中学受験の家庭教師の料金や費用のシステム

 家庭教師を依頼する場合、主に以下の費用がかかります。授業料だけはない点に注意しましょう。

項目 説明
入会金
(入会費)
家庭教師センターに入会するための費用です。
別途、保証金(預かり金)を支払う場合もあります。
授業料
(指導料)
授業を受講するときにかかる費用です。
時間単位やコマ単位で料金が発生します。
テキスト代
(教材費)
専用のテキストを使用する場合にかかる費用です。
市販のテキストを使ったり、学校や塾の教材を使ったりする場合は、必要ありません。
管理費
(サポート費)
家庭教師センターのシステムを利用するための費用です。
学習のフォロー、講師の交代、進路相談、各種問い合わせなどのサポートを受けるために必要になります。
交通費 講師が自宅まで来るためにかかる実費を負担する場合があります。
交通費は、管理費に含まれている場合もあります。
模試代 実力判定のために独自の模試を実施している家庭教師もあります。
月会費 管理費や交通費が月会費としてまとめて徴収されることがあります。
また、テキスト代や模試代、更新料など、その都度かかる費用が含まれていることもあります。
解約金 年間契約などをしているけれど途中解約した場合に発生することがあります。

 ただし、キャンペーンを利用すれば入会金が無料になったり、オンライン家庭教師なら交通費の支払いは不要など、家庭教師の種類によって内訳はさまざまです。契約前に、受験までを見通してトータルでかかる費用を確認することが大切です。

 料金システムには、大きく分けて1コマあたりの授業料を支払うシステム」と「1時間あたりの授業料を支払うシステム」があります。

1コマ制の場合、家庭教師によって60分や90分、120分などの時間が決められています。1コマにつき1教科制を採用していることが多く、国語と算数を受講する場合は2コマ受講することになります。

1時間制は、1か月の授業にかかった時間分の料金を支払うシステムです。時間内であれば複数教科を指導してくれたり、スポット受講ができたりするなどのメリットがあります。1コマ制よりも柔軟に対応してもらえる一方で、カリキュラム通りに進まないこともあるので注意が必要です。

 これらの料金システムは、家庭教師の種類や受講するコースによっても異なっており、どちらも一長一短です。

「追加料金がかかるものが多くて、思っていたより高額になった」ということにならないように、料金システムについても契約前によく確認しておきましょう。

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中学受験の家庭教師の料金の相場

 家庭教師には、大きく分けて「派遣型家庭教師」と「個人の家庭教師」がありますが、先述の通り、料金システムやかかる費用などが異なるため、単純に相場を算出するのは困難です。

 また、住んでいる地域によっても相場は異なります。

 それぞれの料金相場の概算は以下の通りですが、家庭教師によって指導形態やサポート内容が異なるため、費用対効果が高い家庭教師を選ぶことが大切です。

派遣型家庭教師の料金の相場

「派遣型家庭教師」とは、家庭教師センターに在籍している講師が、各家庭に派遣されるタイプの家庭教師のことです。
家庭教師センターと契約を結ぶことで家庭教師を派遣してもらうことになります。

 派遣型家庭教師の相場は、1時間あたり3,000円から6,000円で、月謝にすると20,000円から30,000円です。
派遣される講師が学生の場合は料金が低く、プロの場合は料金が高くなる傾向にあります。

 例えば、大手や中規模の家庭教師の入会金と授業料(中学受験向けのコースで比較)は、以下の通りになっています。

家庭教師のトライ 入会金:10,500円
4,180円〜/1時間
家庭教師のアルファ 入会金:0円
11,440円〜/月4回・各回60分
学研の家庭教師 入会金:24,200円
4,290円〜/1時間
家庭教師のノーバス 入会金:22,000円
29,480円/月4回・各回90分
32,560円/月4回・各回120分
家庭教師のマスター 入会金:22,000円
850円/1コマ30分
家庭教師あすなろ 入会金:22,000円
1,000円/1コマ30分
家庭教師ASK 5,000円/1時間
TOS家庭教師センター
(不登校・発達障害に強み)
入会金:22,000円
28,600円/月4回・各回90分
38,128円/月4回・各回120分
57,192円/月8回・各回90分
76,256円/月8回・各回120分
※ベーシックコース(私立小・中学受験)

 また、授業料以外にかかる料金の「相場」は次の通りです。

項目 料金
入会金 20,000円
更新料 10,000円
テキスト代 0〜5,000円
管理費 4,500円
交通費 500〜1,000円
模試代 5,000円
月会費 5,000円
解約金 20,000円

 これらの費用がかかるかどうかは家庭教師によって異なるため、家庭教師センターや講師個人に確認する必要があります。なお、「テキスト代」は、専用テキストを使用しない家庭教師も多いため、相場が0円からとしています。

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個人の家庭教師の料金の相場

「個人の家庭教師」とは、家庭教師センターを介さず、直接講師と契約を結ぶタイプの家庭教師のことです。個人の家庭教師に依頼する場合、家庭教師のマッチングサイトなどを利用して、講師を探すことになります。

 個人の家庭教師の相場は、1時間あたり2,000円から4,000円になっていますが、学歴が高い講師は価格を高めに設定している傾向にあります。家庭教師センターで受けられるようなサポートがない分、派遣型家庭教師よりも平均的な料金は低くなっています。

 個人の家庭教師の料金(一例)は、以下の通りです。

東京大学生 6,000〜8,000円/1時間
お茶の水女子大学生 2,500円/1時間
社会人(早稲田大学卒) 4,000円/1時間
社会人(二松学舎大学卒) 1,800円/1時間

 

プロ家庭教師の料金の相場

 家庭教師には、学生のアルバイトもいれば、「プロ家庭教師」といわれる家庭教師を生業にしている講師もいます。プロ家庭教師のほうが受験に精通していることが多いため、その分料金相場も高めになっています。

 派遣型家庭教師の場合、学生家庭教師の相場は1時間あたり3,000円から5000円であるのに対して、プロ家庭教師の場合は1時間あたり6,000円から8,000円になっています。また、トッププロといわれる中学受験に精通した指導力の高い講師は、1時間あたり1万円以上の価格帯になっています。

 派遣型プロ家庭教師の料金や中学受験で有名なプロ家庭教師の料金(一例)は、次のようになっています。

名門指導会
 
名門指導会
出典: 名門指導会
16,000円〜/1時間

【西村則康 講師】
プロ家庭教師名門指導会代表。算数/理科/数学を担当。
灘中150人、洛南高付属中70人、東大寺学園中80人、神戸女学院中70人、四天王寺中80人、
開成中150人、麻布中100人、武蔵中25人、
桜蔭中80人、女子学院中100人、雙葉中20人、その他多数の合格実績がある。
アートオブエデュケーション
 
アートオブエデュケーションWEBサイト
出典: アートオブデュケーション
12,000円/1時間(授業は原則2時間から)

【富田佐織 講師】
アートオブエデュケーション指導部門部長。
中学受験専門大手進学塾の算数講師を10年以上務め、
超難関校から中堅校まで幅広いコースを歴任。
教材作成や進路指導にも精通している。
一橋セイシン会
 
一橋セイシン会WERサイト
出典: 一橋セイシン会
39,600円〜65,340円/月4回・各回90分
52,800円〜87,120円/月4回・各回120分

【加藤 講師】
家庭教師や大手の個別指導塾で20年以上指導をした経歴がある。
スーパー講師としてテレビにも出演。
これまでに、灘、麻布、駒場東邦、栄光学園、慶應中等部、
早稲田実業、早稲田、早大学院、聖光学院、その他多数の合格実績がある。

オンライン家庭教師の料金の相場

 オンライン家庭教師も、講師のレベルによって、料金相場が異なります。

 交通費の支払いが不要なことや、移動の時間がないために派遣型より多くの生徒を募集できることなどから、派遣型家庭教師よりも料金が低めに設定されています。オンライン家庭教師の相場は、1時間あたり4,000円から5,000円になっています。

 なお、大手家庭教師センター在籍の家庭教師も個人の家庭教師も、コロナ以降は「オンライン対応」が増加しました。派遣型に比べて、料金を若干安めに設定している家庭教師もあります。

 オンライン家庭教師の料金(一例)は、次のようになっています。

学研の家庭教師 4,290円〜/1時間(レギュラーコース)
6,490円〜/1時間(セレクトコース)
8,800円〜/1時間(プロコース)
オンライン家庭教師peace 入会金:22,000円
14,800円〜/月4回・各回60分
家庭教師GIPS 入会金:0円
15,180円/月4回・各回60分(社会人・学生)
17,980円/月4回・各回60分(プロ講師)
メガスタ小学生 入会金:15,000円
21,824円〜/月4回・各回80分(学生教師)
28,512円/月4回・各回80分(大学院生・社会人教師)
34,848円/月4回・各回80分(若手プロ教師)
42,768円/月4回・各回80分(プロ教師)
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中学受験の家庭教師を選び方

 中学受験では、教科指導はもちろん大切ですが、それ以上に大切なのが子どものモチベーションを維持することです。学習の難易度を調整してくれたり、メンタル面のフォローをしてくれたりするなど、多面的に子どもをバックアップしてくれる家庭教師を選ぶようにしましょう。

講師の教え方が子どもと合っているのか

 小学生の子どもにとって、講師との相性は重要なポイントです。

 教え方が上手い講師には2つのタイプがあり、ひとつは「教科指導が上手な講師」、もうひとつは「子どもの学習意欲を引き出すのが上手な講師」です。

 家庭教師は子どもの心理面にも大きな影響を与えるため、教科指導が上手なだけでなく、学習意欲を引き出してくれる講師を選ぶべきです。

「講師との相性が良い→学習意欲が高まる→学力が上がる→もっと勉強を頑張る」というように、良いスパイラルをもたらしてくれる講師かどうかを見極めましょう。

講師の実績や口コミを確認する

 ホームページやパンフレットに、家庭教師の実績(教え子の合格実績)が掲載されていることがあります。志望校や志望校と同等以上の合格実績のある講師のほうが、合格のためのノウハウをたくさん持っていると考えられます。

 また、事前にネットや知り合いなどを通じて、評判・口コミを確認することも大切です。

 実際に利用した人の評判・口コミには、ホームページなどでは分からないリアルな体験者の声があるため、ある程度は参考になります。

 しかし、子どもの性格・能力、家庭環境・学習環境、志望校、家庭教師を始めた時期など、子どもや家庭によって状況はさまざまなので、口コミをあまり鵜呑みにしすぎないような姿勢も必要です。

学生とプロの家庭教師はどちらが良いのか

「学生」と「プロ」のどちらが良いかは、家庭教師に何を求めるかによって異なります。

「学生の家庭教師」は、比較的子どもと年齢も近いため、「お兄さん・お姉さん」的な存在として子どもが楽しく学習する環境をつくりやすいというメリットがあります。中学受験を経験している学生も多く、身近なロールモデルになります。

「プロの家庭教師」は、指導経験が豊富で、受験情報をたくさんもっていることが利点です。

 中学受験の問題は解き方さえ知っていれば解ける問題が多くありますので、講師の指導力は非常に重要です。プロのほうが最新の受験情報を持っていることが多く、志望校に合わせた対策をしてもらえることもメリットです。

体験授業の時にチェックすべきポイントとは

 家庭教師をお願いするときは、契約前に体験授業を申し込みましょう。

「家庭教師選びに失敗した」とならないように、体験授業の時のチェックポイントをまとめました。全てを網羅することは難しいと思いますので、優先順位をつけてチェックしてみましょう。

  • 子どもとの相性が良い
  • メンタルケアや塾のフォローなどにも対応してくれる
  • 最新の受験情報をもっている
  • 志望校の傾向や対策を理解している
  • 志望校に合わせたカリキュラムが組める
  • テキストが充実している
  • 模試や実力診断テストによる学力判定やフィードバックがある
  • 願書添削や面接対策も行っている
  • 講師に実績がある(志望校に多くの合格者を出している)
  • 授業の振替や授業時間外にも質問できるなど、サポート体制が整っている
  • 料金が授業時間や授業内容に見合っている
  • メンタルケアや塾のフォローなどにも対応してくれる
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中学受験の家庭教師の料金や費用まとめ 

 中学受験の料金相場や体験授業でチェックするべきポイントについて解説してきました。

 ひと言で「家庭教師」と言っても、料金システムや講師のレベル、サポート内容はさまざまあります。そのため、子どもや家庭に合った家庭教師を選ぶことが最も大切です。

 また、一見安そうに見えても、テキスト代や管理費など多くの追加料金がかかったり、サポートが充実していなかったりすることもあります。単純に費用だけで決めてしまうと後悔することになりかねませんので、契約内容を確認することが大切です。

 子どもの合格を勝ち取るためにも、子どもに合った家庭教師を選びたいところです。

監修:鈴木孝一氏のワンポイントアドバイス

 余程の理由がない限り、家庭教師は塾との併用が基本です。塾だけで理解が足りない単元や宿題について週1で家庭教師にサポートしてもらうような形。

 

 例えばSAPIXでは6年生前期は月に52時間の授業を受けることが一般的です。月に52時間、家庭教師に依頼したとすると、例えば上述の名門指導会では1時間16,000円〜なので、52×16,000=832,000円の費用がかかることになります。

 家庭教師だけでの中学受験は富裕層だけに許された裏ワザと言っても過言ではないでしょう