
薬学部薬学科 6
薬学部薬科学科 1
4

※参照: 慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部のHP

慶應義塾湘南藤沢中等部の入試情報

慶應義塾湘南藤沢中等部の入試日程・科目

偏差値

一般 男子 65
一般 女子 68
帰国生 男子 60
帰国生 女子 63

※参照: 四谷大塚

入試日程

(2025年度)

<募集人数>

一般入試 約70名
帰国生入試 約30名

 

<Web出願システム登録期間>
一般入試 2024年12月2日(月)~
帰国生 2024年11月1日(金)~

 

<出願書類郵送受付期間>
一般入試 2025年1月6日(月)~2025年1月14日(火)必着
帰国生 2024年12月2日(月)~2024年12月16日(月)必着

 

<入試日程>

一次試験 2025年2月2日(日)
二次試験 2025年2月4日(火)一次合格者「面接・体育」


<合格発表>

一次試験 2025年2月3日(月)
二次試験 2025年2月5日(水)
※掲示およびホームページ上に発表

入試科目

(2025年度)

4教科選択(合計300点)
 国語(45分/100点)
 算数(45分/100点)
 理科(25分/50点)
 社会(25分/50点)

 

3教科選択(合計300点)

 国語(45分/100点)
 算数(45分/100点)
 英語(60分/100点)

※参照: 慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部のHP

慶應義塾湘南藤沢中等部の受験者数・合格者数

一般入試
  2021年 2022年 2023年 2024年
募集人員(人) 70 70 70 70
出願者(人) 521 544 454 472
受験者(人) 471 481 405 421
合格者(人) 85 88 86 89
実質倍率(倍) 5.5 5.5 4.7 4.7
帰国生入試
  2021年 2022年 2023年 2024年
募集人員(人) 30 30 30 30
出願者(人) 184 191 134 142
受験者(人) 157 169 122 113
合格者(人) 41 43 40 43
実質倍率(倍) 3.8 3.9 3.1 2.6

※森上教育研究所作成資料より

編集協力=福崎剛・フリーライター