「探究」という名の総合型選抜が増えている
大学入試カレンダーでは、11月は総合型選抜、12月は学校推薦型選抜の結果発表の時期だ。文部科学省によれば、これら「年内入試」で大学に入学する人の割合は、国公私立合わせて全大学入学者の50.7%。私立大学だけを見ると58.7%と6割近くに及ぶ(2023年度)。さらに、私立大学の総合型選抜入学者に絞って見てみると、21年度は14.7%、22年度は15.7%、23年度は17.3%と、その割合は少しずつ上昇している(※1)。
総合型選抜は、従来のAO(アドミッションズ・オフィス)入試の後継選抜方式だ。21年度に名称が変わったのと同時に、選考内容も「出願書類と面接」のみから、小論文やプレゼンテーションなどによる学力面での評価が必須となった。その総合型選抜に、22年度以降は「探究」を冠する試験名が増えている。
背景にあるのは、同年度からの高校における新学習指導要領の導入だ。新学習指導要領のカリキュラムは、知識偏重の教育を脱し、自ら課題を立て、考察し、他者に伝えるために「主体的に学ぶ力」を養う「探究」活動に重点を置いたもの。
高校で得た知識を大学での学びにつなぐ「高大接続」に沿った入試改革の重要性がいわれてきた中で、「探究」は、大学で行う「研究」への発展・接続をより強く意識しており、25年度入試に臨む現高校3年生は、この新課程を修了する「1期生」となる。
※1 令和5年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要(文部科学省)