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パナの新型TVリモコンが販路を限定する理由

週刊ダイヤモンド編集部
2016年11月11日
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シンプルさは一目瞭然。写真は、要介護度の低い高齢者向けのスタンダード・タイプ。税別で5800円。あくまで、「障がい者・高齢者向け」というふれ込みだが、潜在的には大きなポテンシャルを持っている 写真提供:パナソニック・エイジフリー社

 8年前、厚生労働省は11月11日を“介護の日”と定めた。なぜ介護なのかと言えば、「いい日、いい日、毎日、あったか介護ありがとう」を念頭にした語呂合わせに由来するそうだ。う~む。

 その介護の日に照準を合わせ、パナソニック・グループで、介護関連事業全般を担うエイジフリー社より、ありそうでなかった新型TVリモコンが発売される。

 「レッツ・リモコン」と銘打った新製品は、身体が不自由な障がい者・高齢者向けの機能を限定したTVリモコンで、近年のデジタル・テレビの普及に伴って複雑化が進むリモコンに「置き換わる」ことを狙う戦略商品である。初期設定さえ行えば、既存のリモコンはまったく必要がなくなる。

 計6つのボタンで操作するリモコンは、主に手と指が自由に使えない障がい者向けで拡張性のあるアドバンス・タイプが税別1万円、要介護度が低い高齢者を対象にしたスタンダード・タイプが税別5800円となる。どちらのタイプも高さ174mm、幅46mm、厚さ29mm。ボタンは直径16mmと、全体的に大きくデザインされた。

 障がい者・高齢者にとっては、テレビは事実上の“社会の窓口”であり、主要な情報源でもある。しかしながら、リモコンの操作は誰かに頼みづらく、介護の現場では必要な機能をビニールテープに油性マジックで明記したり、横になった姿勢のままで操作できるようにベッドの脇に巻き付けたりして固定するなど、それぞれの事情に合わせた工夫を重ねていた。

 実は、「レッツ・リモコン」は再登板した製品である。2003年6月にパナソニックで発足した社内ベンチャー(ファンコム)が09年5月に開発した製品だったが、翌10年3月に会社は解散した。それが、16年4月になって事情が変わる。グループ内の介護関連事業4社をエイジフリー社に集約・統合し、改めて陽の目を見ることになったのである。

 今回の「レッツ・リモコン」は3000人以上の関係者をヒヤリングした結果、さまざまな改良を加えている。赤外線信号を従来の2方向から4方向に発信するようにしてリモコンをTVに向けなくても操作できるようにした。また、薄暗い場所でも高齢者が識別しやすい色を採用したり、あえて離れた色調を隣り合わせて配列したりした。さらには、異なる音や光によってどのボタンを押したか分かるようにした。そして、親指やこぶしで押しても「押した」という実感が得られるクリック感を持たせ、病院や施設で使われる国内外18社のTVにも対応させた。

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