国内教育旅行で探究を
もっと深掘りする

 さらに同校では、高校2年次に実施している国内教育旅行と探究学習との連携を図り、i.schoolの「6つのアプローチ」の1つ「エスノグラフィック(訪問観察的)アプローチ」を取り入れている。

数値化できない意識や行動を言葉で表す「エスノグラフィー調査」を教育旅行で実施する 画像提供:芝浦工業大学附属中学高等学校
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 i.schoolの堀井氏に協力を依頼し、「地域イノベーション」ワークショップを行って、地域のイノベーション事例やガイドブックを基に、地域活性化が成功した概要やそのリソース、仕組みなどを学習した上で、探究学習とは異なるチームで、旅行先の地域におけるリソースの生かし方のアイデア出しを行った。

 中には、「人が来ない、活力のない地域が、その状況を生かす方法」を探るチームもあった。

 アイデア出しの翌日には、新規性・有効性・実現可能性の3つの観点からChatGPTによる評価が行われ、生徒たちにフィードバックされた。

 また、事前に校内で模擬演習を行い、「5つのWHY」(右図参照。リソースを基に最初のWHY=問いを設定し、その答えから次のWHYを設定し、WHY→答え→WHY→答え…を繰り返す)を基に、現地での活動を生徒たち自身で組み立てて実行した。 

 今井氏、山岡氏は、目的を明確に決めず生徒それぞれに発見を促すこの調査を、探究学習のチームとは異なるメンバーで行うことで、それまでとは違った観点から物事を観察できる機会として国内教育旅行に組み込んだ。

 現地を訪れ、「5つのWHY」を繰り返し、掘り下げる視点からの調査を行ったことで、生徒たちは新たな問いの立て方(考え方)、視点が得られたようだ。

 次回は、「5つのフェーズ」の具体的な進め方とフィードバックの方法について紹介する。