南浦和の塾に子どもを通わせる3人のママ

 Aさん:公務員をしています。息子は南浦和のSAPIXに通って、記念受験の御三家は残念でしたが、第二志望の都内の伝統校に入学しました。

 Bさん:子どもが2人いて、下の子が今、日能研に通っています。第一志望は本人の希望で開智です。難しくなってきてしまって、頭を抱えています。

 Cさん:東京の企業で営業事務をやっています。息子がグノーブルに通っています。ただ、ついていくのが大変なので、転塾を考えています。

南浦和駅の東口の様子
南浦和駅の東口の様子 出典:pixta

なぜ大宮ではなく、南浦和なのか

 司会:みなさん、大宮にも通いやすいところに住まれていますが、なぜ南浦和なんですか? 大宮か南浦和かという選択があったと思いますが。

 Aさん:私は生まれも育ちも埼玉なんです。それなので、塾に通うというと南浦和のイメージなんですよ。兄の息子も埼玉の奥地から南浦和の早稲田アカデミーに通っていましたし。

 あと、SAPIXの南浦和校は大宮校の倍の大きさです。なるべく大きい校舎のほうがクラス分けが細かくなるので、学力に合った授業が受けられると思ったので。結果、南浦和にしてよかったですね。塾以外は何もない街なので、誘惑がなくて子どもがまっすぐ塾に行ってくれました。同じ座談会企画の、大宮の中学受験ママ座談会を読んでそう思いました(笑)。

 Bさん:そうなんですよ! うちの上の子が大宮の校舎だったんですが、ついついドン・キホーテやブックオフに行ってしまうんです。だから、塾の近くまで送り届けるだけじゃ駄目で、校舎の中まで連れて行かないといけない。めちゃくちゃ大変ですよ! なので下の子は南浦和の日能研に送り込みました(笑)。

 Cさん:うちは息子は剣道を続けたかったので、通塾日数が少ない塾がいいと考えてグノーブルに入れました。ただ、グノーブルはちょっとレベルが高すぎて、うちの子には合わないなあと思っていますが、でも剣道を続けたいというので他に選択肢がなくて。

 Aさん:習い事を続けたいお子さんがグノーブルを選ぶケースは、割とあるみたいですね。

グノーブルは大宮ではなく、南浦和に出校

 Bさん:グノーブルはSAPIXから独立された講師の方々が立ち上げた塾で、よくSAPIXの近くに校舎を建てますよね。たまたま東日本橋に行った時に、SAPIX東京校の目と鼻の先にグノーブルの校舎があって驚きました。

 Aさんグノーブルは大宮ではなく南浦和に出校。塾によって南浦和は特別な土地なのでしょうか。考えてみると不思議ですよね。ほら、東京の塾銀座は自由が丘や吉祥寺みたいに栄えている街じゃないですか。南浦和はそうじゃないですからね。

 Aさん:グノーブルの埼玉初の校舎が南浦和なのは、SAPIXの校舎が大きいからかもしれません。SAPIXでうまくいかなかった生徒を囲い込もうということなのかなと。それだと、大きな校舎の近くのほうがビジネス的にはよさげですよね。

 Cさん:SAPIXでついていけない子がグノーブルに来ても、やっていけるとは思いませんけど。

南浦和にはガチ受験勢が多い?

 司会:大宮ママの座談会でも話題になっていましたが、埼玉でグノーブルがあるのは南浦和だけ。これが象徴しているのはやはり「ガチ受験勢」が多いからでは? 大宮を境にして北側は東京風の中学受験で「子どもに合った学校に通わせたい」というカルチャーで、南側は「できるだけ難関校へ」というガチ受験のカルチャーだと聞きます。

 Bさん:確かに。日能研のエリートクラス「TMクラス」が大宮にできたのは最近ですが、南浦和にはもっと前からありましたし。

 Aさん日能研は南浦和でも難しいオプション講座をやっているはずですよね。駅前のミスタードーナツで、近くの席の日能研ママがそう話しているのを聞きました。いつもは大宮校だけど、その講座を受けるために南浦和に通っているって。

 Cさん:先ほどお話が出たように、大宮だと遊ぶところがあるけれど、南浦和にはない。真面目に勉強をするのに適しているんでしょうか。私としては、子どもの塾が終わるのを待つ場所がなくてつらいです。ミスタードーナツ以外にカフェも見当たらなくて。ドトールぐらいあってもいいのに。

 Aさん:確かに、大宮みたいに華やかな雰囲気の街ではないですよね。ただ、うちは基本、車でお迎えに行くので、渋滞がなくて助かっていました。

 Cさん:ところで、SAPIXの南浦和校にはどれくらいの人数がいるんですか?

 Aさん:結構多いですよ。SAPIXは校舎を増やさない方針なので、1つの校舎に生徒が多くなるんです。

 司会:大宮より南浦和のほうが、塾の選択肢は多いようですね。

 Bさん:思い出した! 東口にはプリバードもありますね。SAPIX準拠の個別指導塾。あれも埼玉県内では南浦和にしかないはずです。東京で見かける校舎だと、SAPIXとプリバードは併設されているようで、看板も並んでいますが、南浦和だと分かれていますよね。

 Aさん:ああ、前を通ったことがあります。他の個別指導塾も同じビルに入っていますよね。

塾によって異なる志望校のカラー  

 司会:みなさんのお子さんが通っている塾では、どの中学校を志望するご家庭が多いですか?

 Bさん日能研だと埼玉の学校を目指す子が多いですね。栄東や大宮開成とかが人気です。女子の上位層は浦和明の星や淑徳与野を目指しています。

 AさんSAPIXの女子の上位層は、渋渋の人気が高まっているみたいです。渋谷までも出やすいですし。あと、淑徳与野は医進コースが始まりましたよね。サピでも淑徳与野の医進は人気だと思います。御三家や豊島岡の併願で受ける子が多いみたいです。

 Cさん御三家を受ける子が多い! そうなんですね。グノーブルに入れて、勉強ができる子が多いなあと思いましたが、さらに上という印象ですね。うちの子は御三家は検討すらしません。

 Bさん日能研は南浦和でもそんなにガツガツしていないですよ。女子も多いから、うちの子も楽しそうです。

 Cさん:日能研に移ろうかしら。うちの子、勉強が得意だという自負があったんですが、グノーブルに入ったら、自分は勉強が特別にできるわけではないと気づいて、ちょっと自信をなくしてしまっているというか。

 Aさん:グノーブルは塾全体として女子が多くないと聞きますね。

 Cさん:うちの息子は性格的に、日能研のほうがよかったかなと思っています。他にもいろんな塾があるから、転塾も検討しやすいですよね。子どもが勉強をしている間に、ママが他の塾に話を聞きに行くとかもできそうです。

 司会:みなさん熱心ですね。まさに塾激戦区です。今日はありがとうございました。

南浦和の中学受験ママの座談会を終えて

 昨今では「無理をしない中学受験」が主流になっているが、大宮より南にある南浦和はまた少し違うようだ。そのため、大宮にはないグノーブルやプリバードの校舎が存在するのだろう。特にグノーブルが、どのように南浦和で勢力を伸ばすのかは注目したいところである。