是正を求める文科省、大学側が条件受け入れ

 大東文化大学や東洋大学をはじめ、25年度入試で年内(24年12月まで)に学力試験を実施した大学に対する文部科学省の姿勢はいかなるものだったか。多くの大学は、近畿圏で40年以上続いている慣行であり、少数ながら首都圏でも年内学力試験を実施してきた大学もあるのだから、文部科学省も今さら何も言うまいという楽観的な見方をしていた。

 そんな予測に反し、同省は25年12月24日、全国の国公私立大学長に対して「試験期日等の遵守」を求める異例の文書を発する。また、前述の大学入学者選抜協議会を例年より早い3月に開催し、年内の学力試験実施の是非を議題に取り上げた。

 25年度入試で年内学力試験を実施した私立A大学の入試担当者は「今回ばかりは文部科学省はかたくなな姿勢を崩しませんでした。『違反』とみられるすべての大学に連絡し、『是正』を求めたと聞いています」と述べる。

 特に近畿圏では、学力のみの年内入試を死守する構えを見せる大学が多かった。しかし、文部科学省もまったく譲らず、結局は大学側が譲歩し、小論文試験などを加えて年内学力入試を実施する方向に落ち着いた。募集要項に「違反」がないか、各大学の入試情報サイトを監視する要員まで省内に配置したというから、その徹底ぶりがうかがえる。

 さらに、26年度実施要項には「年内に学力試験を行う場合、小論文・面接・実技検査や志望理由書、学修計画書などを必ず組み合わせて丁寧に評価しなければならない」という内容が記載された。「必ず」「丁寧」に評価するよう念押ししている。

 入学者選抜協議会委員のB氏は「総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜と、多様な入試を実施する意義をあらためて確認してほしいというメッセージです。学力のみで合否が決まるなら、年内学力入試は一般選抜の単なる前倒しにすぎず、認められないということです」と、その趣旨を説明する。