評定平均とは?
評定平均は、高校1年生から高校3年生の1学期までの、全科目の成績の平均値を取ったものです。高校に入学してから高校3年生の1学期までに、どれくらいの成績だったのかを判断する数値で、評定平均が高いほど成績がよい優秀な学生ということになります。
評定平均の計算方法
評定平均は、履修した科目の成績の合計を履修科目数で割ったものです。基本的に5段階評価で計算されます。また、履修科目には主要5科目以外の実技(芸術・体育など)の教科も含まれます。
履修した科目の5段階評価の成績÷履修科目数
※小数点以下第2位を四捨五入
10段階評価の場合は、計算する前に5段階評価に補正してから計算されます。先に計算する場合は、計算結果が異なる場合がありますので注意が必要です。また、全科目ではなく、大学側が指定した特定科目の評定平均のみを使用する場合もあります。
評定平均は大学受験にどのように影響する?
では、評定平均は大学受験にどのような影響を与えるのでしょうか? 大きく分けて「入試の出願要件」「調査書の点数」「奨学金」の3つに影響があります。それぞれ解説していきます。
入試の出願要件に影響する
一般入試では評定平均が出願要件になってるケースは少ないのですが、学校推薦型選抜や総合型選抜では多くの入試で評定平均が出願要件になっています。出願要件となっている評定平均よりも低い場合は、出願することすらできないため、学校推薦型選抜や総合型選抜の受験を考えている生徒にとっては大きな影響があります。
例:明治大学 アドミッションズ・オフィス (AO)入学試験|理学部機械情報工学科
高等学校第3学年1学期または前期までの数学・理科・英語3教科の全履修科目の学習成績の状況が3.8以上の者。
※参照: 明治大学2025年度募集要項
調査書の点数に影響する
調査書とは、高校が発行する出願者の学校での成績や出欠状況、特別な活動などを記載する書類です。一部の大学入試では調査書を点数化し、合否判定に利用する場合があります。学校の成績も記載されているため、評定平均が影響してきます。なお、大学によって点数化の方法は異なりますので、志望大学の入試情報を確認するようにしましょう。
奨学金に影響する
大学の合否ではありませんが、奨学金の受給を希望する場合は、その多くで評定平均が影響してきます。奨学金に設定された評定平均に届いていない場合は、奨学金を申請できないというケースもありますので注意が必要です。奨学金をもらいたいと考えている人は、早い段階から申請要件を満たしているか確認しましょう。
例:日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金
申込時点で次の1.又は2.のいずれかに該当する必要があります。
1.高等学校等における第1学年から申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上であること。
2.将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、入学しようとする大学等における学修意欲を有することが、文書、面談等により確認できること。
※参照: 日本学生支援機構
評定平均を上げると受験の幅が広がる! 実際の大学入試で解説
評定平均を一定以上に満たしていると、評定平均が出願要件となっている入試も受験することができるため、受験の幅が広がります。同じ大学・学部でも一般入試以外にさまざまな入試が実施されているため、受験できる入試の選択肢が増えることで合格率を高めることができます。実際の大学入試を例に解説していきます。
大阪公立大学経済学部:学校推薦型選抜を個別入試なしで受験
2025年度の大阪公立大学経済学部では、一般入試の場合は共通テスト+2次の個別入試で合否判定がされます。特に個別入試の英・数・国の配点比重が高く、対策が必要となります。また、共通テストも情報を含む7教科が必要です。科目数が多いため、勉強時間の確保が大変になるでしょう。
合計 | 英 | 数 | 国 | 理基 | 地歴 | 公 | 情 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
共テ | 475 | 100 | 100 | 100 | 50 | 50 | 50 | 25 |
個別 | 450 | 150 | 150 | 150 | — | — | — | — |
合計 | 925 | 250 | 250 | 250 | 50 | 50 | 50 | 25 |
割合 | 100% | 27% | 27% | 27% | 5.40% | 5.40% | 5.40% | 2.70% |
※参照: 大阪公立大学HP |
一方で、学校推薦型選抜英語重視型を見ると、個別入試なしの共通テストのみで受験することができます。出願するためには評定平均3.5以上が必要になりますが、理科基礎と社会1つが必要ないため、一般選抜よりも少ない科目数で受験が可能です。学校推薦型選抜と一般選抜のどちらも受験できるため、志望する人は評定平均を一定(3.5以上)まで上げて、両方受験することで合格率を高めることができます。
合計 | 英 | 数 | 国 | 理基 | 歴 | 公 | 情 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
共テ | 850 | 300 | 200 | 200 | — | 1つ選択100 | 50 | |
個別 | — | — | — | — | — | — | — | — |
※参照: 大阪公立大学HP |
昭和女子大学 人間社会学部心理学科:学校推薦型公募制で滑り止めを確保
学校推薦型選抜の中には併願が可能な入試も多く実施されています。そのため、滑り止めを確保するために学校推薦型選抜を利用することも可能です。学校推薦型選抜は一般選抜よりも科目数が少ない場合が多いため、併願する際にぜひ受験することをオススメします。
昭和女子大学人間社会学部心理学科の学校推薦型公募制であれば、科目試験なしで適性テストと面接で合否が判定されます。合格発表も年内のうちにされるため、早い段階で合格を得ることができます。滑り止めの大学に合格していれば、それ以降は本命の大学に集中できるため、戦略的に受験を進めたい人はぜひ検討してみてください。
昭和女子大学人間社会学部心理学科 2025年度 公募制推薦入学試験
出願要件:高等学校1年から3年1学期まで、または3年前期までの全体の評定平均値が3.4以上かつ英語・国語・数学の3教科の評定平均値が全て3.4以上
出願書類 |
「知識・技能」 「主体性」評価 |
適性テスト※ | 個別面接 | |
---|---|---|---|---|
配点 | 50 | 10 | 100 | 100 |
※適性テスト:人の心理や行動に関する調査結果の正確な読み取りと、それに対する論理的解釈及び考察を問う問題 |
評定平均を上げるために意識するべきこと
評定平均を一定以上確保し、大学受験に活用するためには日々の高校での成績が重要となります。評定平均を上げるために意識するべき3つのことを解説していきます。
普段から勉強し、定期テストで高得点を取る
評定平均を上げるためには、定期テストで高得点を取ることが重要です。そのため、確実に勉強時間を確保する必要があります。定期テストの直前で勉強を始めると、どうしても勉強時間が足りない場合がありますので、日頃からしっかりと勉強する習慣をつけるようにしましょう。
目安としては、毎日2時間は勉強する時間を確保しましょう。どうしても集中できない人は、自習室などを活用することをオススメします。また、勉強する科目については、大学入試で必要となる科目の比重を高めていきましょう。高校で使っている教科書や単語帳なども大学受験の対策に有効です。
早い時期から評定を意識する
評定平均は高校1年生から高校3年生の1学期までの成績で計算されてます。そのため、高校1年生の最初の定期テストから評定平均に影響があります。評定を意識するのが遅れてしまった場合は、志望する入試に必要な評定平均まで上げるのが困難になることもあります。評定平均を上げたい人は早い段階から意識して、日々の勉強に取り組みましょう。
志望校の必要な評定を確認して計画的に勉強する
評定平均がどれぐらい必要なのかは、受験する大学・学部の入試によって異なります。4.0以上など高い評定平均を求められる場合もありますので、早い段階から必要な評定平均を確認するようにしましょう。また、全科目の評定平均以外にも、特定の教科を指定した評定平均が出願要件になっている場合もあります。教科が指定されている場合は、特に意識して定期テスト対策を進めていくことが重要です。
高校1年生の時点では、まだ先の入試要項は公開されていないことが多いですが、最新の入試要項を参考にしましょう。そのためには、志望する大学・学部や気になる大学まで、しっかりと情報を確認することが重要です。大学HPで入試要項が公開されていますので、リサーチしてみてください。また、わからない場合は先生に相談してみましょう。
まとめ
今回は大学受験における評定平均の重要性について解説しました。評定平均が高いとさまざまな入試を受験できるため、早い段階から意識するようにしましょう。また、目指すべき目標があると、モチベーションの維持にも役立ちます。まずは、現在の評定平均と大学の情報を確認するところから始めてみてください。