渋田隆之(しぶた・たかゆき)
国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー

神奈川県の大手学習塾で中学受験部門を立ち上げ、責任者として20年携わる。 2022年7月に中学受験PREXを設立。 著書に『中学受験合格できる子の習慣 できない子の習慣』(中経出版)、『後悔しない中学受験100』(かんき出版)など。ダイヤモンド・オンラインで連載中

 まず4~6月は「情報収集」に取り組もう。志望校の入試日程と科目や配点、新傾向の問題がないかなどの視点でホームページを調べたり、塾に入試問題の傾向、時間配分、記述量などの分析をお願いしたりするといい。

 こうした情報を集めながら、ある程度「行きたい学校群」を絞っておく。このとき、通塾し始めた頃に「憧れた学校」は、思いが深いことが多いので、子どもと学校の偏差値が著しく乖離していなければ、候補に残しておく。
その他に「併願校」として、日程が第1志望の邪魔をせず、入試対策が第1志望と重なる(算数と国語の出題傾向や配点、記述の傾向など)学校を3~4校リストアップする。

 さらに日程が合う学校で第1志望より難易度が高い「チャレンジ校」を1校見つけておく。憧れの学校をつくることは子どもに「期待していること」を感じさせ、勢いを付ける契機となる。

 また、本番まで間があるこの時期だからこそ「ママ友・パパ友などの人付き合いのスタンスを決める」ことも大切。志望校を言わない、愚痴を言い合わないなど、適度な距離感を保つように努めよう。限られた体力や精神力の割り振り先は厳選する。

 さらに忘れてはならないのが「他人と比べない」ということ。偏差値ではなく、得点力の伸び方などを見て、わが子の成長をきちんと認めることを改めて意識しておきたい。 

 7~8月の夏期講習では、できているところ・できないところを把握できればよしと思っておこう。

 夏休みを経て、模試が増える初秋には「受験をやめたい」と考える家庭が増えてくる。短期間の成績で判断せず、踏ん張りたい。塾の先生に同じようなケースの子どもの実例を聞いておくと参考になる。

 9~10月になると、志望校別特訓が始まる塾もあり、模試の回数も増え、忙しさに拍車が掛かる。子どもが息切れしたときは、塾の先生と相談してわが子に必要なことに特化しよう。

 また、子どもの得意な分野と学校の出題傾向の相性を踏まえた志望校の絞り込み、過去問対策(どの学校のどの科目を何年分やるのかも含めて)も始める時期だ。優先順位を付けるために塾の先生に相談して目標を立てよう。

 11~12月は親の事務作業が肝心だ。願書の入手のほか、塾が合格発表や手続きなどのスケジュールを出してくるので、それを漏らさず家族で把握できるよう、カレンダーなどに書き込む。勉強面では苦手単元・科目で合格最低点を取るための戦術を塾と相談する。

 そして本番直前、親子の緊張もピークに差し掛かる1~2月。「この頃から入試まで親がどんなことを言っていたのか、子どもはよく覚えている」(渋田氏)ので、親はできるだけ感情的にならず子どもに接したい。

 出願手続きのほか、試験日の天候や交通の確認もしっかりしておこう。

 また、受験が始まる前に進学先の優先順位を暫定で決めつつ、不合格だったときの声掛けも考えておくといい。

 最後に、どの時期にも共通する注意事項がある。それは「勉強以外のトラブルに目を光らせておくこと」。子どもは成績や勉強のやり方以外に、対人関係がネックになって勉強や通塾を嫌がるようになるケースも多いからだ。