SAPIX中学部の公式サイト

出典: SAPIX中学部の公式サイト

SAPIX中学部はどんな塾か

 難関高校への合格を考えている小学生(小学5年生の9月から開講)と中学生のための進学塾だ。小学5年生は週1回の授業で、小学6年生〜中学1年生は週2回の授業、中学2年生〜中学3年生は週3回の授業がある。中学生については、5科(英語・数学・国語・理科・社会)、3科(英語・数学・国語)のどちらかを選択する。

※参照: SAPIX中学部「授業設定」

 やみくもに暗記させるのではなく、考える力や記述力を鍛えることで、学力を高め、高校受験をクリアすることを目指す。難関高校の合格実績は高く、2023年(34期)では在籍者数652名(男子385名・女子267名)中、開成高校29名、筑波駒場高校16名、慶應女子高校32名、都立日比谷高校36名、慶應義塾高校(2次)31名、早稲田学院42名、早稲田本庄学院67名などとなっている。

SAPIX中学部が使うのはオリジナルテキスト

 テキストは『MAIN SAPIX』、月に一冊渡される数学の家庭学習用の問題集『repeat&Repeat』など。現役の講師達が制作し、授業をするのに最適なオリジナルテキストだ。高校受験の入試問題を分析して、それを基に毎年更新されている。

 数学のテキストは問題の量が多くはなく、家庭学習の量もそれほど多くない。量より質を重視するのがSAPIX中学部の指導だ。数学では、複数の解法が考えられるような良問を載せ、授業で生徒が自分で考えた解法を発表できるようになっている。

 英語のテキストは最初の説明が丁寧だ。まず、基本的な説明があり、その後に応用的な説明が書かれ、語彙などを深掘りする内容が書かれている。国語では最初に漢字のテストがあり、記述問題や作文を豊富に掲載している。

 どのテキストも生徒が書き込むスペースが割かれていて、その一冊でひとつの単元(あるテーマの学習内容の固まり、例えば、数学であれば割合、立方体、平行四角形の分割など)の学習が完結できるようになっている。英語のテキストで音声が必要なものは、塾生専用のサイトからデータをダウンロードすることもできる。

 SAPIXでは同じ単元を何度も学んでいく。繰り返すたびに違う視点からその単元を見る問題を解いていき、応用力を高めていく。らせん階段のように、同じところを回りながら、どんどん高みに上っていくやり方だ。

討論式の授業で、生徒の発言も活発

SAPIX中学部教室の様子 写真提供:SAPIX中学部
SAPIX中学部教室の様子 写真提供:SAPIX中学部

 双方向の討論式の授業をする。数学では公式を丸暗記させることはせず、「どうしてそうなるか」を生徒と一緒に考えていく。図形を板書し、「どこに補助線を引くか」ということを、生徒が全員で討論する。一クラスが15人ほどの少数制だからこそ成り立つ授業だ。

 英語も文法の問題を解く時に、「どうしてこうなるのか」ということを生徒に考えさせる。「なぜ受動態ではbe動詞が必要なのか」「現在完了のhaveと一般動詞のhaveの違いは何か」といったことを授業で議論していく。そのため、生徒の発言が活発になる。講師が一方的に話す講義式の授業とは違うものになる。

 また、英単語なども暗記させるだけでなく、以下のように講師が語源などを教え、背景を説明する。

「一月は英語でJanuaryです。この英単語の語源はローマ神話の出入り口の神であるJanus(ヤヌス)が由来です。1年の始まりと終わりを司る神です。このように知識も語源や背景などのストーリーを説明すると記憶が定着し、忘れません」 (SAPIX中学部教務部数学科教科長・青木茂樹さん)

 なお、中学3年までの学習範囲を中学2年までにすべて終え、中学3年の一年間は具体的な受験対策をしていく。最難関高校の英語の入試は、高校で学ぶ内容を理解していた方が解きやすい場合も多いので、それに対応するように先取り的に高校の内容も学んでいく。理科や社会の知識についても、高校生の範囲でも受験の段階で知っておいた方がいいものには触れていく。

 欠席した時は、土曜日に一斉にオンライン授業をリアルタイムで配信するのでそれを自宅で受けることもできる。土曜日のオンライン授業も受けられなかった場合、振替授業を録画した「テキスト別授業動画」を見ることができる(土曜日のオンライン授業は小学5年から中学2年が対象)。

 中学2年、中学3年では、「単元別授業動画」を配信し、カリキュラムの中でも特に大切な単元(分野)を解説する。途中から入塾した場合でも、習っていない部分をこの動画で学ぶことができる。また、授業を受けた後、復習のために視聴することもできる。

小学生から始まる高校受験対策

 小学5年の9月から高校受験対策コースの授業が始まる。一般的に小学生向けに高校受験対策の授業をする場合、中学のカリキュラムを先取りすることになるが、SAPIXはそこに重点を置かない。

「高校受験を目指す生徒さん達は、算数に関してはヌケやブレがある場合があります。小学校の時点で、割合、比、速さなどを習得していないと、中学の数学の授業で苦戦しますので、そこを重点的に勉強していきます」(SAPIX中学部教務部数学科教科長・青木茂樹さん)

 つまり、高校受験対策でも必要となる“小学生のうちにちゃんとやるべき部分”を重点的に学んでいくということだ。

 なお、理科と社会の授業は小学6年から始まる。これらの教科でも中学のカリキュラムを先取りするのではなく、小学校で学習する内容の範囲で高校受験に必要なことを選んで学習していく。小学生の授業も「なぜそうなるのか」を生徒に考えるように導く双方向の授業だ。

講師は一教科ごとに専任を置く

SAPIX中学部の授業の様子
SAPIX中学部の授業の様子 写真提供:SAPIX中学部

 双方向の討論式の授業なので、講師と生徒はフラットな立ち位置になる。そのため、「とにかくこれを覚えろ!」というトップダウン式な指導をする講師はいない。生徒と平行線上で、共に考え、生徒の意見を引き出すことをしていく。

 そして、SAPIXの講師は一教科に専念する。他塾だと理科と数学、国語と社会と二教科以上を兼任する講師も多いが、SAPIXはそれをしない。そのため、担当する教科の入試分析や指導に専念できるので、その教科のエキスパートとなっていく。その講師達が授業での経験を反映させて、オリジナルテキストを作成する。

 大学生講師も採用後に、2~3カ月の間は先輩講師の授業の補助や研修を積み重ねてから教壇に立つ。

オンライン校も運営

 中学生は部活動などがあり、電車に乗って塾に通えないケースもあろう。また、親の転勤などの事情から、地方や海外で首都圏の高校の受験対策をしたい受験生もいるだろう。そういう場合でもSAPIXの授業を受けられるようにオンライン校も運営している。

 平日コースと土曜コースがあり、後者は日数が少ないのが特徴だ。個々の生徒のスケジュールに合わせて選択ができる。

 オンライン校も双方向の授業で仲間と意見を交換する。生徒が問題を解く時は、手元を映し、講師が生徒の手の動きや書いている内容を確認するようにする。宿題チェックはアプリケーション・Google Classroomを使用し、宿題の内容をスキャンしたり、動画で撮影したりして提出する。

 なお、リアル校舎もオンライン校も1~2カ月に一度、クラス分けが行われる。全クラス同じテキストを配布するが、クラスによって扱う問題が違う。

どんな生徒が向いているか

「考えることが好きで、活発に発言をするタイプの生徒さん」(SAPIX中学部教務部数学科教科長・青木茂樹さん)

 学力を高め、それを武器にし、難関高校入試をクリアすることを目指す塾なので、学校での学習の質問対応はしているが、内申点の管理はしていない。そのため、学校の補習について対応してもらいたいという生徒には合わないかもしれない。

どんな評判の塾か

最難関高校の対策に関してはダントツの塾です。校舎が少ないので、電車に乗って通う負担がありますが、通う価値はあります
うちの子は体育会系な雰囲気が苦手なので、SAPIXさんを選びました。講師と生徒がフラットな関係なのがいいと話していました。講師を大好きになり、モチベーションを高めていました
宿題の量が多くないのがよかったです。量より質の勉強という内容がうちの子には合いました

SAPIX中学部の基本データ

校舎数 25校舎(オンライン校を含む)
生徒数 非公表
授業料

■小学5年生
 英語・算数・国語 単科受講可/各5,600円
■小学6年生
 英語・算数・国語 単科受講可/各5,600円
 理科・社会セット/11,200円
■中学1年生
 5科37,400円・3科22,990円
■中学2年生
 5科50,380円・3科42,240円
■中学3年生
 5科・3科62,260円

 

※金額はすべて税込み
※4週月の設定(3週月の減額あり)

自習室の有無 使用していない教室があれば開放している。
質問対応 随時、対応している。
授業の生徒数 概ね15名を超えない程度の人数としている。
専任講師の比率 非公表
生徒の男女比 非公表