高校で取り組む「探究」を評価する大学
こうした動きに伴い、大学側も、高校で「主体的に学ぶ力」を身に付けた生徒を積極的に受け入れる入学者選抜の仕組みを整えてきた。海外留学などの特別な経験や、著名な賞の受賞歴などの実績を特に求めるものではなく、高校生が大学で学ぼうとする意欲と能力を評価する。その結果が、徐々にではあるが、冒頭で述べたような総合型選抜による入学者割合の増加につながりつつあるようだ。
入学者数の割合が一気に拡大しない理由は、大学側が1人の受験生を選抜するのに時間を要することはもちろんだが、教科書がなく、生徒ごとに学ぶ内容が異なる「総合的な探究の時間」の指導を苦手とする教員が多いという、高校の教育現場事情もある(4ページのグラフ1参照)。
また、一口に探究型といっても、例えば、奈良女子大学文学部が21年度から実施している「探究力入試『Q』」のように、大学が事前に設定したテーマへの取り組みを評価するタイプもあれば、お茶の水女子大学が17年度から実施している「新フンボルト入試」のように、試験当日に出題する課題での評価方式など、いくつかのタイプがある。
今回取り上げるのは、「高校の授業で行う探究の成果を評価する」探究型の総合型選抜である。一例を挙げれば、大分大学経済学部の「総合型選抜(課題探究)」や福井県立大学生物資源学科の「総合型選抜『探究力発掘』」、私立では桜美林大学の「探究入試Spiral」、関西学院大学の「総合型選抜(探究評価型入試)」、東京家政学院大学の「総合型選抜探Q入試(探究活動報告型)」など。
その中で、25年度の探究入試の志願者数が、実施初年度(22年度)の10倍を超えた桜美林大学(東京都町田市)の例を見てみよう。