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世界のエリートがやっている 最高の休息法
【第25回】 2017年2月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
久賀谷 亮

「ただ休むだけ」だと、脳のパフォーマンスは高まらない
【イェール対談】斉藤淳×久賀谷亮[前篇]

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著書『最高の休息法』が16万部突破のベストセラーになっている精神科医の久賀谷亮氏と、中高生向けの英語塾などを経営する斉藤淳氏との対談。まったく異なる分野の第一線で活躍中のお二人だが、じつは米イェール大学で研究に明け暮れていた時代からの旧知の仲だという。

今回の対談テーマは「脳の休息と集中力」。一方はクリニックにやって来る患者さんに、一方は塾に通う10代の生徒さんたちに向き合うなかで、二人はいまこのテーマについてどう考えているのか?2回にわたってお送りするスペシャル対談!(構成/佐藤智 撮影:宇佐見利明)

集中力を高める運動の重要性

―(『最高の休息法』担当編集・藤田)おかげさまで『最高の休息法』はマインドフルネス本としては異例のベストセラーになりました。じつはこの本のそもそもの発端は、斉藤先生から久賀谷先生をご紹介いただいたことでしたね。その節は本当にありがとうございました!

斉藤 淳(さいとう・じゅん)J PREP斉藤塾代表/元イェール大学助教授/元衆議院議員
1969年山形県生まれ。イェール大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。研究者としての専門分野は比較政治経済学。ウェズリアン大学客員助教授、フランクリン・マーシャル大学助教授、イェール大学助教授、高麗大学客員教授を歴任。
2012年、日本に中高生向け英語塾を起業。「第二言語習得理論」の知見を最大限に活かした効率的カリキュラムを展開。海外名門大や国内難関大の合格者も多数出ているほか、インターナショナルな保育園や学童保育も運営し、時期によっては入塾を待つことも。
著書に『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA)のほか、『10歳から身につく 問い、考え、表現する力』(NHK出版新書)がある・また、研究者としての著書に、第54回日経・経済図書文化賞などを受賞した『自民党長期政権の政治経済学』(勁草書房)がある。

斉藤 こちらこそありがとうございます。以前、藤田さんに担当いただいた『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(KADOKAWA)も文庫化され、こちらも売行好調と聞いています。今日は久しぶりに久賀谷さんに再会できる機会をつくっていただき、とても楽しみにしてきました。

久賀谷 よろしくお願いします。私も今日の対談を心待ちにしていましたよ。イェール時代、私は脳科学、斉藤さんは政治学を専門に研究していて、まったく分野は違っていたわけなんですが、当時からよくお付き合いさせていただいており、いろいろなことを議論しましたね。あれからもう15年くらいですか、懐かしいですね。

―(担当編集)そこからお二人はそれぞれの道に進まれて、久賀谷先生はそのまま米国に残ってロサンゼルスでクリニックを開業され、斉藤先生はイェール大でアシスタント・プロフェッサーを務めたあとに日本で中高生向けの英語塾「J PREP斉藤塾」を起業されたわけですね。
一見まったく分野が違うお二人ですが、患者さんと生徒さんという「人」に向き合う仕事という意味では、共通しているのではないかと思います。そこで今日は「集中力と脳の休息」というテーマでお話しいただければと。よろしくお願いします!

久賀谷 患者さんを診ていても「集中力が持続しないこと」に悩む現代人は多いという印象ですね。斉藤さんはどう思いますか?

斉藤 たしかに以前よりも「集中しづらい時代」になっている面はあると思います。ただ、集中力が途切れることって、僕はあながち悪いことでもないと思っていますよ。気が散っているときに、新たな気づきを得ることもあるからです。決められたことを集中してやり続けることももちろん大切ですけど、気が散るのも“人間の性(さが)”と割り切って、「新たな着想を得るためのチャンス」などとおおらかに構えておくことも大事ではないでしょうか。

久賀谷 亮(くがや・あきら)医師(日・米医師免許)/医学博士(PhD/MD)。イェール大学医学部精神神経科卒業。アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。脳科学や薬物療法の研究分野では、2年連続で「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を受賞。主著・共著合わせて50以上の論文があるほか、学会発表も多数。趣味はトライアスロン。著書に『世界のエリートがやっている最高の休息法』(ダイヤモンド社)がある。

久賀谷 たしかにそうですね。実は脳科学者の茂木健一郎さんも、「心がさまよったときにこそ新しい着想が生まれる」ということをおっしゃっているんです。ちなみに、斉藤さんは発想をぐっと拡げて新たな発見をすることが得意だなあと当時から思っていたんですが、どんなときにひらめくことが多いんですか?

斉藤 身体を動かしているときが多いですね。それほどハードな運動ではなく、音楽を聴きながら散歩しているときや、トレッドミルでゆっくりと走りながらiPadで本を読んでいるときなどに、新しいアイデアがやってくることがあります。軽い運動をして、脳に酸素が適度に取り入れられている状態で、外から何らかの情報をインプットすると、ひらめきにつながることが多いですね。

久賀谷 なるほど、その感覚は私もよくわかります。私はいまだにトライアスロンを続けていて、1週間に15時間くらいのトレーニングを日課にしています。周囲からはただ身体を鍛えているようにしか見えないかもしれませんが、じつはそのときにも仕事のことは考えているんですよね。たとえば、ランニングをしているときにも、「クリニックを今後どうしようか」などとプランを練ったりはしている。そのほうが机に向かってじっと考えるよりも、思考がうまく回るんですよね。

斉藤 村上春樹さんが小説を書くために、マラソンをはじめたというのは有名な話ですが、頭を使うことと体を動かすことは多かれ少なかれリンクしているのでしょうね。
われわれがイェール大にいたころも、バリバリ研究をしている人は、とにかく身体を動かしていましたよね。朝からフィットネスに行って泳いだり走ったりしてから、研究室に来る人はたくさんいました。
あと、韓国の高麗大学の客員教授として夏期集中講義を受け持った際、ほぼ幽閉生活状態で頭をフルに使う毎日だったのですが、そのときにもみんなジムに行って身体を動かしていましたね。集中力をアクティブな状態に保つためには、ある程度は身体を動かすことが必要なのだと思います。

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久賀谷 亮(くがや・あきら)

医師(日・米医師免許)/医学博士
イェール大学医学部精神神経科卒業。
アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。
日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、
イェール大学で先端脳科学研究に携わり、
臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。
そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。

2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。
同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、
最先端の治療を取り入れた診療を展開中。
臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。

脳科学や薬物療法の研究分野では、
2年連続で「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、
「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を受賞。
主著・共著合わせて50以上の論文があるほか、学会発表も多数。趣味はトライアスロン。


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イェール大で学び、米国で18年診療してきた精神科医が明かす、科学的に正しい「脳の休め方」とは? 脳の消費エネルギーの60〜80%は、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)に使われています。これは、脳が意識的な活動をしていないアイドリング状態でも動いている脳回路。この回路が働き続ける限り、ぼーっとしていても、脳はどんどん疲れていくわけです。つまり、DMNの活動を抑える脳構造をつくり、脳にたしかな休息をもたらすことこそが、あなたの集中力やパフォーマンスを高める最短ルートなのです。

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