私学助成金不交付はいつまで続くのか
――日大は2021年度から3年連続で私立大学等経常費補助金の不交付が決まっています。20年度には90億円ほどもらっていました。不交付の翌年度以降の取扱いというのがあって、改善努力を十分に行っていると認められたとしても、原則として翌年度は全額不交付で、2年後は75%減額、3年後は50%減額、4年後は25%減額、5年後からようやく全額交付になります。こうして見てみると、400億~500億円はもらい損ねることになりそうです。
後藤 そろそろ財務もきつくなってくるし、何よりも世間体が悪いですね。
井沢 日大は総合大学というよりも、強い学部の集合体、カレッジ制という印象です。
後藤 事務長も学部の序列はしっかりあります。付属の併設校を持っている学部の事務長が偉い。日本大学櫻丘高校(世田谷区)の文理学部、日本大学鶴ヶ丘高校(杉並区)と日本大学藤沢小中高(藤沢市)の生物資源科学部、日本大学三島高校の国際関係学部、日本大学習志野高校(船橋市)の理工学部、日本大学東北高校(郡山市)の工学部がそうですね。
井沢 学部の歴史がそのまま職員の序列につながっているようです。
後藤 それでも日大人気は下がらない。以前の記事でも指摘したように、本来、日大は明治大の後塵を拝するようなことは許されないのに。お茶の水地区のキャンパス再開発でも、明治に見下ろされてたまるか、明治よりも高い建物を建てるんだと意気込んでいたとの話も聞きました。日大法学部は中央大の法学部同様に法曹養成では定評があった。理工学部の建築は五大建築学部の一つに数えられた。土木は卒業生が全国で活躍して「社長を日本一出す大学」の基盤になった。
井沢 そもそも、23年度の一般選抜で日大の志願者は増えており、24年度は隔年現象で減る可能性が高い。東洋大が23年度入試で1万人以上志願者を減らしているので、今回の件とは関係なく、ハードルが下がったと感じる受験生が日大から東洋大に流れるケースもあるでしょう。24年度入試で日大の志願者が減少したとしても、その要因のすべてがガバナンス問題とされるのは気の毒な気がしますね。
後藤 日大は本来、面倒見のいい優しい大学です。昔は学生職員という制度があって、相撲部員とかが学生のときから職員になって、定年までいると40年超で退職金がえらい額になったものです。ただ今回は、その優しさを誤ってしまった。
――24年度入試がどうなるのか、年明けの次回に再び語っていただきましょう。