探究入試の志願者が初年度の10倍を超えた桜美林
桜美林大学は入学定員2620人の中堅大学だが、日本の私立大学では先駆的に、航空機パイロットを含む航空業界の人材養成やリベラルアーツ教育などを独自色のある「学群制」で展開し、24年度入試では、全入試合わせて1万3000人超の志願者を集めた。
AO入試の時代から一般選抜以外の選抜方式にも力を入れており、25年度の総合型選抜と学校推薦型選抜を合わせた「年内入試」の定員は1448人、一般選抜と共通テスト利用選抜による定員は1017人、国際学生選抜154人という配分になっている。
「高校での探究」を評価する総合型選抜を初めて実施したのは、22年度入学者向けの選抜を行った21年だった。入学部部長の高原幸治氏は、「一部の高校では、新課程までの移行期間としてすでに19年度から探究活動に取り組んでいた。生徒たちのエネルギーはすさまじく、彼らの取り組みをそのまま入試で評価したいと思った」と、そのいきさつを振り返る。
まずは高校生に新しい入試に関心を持ってもらうため、「探究入試Spiral」導入の発表と同時に「合否判定の評価基準」を公開した(※2)。しかしながら、「授業で行った探究が評価される入試」をさまざまな高校を回って説明しても、当初は全国でも前例が少なく生徒が尻込みし、出願まで至らないケースが多かったという。
それでも、初年度(22年度)の志願者数18人に対し、翌23年度は39人に倍増、24年度には52人、25年度の志願者数は、初年度比10倍以上の214人となった(数値の出所はいずれも桜美林大学)。これについて同大学は、「高校で探究が必修となった影響も一つの要因」 とみている。
探究入試入学者の入学後の成績には個人差があるものの、「これが好き!」という思いを強く持っている学生が多いことは間違いなく、学びやその他の活動にも主体的に向き合うタイプ(高原氏)だという。25年度は初年度入学者が4年生となり、彼らの卒業後の進路が具体的に見えてくる。そうなれば、一般選抜入学者も感化されていくだろう。こうした要因も加味しながら、来年度以降も探究入試の仕組みを少しずつ改善していく意向だ。
※2 桜美林大学「探究入試Spiral」参照