読書が好きで、国語が得意だった友人

 小学校当時から読書家であった彼に対して、私はいまだに読書が苦手です。それが見事に当時の成績にも反映されていて、彼は算数がそこそこで国語がとても得意、私は算数が得意で国語が苦手でした。

 読書家=国語が得意とは必ずしも言えませんが、私の周りで「博識だな」とか「面白い人だな」と思う人はだいたい読書家です。子どもにはたくさん本を読んでほしいなと思います。

 となると、どうしたら子どもが読書を好きになってくれるのかが気になりますよね。その方法はさまざまありますが、おすすめしたいのは「親子のコミュニケーションのツール」にすることです。小さい子であれば、読み聞かせが一番わかりやすいでしょう。

インタラクティブ(双方向)リーディングを取り入れよう

 大好きなお父さん・お母さんが、自分に本を読んでくれる。それ自体が子どもにとってはうれしいことであり、内容は二の次だったりするものです。その読み聞かせの時間を楽しんでいると、子どもは自然と「本を読むのは楽しいこと」という認識になっていきます。

 また、本の内容について親子で話すのもとても良いものですね。

「ブタさんはこのときどんな気持ちだったんだろう?」「あなただったらどんなふうに感じる?」「あなただったらどんな行動をするかな?」「次のシーンはどうなると思う?」

 このように、本の内容に沿ってお子さんに問いかけて考えることを促すと、お子さんはどんどん賢くなっていきます。

 これは「インタラクティブ(双方向)リーディング」という手法で、ニューヨーク大学の研究によると、こうした読書法を実践していたご家庭の子どもたちは、そうではない子どもたちに比べてIQが6ポイントも高かったそうです。かなり大きな差ですね。いかにこのインタラクティブリーディングが子どもの脳を育てるかが、よくわかるのではないでしょうか。

勉強のツールにすると逆効果に?

 こうした取り組みをする上で注意しなければならないことがあります。それは、本を「勉強のツール」にはしないということです。

「子どもを賢く育てよう」という意識が先行してしまうと、どうしても子どもに読書を押しつけてしまいがちです。そうなると、子どもにとって読書の時間が楽しい時間ではなくなってしまいます。絵本を読み聞かせたあとで、

「さ、今のお話、どういうお話だった? 言ってごらん」「違うじゃない、ママはそんなこと言ってないわよ。ほら、このページ読んでごらん。よく聞いてないんだから!」

などと鼻息荒く子どもに問いかけたら…ほぼ尋問ですよね。こんな状態で、子どもが親の顔色を見ながら行動しているようでは、子どもの学びの質は低くなります。

 そして、本を読む時間を苦痛な時間・嫌な時間として認識するようになり、親のプレッシャーから解放されたら、自分から本を読もうとはしなくなるでしょう。子どもを「本好きにしたい」「賢く育てたい」という親の意思とは反対の結果を招いてしまうことになるのですね。

楽しみながら読書ができるようにしよう

 子どもを読書好きに育てたければ、親子で読書を「楽しむ」ことを心がけてください。子どもが大きくなって、読み聞かせをするような年齢ではなくなったら、同じ本を読んで感想を述べ合うのも良いと思います。そうすれば、お子さんはきっと読書への関心が高まっていくでしょう。そして、楽しみながら読書をするうちに、国語力も育っていきますよ。

 最後に、もし親御さん自身が読書をそこまで好きではなかったら、無理は禁物です。こうした子どもへの関わりは、やったほうがよいのは間違いないのですが、「やらなきゃいけない」とプレッシャーを感じすぎるのはよくありません。プレッシャーを感じて義務感から読み聞かせをしても、子どもの側も楽しめないですからね。

 私自身、最初に書いたように読書が苦手ですから、子どもへの読み聞かせが良いことだとわかっていても、なかなか実践できませんでした。子どもを賢く育てる方法はたくさんあります。それらをすべて実行するのは不可能です。その中から、自分でもやってみたいと思うこと、自分が得意だと思うことを選んで取り組みましょう。気持ちを楽にして子育てに臨んでくださいね。