日本テレビがレディー・ガガ氏の発言を「意訳」しすぎて炎上した。メディアが外国語を「超訳」して、真意とはかけ離れた報道をすることは珍しくない。その背景には、「憎悪」「怒り」「不安」を煽らないと視聴率や部数が伸びないという、業界の背負う“業”のようなものがある。
日テレの「意訳」が
ネットで炎上
米大統領選でトランプ氏の勝利をうけて、マスコミも蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた11月9日夕方、奇妙な報道があった。
日本テレビの「news every.」が「速報」として、トランプ氏が住むトランプタワー前に、人気歌手のレディー・ガガ氏が車であらわれ、「Love trumps hate.」(愛は憎しみに勝る)というプラカードを掲げた映像を紹介、このようなナレーションを流した。
「手に持ったプラカードに書かれていたのは、『トランプは嫌い』のメッセージ」
さらに、このプラカードと同じことをガガ氏が叫んだところで、画面上にも「トランプは嫌い」のテロップを表示したのだ。
これを受け、ネット上では「ひどすぎる誤訳」という指摘が相次いだ。ガガ氏はインスタグラムでも同じプラカードを掲げた写真を公開し、「Love trumps hate.」というメッセージに続いて、「Let’s take care now of each other」と、対立をしないように呼びかけていたからだ。
ただ、その一方で、「意訳の範囲だろ」と擁護する声もあがっている。実はこの「Love trumps hate.」は、ガガ氏が支持を公言していたヒラリー・クリントン氏が選挙キャンペーンで使用したフレーズ。「〜に勝つ」という動詞・trumpと、差別的発言を繰り返す人物・Trumpをかけた皮肉。それを踏まえて「視聴者にわかりやすく、字幕翻訳家の戸田奈津子さんばりの『意訳』をしたのではないか」というわけだ。