意外にも、北向きの窓(ノースライト)は学習向きだ。直射日光が入らないため光量が安定しており、明るさが一定に保たれやすい。東京のような都市部では「北側は暗い」と思われがちだが、日中に机に向かうには実は適しているという。

 冬や夜の学習では窓からの冷気が気になることもある。窓の断熱性が低いと、冷えた空気が流れ込むだけでなく、結露の原因にもなる。厚手のカーテンや断熱フィルム、さらに可能ならば内窓の設置やペアガラス化なども検討したい。

「空気の質」を高めるために注意すべきこと

「集中できるかどうかには、『空気の質』も重要です。しかし、空気は目に見えないので、その重要性が見過ごされてしまいがちです。室温や湿度、換気についても注意を払う必要があります」

 まず注目したいのが、室温と湿度だ。夏は室温25〜28℃、冬は20〜23℃、湿度は夏冬ともに40〜60%が理想とされる。湿度が低すぎるとウイルスが活性化しやすく、逆に高すぎると結露やカビの原因になる。

「忘れてしまいがちなのが部屋の『換気』です。室内の空気には、人の呼気による二酸化炭素のほか、ホコリやカビ、化学物質などが含まれていて、これらの集積は作業効率を大きく下げる要因となります。特に二酸化炭素濃度の上昇は、頭がぼんやりしたり、集中力を低下させたりする原因です」

 石油ファンヒーターやガスファンヒーターなどの燃焼型暖房機器を使用している場合は、屋内で燃料を燃やすことで一酸化炭素が発生する可能性もあり、適切な換気を行わないと一酸化炭素中毒を起こすおそれもある。

 多くの人が見落としがちだが、一般的な空気清浄機やエアコンには空気中のホコリやウイルスをフィルターでろ過する機能はあっても、換気の機能は備わっておらず、二酸化炭素や一酸化炭素を取り除くことはできない。燃焼型暖房機器の使用のいかんを問わず、室内の空気環境を整えるためには、換気が重要である。