「働き方論争」が噛み合わず不毛に終わる理由「働き方」を議論する際に、互いの実情を知ったうえで話していますか?

「働き方改革」という言葉が飛び交っているが、何を意味するのだろうか。そもそも現段階においてすら、働き方は一様ではない。

 現代の日本には、大きく分けて4つの働くスタンスがあり、働き方の問題についての意見は、だいたい、そのどこかの立場からの発言となる。そして、少なからず「噛み合わない不毛な論争」が展開されてしまうのは、お互いのスタンスに対する理解が欠けているからではないかと思う。

 働くスタンスは、仕事に対する充実感の度合いと、生活におけるマインドシェア(生活の中で仕事が占める割合)の高さによって決まる。無意味な争いを止めるためにも、個々の主張を一度整理してみよう。

「働き方論争」が噛み合わず不毛に終わる理由

◆「仕事こそ生き甲斐」群

 仕事を通して人は成長する。仕事に没入して初めて自分の限界を超えていくことができる、と考える人たち。そこには「成果」と「能力の向上」があり、仲間と共に働く「協働の喜び」がある、というのが基本的な考えだ。この領域の人とて、長時間の労働を「良し」としているわけではないが、仕事に没入すれば寝食を忘れ、あっという間に時間が過ぎ去るし、別のことをしていても、場合によっては寝ていても、突然新たなアイデアを思いつき、ブレークスルーを起こすような仕事につながることもある。仕事で生み出される創造的な知的作業ほど面白いものはない。そして、このような仕事には、工場労働を基本とし、時間によって管理される現在の人事労務の管理手法はまったくマッチしていない、と主張する。