
2026年度に「年内学力入試」が解禁へ
7月後半からはいよいよ夏休み、受験生にとっては秋に向けて学力を蓄える時期であると同時に、9月から始まる総合型選抜を意識する人もいるのではないだろうか。
今から1カ月ほど前の6月3日、文部科学省から全国の国公私立大学の学長あてに「大学入学者選抜実施要項」が通知された(※1)。大学や高校の教員、外部有識者らで構成する「大学入学者選抜協議会」の討議を受けて次年度入試の時期や選抜方法などを決めるもので、大学入試は、毎年出されるこの要項に沿って実施するのが原則となっている。
2026年度の実施要項はこれまでの慣行を一変する内容となった。従来は公式に認められて来なかった「年内の学力入試」が、条件付きではあるが容認されたのである。よって、26年度は、特に首都圏の私立大学にとって実質的な「年内学力入試元年」になるといっても過言ではないだろう。
25年度までの実施要項では、総合型選抜は9月1日以降、学校推薦型選抜は11月1日以降、一般選抜など学力試験の実施は年明けの2月1日以降と定めていた。つまり「個別学力検査」(入試科目の学力テスト)を年内に行うことはいわば「禁じ手」だった。
だが、25年度入試では一部の私立大学が年内(24年12月まで)に学力試験を実施。首都圏では、東洋大学が大規模大学としては初めて「英語と国語」または「英語と数学」の基礎学力試験のみで合否が決まる公募型推薦入試を実施し、2万人近い志願者を集めた(第6回参照)。
年内に行われる総合型選抜や学校推薦型選抜は、多くの場合、志望理由書の提出や小論文試験、面接試験などが課され、教科学習とは異なる対策が必要となり、高校生や教員にとって少なからぬ負担となっている。
学力試験ならば、通常の授業のみで対策が済んでしまうため効率が良い。実は、近畿圏の私立大学では基礎学力試験のみの推薦入試がすでに数十年来の定番になっており、首都圏の大学でも導入されるのは時間の問題ともいわれていた。そんな中、昨年、東洋大学などが実施に踏み切ったというわけだ。
次のページに、26年度入試に「年内学力試験」を導入する予定の首都圏大学の例を挙げたので参照していただきたい。
※1 令和8年度大学入学者選抜実施要項(文部科学省、PDFに遷移)