立正大学
1992年の18歳人口は205万人。受験生を収容するために東京ドームを借り切って入試を実施した大学も… 写真提供:立正大学

36年ぶり!なぜ、少子化なのに志願者数の記録更新が!?

 2025年度の私立大学一般選抜では、千葉工業大学が16万2005人の志願者数を集め、それまで11年連続で日本一だった近畿大学を抜き去りトップに躍り出た。これは、1989年度早稲田大学の志願者数16万150人を上回るもので、36年ぶりの新記録更新でもある(第7回参照)。

 少子化が急速に進んでいるにもかかわらず、36年前の最多志願者数を超える大学がこの時代にあるというのは、どういうことなのか。

 文部科学省の「令和6年度国公私立大学入学者選抜実施状況」によれば、2024年度の全国の大学の募集定員は62万5188人に対し、入学者数は61万3453人。内訳を見ると、国公立大学には定員より4738人多く入学しているが、私立大学は、募集定員49万5700人に対して入学者は47万9227人で、定員を1万6473人下回った。すでに、私立大学の「全入」は始まっているのだ。

 つまり、志願者を集める大学とそうでない大学との格差が拡大している。これについては、後ほど触れたい。

 ここではまず、「志願者を集める大学」の変遷を見てみよう。1985年から2025年まで40年間の私立大学志願者数「歴代トップ3」(一般入試・選抜のみ)を抽出し、その年の18歳人口と大学・短期大学進学率(推薦入学なども含む)を一覧にまとめてみた(2~3ページの表参照)。

 85年から99年までトップ争いをしていたのは、日本大学と早稲田大学だ。いずれも日本有数の学生数を誇る「マンモス大学」であり、現在も毎年多くの志願者が押し寄せている。早稲田が16万人の志願者を集めた89年は18歳人口が193万人、翌年からは第2次ベビーブーム世代が受験期を迎え、18歳人口200万人時代に突入する。

 そのピークが92年度の205万人だった。同年の高校卒業者数は181万人、大学と短大を合わせた進学者数は79万人で、18歳人口の38.5%である。今の受験生には信じられないかもしれないが、当時、あまりにも志願者が多過ぎたため、東京ドームを借り切って入試を実施した大学もあった。