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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

社会貢献に重要な「共感の物語」を紡ぐには?
人の感情を突き動かす「映像で社会貢献」という可能性

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第32回】 2010年11月16日
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 経済学者以外には常識的な話だが、人間というものは経済合理的な存在ではない。つまり、理屈に合わないことを平気でやる。その最たるものが自爆テロだろう。自分が信じる「正義」のために、自ら爆弾を抱えて死んでいく行為はまったく合理的ではないが、アフガニスタンあたりでは毎日のように若者が自爆しているし、数十年前までは日本にもそのような若者が多数いた。

 日常生活においても、人は往々にして非合理的な行動を喜んでやる。アメリカの調査によれば、高所得者よりも低所得者の方が、自分の収入に対する寄付の割合が高いという。つまり、低所得者の方が寄付に熱心だということだ。一般的に高所得者の方が可処分所得が高いので寄付も多くなるはずだが、実際にはそうはなっていない。低所得者の方がコミュニティ意識が高いとか、他人を思いやる気持ちを持っているとか、いろいろな理由は考えられるが、いずれにしても合理性で説明できる話ではない。

 人は物語の中で生きているし、その中でしか生きられないというのが、非合理的行動を取ることの理由なのだが、マーケティングというものは、多くの人が共感する物語を紡ぐ行為であるといえる。

共感を引き出す最も強力な方法
『映像』が持つチカラ

 社会貢献も同様で、途上国に学校を作るために寄付を集めたり、障害者のためのトイレマップを作るためのボランティアを募るためには、共感のための物語が必要だ。社会貢献活動には人の感情を動かす物語を伝える必要があり、物語を伝える最も強力な表現が『映像』である。

 多くの人が地球温暖化に関心を持ったのは、気候学者の詳細なレポートの数字ではなく、アル・ゴアの映画「不都合な真実」によってである。

 世界最大級のチャリティムーブメントとなった「バンドエイド」にしても、その発端はニュース映像だ。アフリカの饑餓を伝えるその映像を、イギリスのロックスターであるボブ・ゲルドフがたまたま見ていた。その映像に心を動かされたボブ・ゲルドフが仲間を集め、チャリティCDを発売し、「バンドエイド」の活動があの「ウィ・アー・ザ・ワールド」につながっていく。

 映像にはやはり、世界を変える力がある。だから、映像の力で社会問題への関心を喚起し、社会の理解と支援者の獲得をめざす人たちが増えている。

映画「アリ地獄のような街」。全国で50回以上上映され、5000人近くの観客を動員。映画収益の一部は、バングラデシュのストリート・チルドレンの自立を支援するための職業訓練センター「エクマットラアカデミー」の建設に充てられる。(C)エクマットラ

 バングラデシュのストリートチルドレンを支援しているNGO「エクマットラ」は、映画「アリ地獄のような街」を製作。この映画は、バングラデシュの人たちでさえよく知らなかったストリートチルドレンの実態をリアルに描き、同国での上映時に大きな話題を呼んだ。

 エクマットラの共同創設者で、この映画のプロデューサーでもある渡辺大樹氏は語る。

 「エクマットラの共同創設者で代表のシュボシシュ・ロイはもともと映画監督だったので、映画を作るノウハウはすでにあった。だから、自分たちの活動の背景にあるストリートチルドレンの問題を伝えるために映画を作るという発想は、自然にでてきたんです」

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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