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ワークス研究所の労働市場最前線

最も大きな違いは“新卒者を特別視しない”こと
日本とは全く違う米英の新卒採用事情

村田弘美 [リクルートワークス研究所主任研究員]
【第5回】 2011年3月10日
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 映画『プラダを着た悪魔』の冒頭、名門大学を出た主人公が出版社に面接に行く際に、何を着ていたか覚えているだろうか。そう、日本のようにいわゆる“リクルートスーツ”は着ていない。これは映画の話だが、実際に日本と欧米主要国のリクルーティングは大きく異なる。

 最も異なるのが“新卒”採用である。もちろんTPOは大切だが、皆が同じようなスーツや髪形、バッグを持ち、マニュアル本で面接の攻略をするような行事はない。企業側も日本のような一連の新卒採用の“習慣”はなく、また新卒至上主義でもない。

 以下、欧米主要国の新卒事情について紹介する。あえて初めに釘をさしておくが、日本の“新卒”採用の方が世界から見て“特異なもの”なのである。

就職活動時期はバラバラ

 高学歴化が進む中、特に大学や大学院を卒業したからといって、簡単に“いい会社”に就職できるという訳ではない。6月の卒業式後、就職先が決まっているのは全体の4分の1(注1)程度 と、新卒未就職でも特段驚くことでもなく普通のことである。

 多くの新卒者は卒業してから就職活動をはじめ、企業も当然のように受け入れる。日本のように就職活動や選考の時期が、新聞紙面を沸かせることは皆無である。

指定校・指定学部からの新卒採用

 一方、卒業前に就職が決まった4分の1の学生は、いわゆるエリート人材で、即戦力もしくは管理職候補と見込める者に限られる。欧米のグローバル企業でも、非常に優秀な学生に限っては、卒業前に内定し囲いこみをする。

 選抜には多くの時間、人材、コストをかける。外部調査や定着率など既存のあらゆるデータや実績をもとに、指定校を選択。特定の大学の学部をターゲットにジョブフェアや、会社説明会と食事会、長期のインターンシップなどを行う。

(注1)“2010 Student Survey”2010.05、NACE(全米大学就職協議会)

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村田弘美 [リクルートワークス研究所主任研究員]

(むらたひろみ)1983年株式会社リクルート入社。総務、人事、求人広告審査等を経て、1999年に社内研究所としてワークス研究所を立ち上げ入所。2000年以降、政策提言活動を行う。 2005年法政大学社会学部兼任講師、「職業キャリア論」を担当。厚生労働省労政記者クラブ、日本労使関係研究協会所属。


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超就職氷河期、非正規社員の比率の高まり、社内教育制度の限界など日本の労働市場は、大きな転換期にある。労働市場の研究所として名高いリクルート社のワークス研究所の研究員が、就職、転職、キャリアパス、制度問題など、労働市場を360度の視点から縦横に分析する。

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